この記事は、瀬戸内国際芸術祭2022・秋会期に、高松の屋島エリアを訪れたレポです。
朝、JR高松駅・高松港付近から屋島へ向かい、約半日で、屋島山上展望台〜四国村を回りました。
こんにちは。
瀬戸芸開催中、全会場制覇を目指すneoです。
私は、開催地の隣県住まい。
毎回、新幹線で岡山まで出て、各会場を目指しています。
【瀬戸内国際芸術祭とは】
香川・岡山県の、瀬戸内海の島々を舞台に開催される、現代アートの祭典。
略して「瀬戸芸(せとげい)」。3年に1度、開催されるトリエンナーレ。
- 春会期:4月14日〜5月18日
- 夏会期:8月5日〜9月4日
- 秋会期:9月29日〜11月6日
■画像出典:瀬戸内国際芸術祭2022・公式サイト
今回のレポは、1泊2日旅の2日目・屋島編です。
ちなみに前日は、オフィシャルツアーで、伊吹島・粟島を巡りました。
1日目が濃かったから、2日目はのんびり・まったりスケジュールだよ。
同行の私は、初めての屋島です。楽しみ〜。
屋島は「島」とありますが、
全然、島ではありません。
瀬戸芸に関係なく、昔から人気のある観光スポット、それが屋島。
見晴らしのいい展望台や、山の上に建つ水族館(←世界的にもレア)があるの。
JR高松駅・高松港から出発する、屋島エリアのアート巡り、是非ご覧ください。
JR高松駅・高松港周辺〜屋島
朝、ホテルを出発。
- JR高松駅
- 高松港
- ことでん高松築港駅
この3つは、徒歩数分の距離に隣接しています。
屋島は、このエリアの東側に突き出した半島。
屋島へのアクセス方法はいくつかあり、JR高松駅から、JR屋島駅を目指すルートもわかりやすいのですが、
今回は、路面電車「ことでん」に乗るよ。
こちらが、ことでん高松築港駅。
駅舎のそばに、瀬戸芸アート作品「銀行家、看護師、探偵、弁護士」。
地元産の石で作られた彫刻で「道ゆく人と、一緒に歩くように並ぶ」‥確かにそんな感じ。
まだ朝早いので、奥に見えてる、高松城跡・玉藻公園に入ってみましょう。
玉藻公園は、高松城跡を整備した公園。
瀬戸内海の海水を、お堀に引き込んだ高松城は、日本三大水城としても有名です。
だからね、お堀に鯛が泳いでるんだよ!
‥えっ⁉︎ホント?
瀬戸芸パスポートの提示で、団体料金が適応されました。
パスポートを持っていると、岡山・香川の観光施設で、割引が使えることもあるんです。
この公園では、鯛のエサやり体験なんかもでき「お堀を泳ぐ鯛」を眺めるだけで、何やら嬉しい気分になってきます。
うわっ!ホントに鯛がいる、しかも結構!
‥お堀の水門が、直接、瀬戸内海につながってるの、わかりますか?
左側、緑色の屋根付きの橋から、お堀を覗くと、いっぱい泳いでるお魚の中に、赤っぽい鯛の姿が。
みんな、楽しそうだね。
園内を少し散策した後、高松築港駅に向かいました。
はい、もう到着。
高松では、あちこちで、ことでんのキャラクターイルカ「ことちゃん」に会えるのが、楽しくてたまりません。
私はことちゃんに、並々ならぬ愛を抱いているからです。
ことちゃん、タダモノじゃない。
街を走るバスにペイントされた、ことちゃんを見かけるたび、密かにテンションアップしちゃう。
ことでん駅のゴミ箱も、この通り。
彼は、こう見えて駅員で、妻子持ちなのです。
イルカのことちゃん、この後も登場しますよ〜。
ことでん屋島駅に到着。
レトロな駅舎です。
そして、あの山が屋島。
屋島はかつて、その名の通り「島」でした。
平成10年に、古代の山城・屋嶋城が発見されています。
なになに?「唐・新羅の侵攻に備えて、対馬から太宰府周辺・瀬戸内海沿岸に作られた、朝鮮式山城の1つだった」。‥うんうん、屋島ね、物凄く遠くまで見渡せるから。
目指すエリアは、展望台のある山頂。
山頂までは、シャトルバスを利用するのですが‥
きゃーっ‼︎
ことちゃんファミリー・ラッピング!
(“>ω<)
ことでん屋島駅から、この満員バスに乗り込み、山頂まで一気に登ります。
おお、どんどん登るね〜。見晴らしがいいな。
屋島寺・屋島山上展望台
バスを降りて少し歩くと、四国霊場八十八ヶ所・第84番札所の、屋島寺に到着。
屋島は高松市の東、標高293メートルの火山台地の半島で、那須与一の扇の的や義経の弓流しなどで有名な源平合戦の古戦場の史蹟で知られる。屋島寺はその南嶺にある。
■南面山 千光院 屋島寺より引用
立派な境内を、足早に通り抜けます。
屋島寺に祀られているのは、狸の総大将・太三郎狸。
太三郎狸は、化ける能力が日本一だったそうで、境内のあちこちに狸の置物が。
太三郎狸は、仲睦まじい夫婦だったので、家庭円満・縁結び・子宝などの御利益があるそう。
美人のお母さん、凛々しいお顔で、授乳中ww
後日、屋島寺の狸の大群が、夢に出てきた。インパクト大だったらしい。
山頂には、かなり気になる「新屋島水族館」もありますが、今回は、時間の関係でパスするのが残念。
■山のてっぺん・水中さんぽ 新屋島水族館・公式サイト
ちょっとした商店街を抜け、展望台に到着すると‥
ヒョ〜!
この絶景!
左下に見える輪っかは、見晴らしのいい観光スポットで時々みかける「かわらけ投げ」の的。
高い場所から、厄除けなどの願掛けで、素焼きの盃(小皿?)を的に向かって投げる遊びです。
商店街のお土産屋さんに、かわらけ売ってたな。投げてる人達、かわらけが強風に煽られて、難しそうだった。
海側に目を移せば、瀬戸芸会場の島々も、見渡せました。
どの季節に来ても、気持ち良さそう!
展望台のそばには「月はまた昇る」という、瀬戸芸作品があります。
コロナ禍で孤立する国内外の人々が撮影した、月の写真を動画化して、月の名所・屋島山頂に投影するのですが‥
鑑賞時間は、日没後〜21時30分。
うーん、残念。
夜に訪れないと、見れません。
あっ!でも‥
1人1枚、巨大ポスターを持ち帰ることができる、思いがけないサービスを発見。
私達も1枚、いただいて帰ることに。
それが‥。旅人には、とても持ち運びにくいサイズで、折り線をつけるのが勿体なかった。
高松市屋島山上交流拠点施設(やしまーる)
展望台から振り向けば「ドーン!」と建つ、高松市屋島山上交流拠点施設があります。
愛称「やしまーる」。
やしまーる自体も、瀬戸芸アート(建築)であり、今年登場した新作の1つ。
敷地の形に沿って、クネクネ曲がった回廊が続きます。
地面から浮いたり、着地したり。
中庭もあって、
部分写真だけでは、どんな作りなのか、イマイチわからないのは‥
全景が、こんなだから。
アップダウンしつつ、カーブする空間は、見える景色が次々変わるので、ずっとキョロキョロ。
「やしまーる」で鑑賞できる作品は「屋島での夜の夢」。
メインエントランスで、時間指定の鑑賞チケットを買っての入場です。
公式ガイドに「眼前に広がる自然界や、人間界の時空間ドラマ」とあり、期待が膨らむ、膨らむ。
えっ?‥この巻物が、作品なんじゃなくて?
うん、これは、今から見る作品の、設計図的なやつを見せてくれてるんだよ。
買ったチケットで見れるのは、カーテンの向こうに待つ、巨大なパノラマ展示。
入場時間が近づいたら、展示室前の椅子で待つよう言われました。
はあああ、この椅子の美しいこと。
端正な姿・まるで氷のような座面。
時間になると、暗い前室に案内され、まずはアナウンスから鑑賞スタート。
パノラマ館とは、円筒形の建築構造の壁面に、遠近法で絵を描き、近景にオブジェを配置した、だまし絵を発展させた空間作品のこと。
残念だけど、撮影は禁止です。
でも大丈夫!
スケールが大き過ぎて、思い通りの写真が撮れる気が、全然しないもん。
【屋島での夜の夢】
眼前に広がる自然界や人間界の時空間ドラマ
9世紀初頭にヨーロッパで流行し、明治期の日本でも活況を呈した「パノラマ館」の手法を用いて、平安時代末期の「屋島の戦い」をテーマに、自然界や人間界のさまざまな時空間ドラマを約5×40メートルの絵画とその前面に設置するジオラマにおさめた圧巻の芸術体験空間。
■出典:瀬戸内国際芸術祭2022公式サイト
公式サイトから、作品制作途中の写真をお借りしますと‥
この巨大な油絵に、光や波の音・鳥の声なんかが合体したのが、私達が鑑賞した完成形。
約800年前の平安時代末期、この地で実際に繰り広げられた、源平合戦・屋島の戦い。
当然ながら、残酷なシーンも描かれた戦争画‥ではありますが「ある人が屋島を訪れた夜に夢で見た、戦いのドラマ」として、描かれた作品だそうです。
「現代にも通じる人間の戦いと、自然の脅威、そして『平家物語』にも描かれているような、無常感を表現した」という「アート」が、目の前に広がる空間。
私、IMAXで新作映画を見た後だったから、無意識に「よーし!この機会に、合戦のド真ん中にワープして、興奮・動揺・感動しちゃうもんねっ!」って、気合い入れ過ぎたかも。
鑑賞中は、接近戦真っ只中の1人に憑依する、というより「安全な場所から、風景込みで全体を眺める人(余裕)」に近かったと思います。
‥なので、正に「ある人が屋島を訪れた夜に夢で見た、戦いのドラマ」を、一緒に覗かせてもらうような‥そんなひと時でした。
作品は、合戦の朝から始まって、昼、夜、って、時間が進んでいった。
屋島の戦いは、フィクション混みで再構築された映画や、ドラマ・歴史の本などで、繰り返し登場しますが、実際の合戦現場に、立ち会えた人はいません。
だから、空想を膨らますことができ、色んな「屋島の戦い」の表現が存在して、面白いのでしょう。
不思議な臨場感があったこの巨大作品、にじり寄って、ジオラマや油絵を見たい気もしましたが‥
‥いや、夢から覚めちゃうから、ダメ。
そんな観賞後に、改めて各パーツのデッサンを見ると、感慨深い。
穏やかな瀬戸内海で繰り広げられた、悲惨な戦い。
屋島も、ガッツリ「兵(つわもの)どもが夢のあと」な地なのでした。
次の四国村までは、シャトルバスで向かいます。
わ!
バスに描かれた、新屋島水族館のアザラシさんや、マナティさん!
そして、那須与一(なすのよいち)おった!
※参考:那須与一(渡辺美術館蔵)。
屋島の戦いで、平家の軍船に掲げられた扇の的に、矢を命中させたのが、那須与一。
小船から出てきた女性が掲げる、真っ赤な日輪の扇を射落とすシーンは、源平合戦の名場面の1つです。
イマイチ自信がないまま矢を放ったのに、見事命中させるなんて、与一、ウィリアム・テルとか、そんなレベルですね。
また、ご存知の人も多いと思いますが、エヴァンゲリオンで、日本全土を停電にしてエネルギーを集め、陽電子砲を撃つ、という「ヤシマ作戦」は、ここからのネーミング。
あのヤシマ作戦での、日輪の扇は、手強い使徒・ラミエルだった。エヴァ初号機の、超長距離射撃で殲滅。
あと、屋島寺の狸ファミリーになりきった、ことちゃんファミリーの図が、可愛い!
八十八ヶ所参り中?
イルカなのに、似合ってるね!
あっ、安徳天皇がいる!
ファッ⁉︎ ‥あ、安徳天皇ッ⁉︎
那須与一、からの〜、安徳天皇っ??‥( º言º)
「安徳天皇」(あんとくてんのう)は、祖父であり平氏の棟梁でもある「平清盛」によって数え年3歳にして天皇に即位。そして平氏滅亡の際、数え年8歳で崩御した悲劇の天皇です。歴代天皇の中で最も短命であり、唯一戦いによって命を落とした天皇として記録されています。2022年(令和4年)のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、子役の「相澤智咲」(あいざわちさ)さんが安徳天皇を演じ、初登場のときからその愛らしい姿が視聴者の話題となりました。
(中略)
どこへ行くのかと尋ねる安徳天皇に、二位尼は「波の下には極楽浄土と呼ばれる素晴らしい都がございます。そこへお連れするのですよ」と涙ながらに応えました。
■出典:刀剣ワールド・安徳天皇
そして安徳天皇が「伊勢神宮」(正式名称は神宮:現在の三重県伊勢市)の方角へ頭を下げ、西方浄土があるという西に向かって手を合わせると、安徳天皇と二位尼は入水したのです。
同サイト・イメージ画がこちら。
‥いや、そんな悲しい運命を辿った安徳天皇が、カラフルなラッピングバスに‥いるはずは‥
おったーッ‼︎‥マジか⁉︎
(||゚Д゚)
いや、那須与一はわかる。
わかるけど、安徳‥(汗)
ことでんさん、攻め過‥
‥って、これ、安徳天皇じゃないよ!
ことちゃんの娘・赤ちゃんイルカの「ことのちゃん」が、ママに抱っこされて、展望台から「かわらけ投げ」をしてる図、と思われます。
ちょっとわかりにくいけど、ほら、素焼きのかわらけを投げてるでしょ?
はい、ここでもう一度。
ああ、ホントだねww
多分ね、ことのちゃん、あの輪っかに向かって、かわらけ投げてるの。
安徳天皇に見えて、焦ったのも束の間、屋島観光を楽しむことちゃんファミリーに、ホッとしました。
もう、かわらけ投げにしか見えないから、大丈夫。
四国村ミウゼアム
山頂をシャトルバスで出発、四国村ミウゼアムに移動しましょう。
四国村が、屋島山麓の、広大な敷地に広がっています。
四国4県から、33棟の建物を移築復元した野外博物館が、四国村ミウゼアム。
もちろん、入村前には、名物の讃岐うどんで、腹ごしらえでしょ!
だって、江戸時代末期の古民家を移築した、うどんの名店「四国村・本家わら家」が、隣接してるんだから!
店内が広い上、うどん屋さんなので、長蛇の列も、割とサクサク進むのがありがたい。
肉ぶっかけうどん・いなり寿司・天ぷらの盛り合わせを注文。
讃岐うどんって、現地で食べたら、異様に美味しいよね。
‥(うどんに夢中で無言)。
四国村のエントランス「おやねさん」、こちらも今回、新登場した瀬戸芸作品になります。
うねるような屋根・おやねさんの下は、チケットセンターや、ミュージアムショップなど。
四国村に入ってすぐの場所にかかる、かずら橋。
以前ここに来た時は、強い雨だったので、遠目で眺めただけ。
なので初めて、かずら橋を渡るのであります。
「わーい!」とノリノリだったのは、入口まで。
うわ!
‥ねえ‥コレ、最後まで渡れる?
他の人も渡り始めると、橋がギッシギシ揺れます。
たじろいて、真ん中あたりで引き返そうにも、振り返れば後続の人が数人。
皆さん、普段目にする「よくある手すり」とは全く違う、ゴツゴツしたかずらの蔓(つる)を、全力で握りしめてるはず。
私も、見えないシッポを、股に挟んだ状態で、ゆっくり渡りました。
((((+ω+))))
実際に渡るまでは、余裕だったのに〜。こんなん反則〜。
続いて現れたのは、小豆島にあった、江戸時代の農村歌舞伎舞台。
お祭りの時、村人達が演者になってお芝居をする舞台が、各地に作られました。
観客席は、階段式。
石垣で描く曲線は「優美」の一言です。
現在この舞台は、イベントや展示を行う、野外劇場として活用中。
丸亀藩御用蔵。
外から見ると瓦屋根・天井は、こんな感じ。
所々に点在する、瀬戸芸スタンプ。
このナンバーの作品は、複数あります。
作品名「装う神さま」。
「村内に点在する神様を、探してみて」とあり、散策中、小さな祠に祀られた神様達に出会えました。
神様の祠‥何となく、写真撮影を遠慮しちゃった。
藁葺屋根、近くで見たら、藁、ミッチミチ!
この民家は、東讃岐の農山村からの移築だそう。
別棟の、お風呂とトイレ。
昼間でも薄暗い、トイレスペースを覗き込むと‥
コレ、夜には、絶対妖怪が出るやつ。
移築民家の展示は、山の斜面沿いに並びます。
愛媛県にある深い谷の、奥まった急斜面から運ばれてきたという、河野家住宅。
広くて、立派なお屋敷ですね。
四国村公式サイトによると「家々の柱や梁、またそこに展示されている多くの民具には、人々の知恵や労苦、祈りが染み込んでいます」。
‥うんうん。
染み込んでる、染み込んでる。
あっ、アレ!昔、家にあった!
‥出たよ(^▽^;)
そんなに歳は変わらないのに、私が映画とかでしか見たことない謎道具を「実家で普通に使ってた発言」。
まあ、気軽に、謎道具の用途を教えてもらえるの、便利です。
こちらは、徳島県の山の斜面に建っていた、山村農家。
建築年代は、1781年とのこと。
仏壇の前の床は小さく開き、家人が死んだとき、湯灌の水を床下に流し、魂が家の中に留まることを願った。棟札により建築年代が明らかで、伝統的な姿をよく保存する。国の重要文化財。
■解説パネルより
昔は全国各地に、その土地独特の風習を取り込んだ民家があったけど、近代化の波で、次々に取り壊されていきました。
四国村ギャラリーで紹介されていた、猪熊弦一郎氏のコメントによると「昔は正にこんな建物が、たくさんあった」「よくぞここまで、古民家を集め、残してくれた!」と感激されていたそう。
それを読んだ瞬間、この村にぼんやり抱いた感想を、明確な言葉にしてもらって、スッキリ!
かつて、全国一の生産を誇った、讃岐の製糖業を支えていた建物・砂糖しめ小屋。
「砂糖しめ」とは、サトウキビの汁を絞る、という意味。
建物中央に並ぶ、石臼に取り付けられた腕木を、牛が引いて臼を回転させることで、サトウキビを絞っていたそう。
1頭の牛が、石臼の周囲をぐ〜るぐる。だから、建物が円形なんだって。
柱の表面に、労働中の牛が脇腹を擦り続けたことで、すり減った部分が残っています。
この暗い小屋を、ぐるぐる、ぐるぐる歩き、石臼を回し続けた牛の一生を思うと、ちょっと切なくも。
柱のすり減った跡、牛の脇腹の高さなのが、何ともリアル。
この小屋の1つに、瀬戸芸アートの展示が。
作品名「Suitcase in a Bottle」。
見たまんまww
漂流する人々の心情を、表現しているそう。
このアーティストさんの作品、前回の瀬戸芸では、かずら橋の下のお池に浮いてたの。あの巨大ボトル、よく覚えてる。
さてさて、息を切らしながら、四国村の1番高い所まで、登ってきました。
普段の私なら、明らかにヘタってる坂道。
このエリアには、灯台の退息所(灯台守さんの住宅)が展示されていて、3軒ほど並んでいます。
外見は洋風でも、内部は和風の造り。
灯台建築の変遷を知るための、貴重な資料だそう。
ホントだ、押入れ付きの畳部屋〜。
かまども、あるんだって!
隣接する別棟は、手前がお風呂場で、奥が倉庫。
倉庫は現在、普通に使えるトイレになっていました。
ちょっと、トイレ行ってくるね!
私は行かなかったけど、今思えば、どんな風になってるのか、覗いてみればよかった。
お風呂、煉瓦造りですね〜!
お風呂椅子、木製だけど、サイズも形も今とほぼ同じ。
浴槽の下から、沸かしてたんだね。
こちらは、明治時代に建てられた、鍋島灯台退息所。
鍋島灯台⁉︎‥坂出市の沖にあった、鍋島灯台、春会期の瀬戸芸で行って来たよ!
ちなみに鍋島は、瀬戸大橋から見える、こんな小さな島です。
あの白い灯台のそばに、この美しい退息所が建っていたのでしょうか?
外国人灯台守の住居なので、間取りも洋風。
お隣の島・与島産の花崗岩の切石を使った、重厚な石造りでした。
小豆島の海事会社から寄贈されたという、大きなイカリ。
江埼灯台退息所。
阪神・淡路大震災で、石造の壁に大亀裂が入り、屋根瓦が落下するなど、甚大な被害を受たので、四国村にやってきたそう。
部屋を覗くと、エキゾチックな暖炉も見えました。
‥ふ〜。‥寂しい職場(灯台)と、お家(退息所)を往復する生活、かあ‥。
今みたいに、サブスクで話題の映画を見たり、推しの音楽を聞いたり、タブレットで好きな本を選んで読んだりできない時代。
灯台守さんは、家での静かな時間を、どんな風に過ごしていたのでしょう?
そろそろ、傾斜を降りながら、村の入口に戻る時間です。
国内外の貴重な美術品を展示する「四国村ギャラリー」にも、入館しました。
ここ、好きなんだけど、館内撮影禁止なのです。
道沿いにポツポツ建つ古民家を眺め「この建物達が元々建ってた場所は、どんな集落だったのかな」なんて、想像したり。
四国各地から移築された、江戸時代〜大正時代の古民家が、大集合して形成されたのが、この四国村。
どの建物にも、それぞれ現役だった時代と故郷があって、そこで暮らす人々がいたんですよね。
それを思うと、不思議な野外博物館だね。
めっちゃ計画的に作り込まれた村でありながら、完全に屋島の自然に溶け込んでいるところが凄い。
施設のスケールの大きさも去ることながら、時間と空間と人間の歴史が、ギュッと1箇所に寄せ集められてることに、改めてため息が出ました。
細い坂道をテクテク進んでいると、
‥うわあ、やっぱ山だけに、色々出るみたい。
(^▽^;)
突然現れたこちらは、作品「装う神さま」の1つ。
小さくて柔らかいはずのアメフラシが、巨大化して重厚な金属に。
山の上に暮らす、海の生き物、いえ、神様でした。
おっと、パスポートにスタンプ、スタンプ!
この番号は、さっき押したよ。
同じアーティストさんの作品が、村内に点在しているので、同じ番号のスタンプが、複数箇所に設置してあったのです。
どの番号のスタンプは押印済みで、どれはまだなのか、全く記憶できない私。
村を歩く順路によっては、スタンプを押し忘れたり、気付かずに通り過ぎる人もいるのかな?
あった!カンカン石!
讃岐岩(サヌカイト)は、叩くと「カーンカーン」と、心地良い音がする石。
私、前に来た時も、コレ叩いた!
楽器や呼び鈴、風鈴なんかにも使われてて、本当に澄んだ、キレイな音がするの。
更に坂を、下って、下って‥
おお、かずら橋、またね!
下り坂の歩きは加速しやすく、あっけなくエントランスに到着。
シャトルバスの時間まで、もう少しあるから、カフェでお茶しよう。
このカフェは、明治後期に建てられた、神戸の異人館を移築したもの。
入店できて、ラッキー。
バスの時間ギリギリだったり、満席なら、諦めなきゃいけないな、って思ってたから。
あのね、ここのケーキ、とても美味しいのであります!
本当は、ゆっくりお茶できたらいいのですが、もう少しで、バスが来る。
コーヒー片手に、読書してる人もいたよ。何か贅沢で、いいよね。
ケーキが美味しい上、良い雰囲気のカフェなので、四国村を訪れた際には、是非。
シャトルバスで、ことでん屋島駅まで、戻って来ました。
自然に囲まれた古民家にタイムトリップした、四国村。
この駅は、風景的にも、距離的にも、今から戻る2022年の街・高松駅周辺との中間点。
ホラ!
あの四国村から「ポン!」と現代にワープした感じ、一瞬、クラクラしちゃうからww
さ、JRに乗り込んで、本州・岡山まで帰りますか!
快速マリンライナーの車内で、
そうだ、瀬戸芸パスポート、見てみよう。スタンプ、増えたな〜。
‥アート巡り、順調に進んでいます。
瀬戸芸パスポートに押すスタンプ、集まってきた?
毎回持ち歩いてる、瀬戸芸公式ガイドと、3シーズンパスポート。
デジタルパスポートもあり、私のは、紙パスポート。
参加作品には、アーティストさんごとに、番号が振られています。
会場で作品鑑賞したら、パスポートのスタンプ欄を開き、同じ番号の上に押印する‥これを繰り返して、ニマニマする、というシステム。
番号の中には、瀬戸芸期間中の数日だけ開催される、イベントやパフォーマンスなども含まれているので、全スタンプを完璧に揃えられる人は、少ないと思います。
あと、スタンプ数によって景品がもらえる‥みたいな特典は、ナシ。
‥え?景品、ないの?
うん。
主に、現地で押印する行為そのものや、少しずつスタンプが溜まる過程を楽しんだり、後でどの作品を見たのかわかる、という、忘備録的な役割?
今回の瀬戸芸は、できれば全会場を回りたいので、最終的には、かなりのスタンプが揃いそうな予感。
ちなみにこの記事の、高松港周辺・屋島エリアは、パスポートでは「高松港」の欄に含まれます。
前回、そして今回の、高松滞在中に集めたスタンプを併せたら、結構な作品数を制覇したようでも、実際はこんな感じ。
「あの作品は、何回か見て知ってるから、わざわざ見に行かなくてもいいや」って、パスしたのもある。
「高松港」の下の欄「宇野港」などは、会期外に行きました。
宇野港周辺で、何点かの野外作品を見たものの、スタンプは片付けられてたので、押印できていません。
豊島・犬島も同様に「訪れて色々鑑賞してきたけど、スタンプ欄は真っ白」。
‥ん?でも確か、どっかで、片付け忘れられてたスタンプを見つけて、ウホウホ押したぞ?
景品目的のスタンプラリーじゃないだけに、
自分で「ここ、ちゃんと行った」って覚えてれば、個人的には問題なし。
ところで、2022年の瀬戸芸作品数、どのくらいあると思いますか?
答えは、214作品!
そんなにあるの⁉︎
うん、ビックリだよね。
33の国と地域から、184組のアーティストが参加しており、 新作・旧作を合わせた作品総数は、214に上るそう。
今回、第5回目を迎えた瀬戸芸。
回を重ねるごとに、新作アートが追加されています。
作品、全部見切れなくて、悔しい!
という人も、
目的の作品を見れたから、ヨシ!
という人もいそうだし、もしかしたら、
いちいちスタンプとか、面倒。パスポートは、受付で提示するためだけに、持ち歩いてる。
なんていう、ツワモノさんもいるかも。
私は「押せる時は押すけど、押せなかったら、それで大丈夫」というスタンスです。
時間がない時、スタンプに列ができてたら、パスすることもあるし、作品数が多いお陰で、自分が見れない作品があっても、気にならないんだと思います。
もし展示作品が、全部で7つしかなくて、見れたのが6つだったら「1つだけ、見逃した〜!」ってなりそうですが、そうならないのは、作品数が豊富なお陰。
そして、瀬戸芸作品に加え、現地ならではの面白い体験・出会いが、山のように待っているから、そこそこ忙しいのです。
10月下旬の現在、瀬戸芸閉幕までの期間は、あと約2週間となりました。
仕事の合間を縫って、引き続きアート巡りを続けてレポしますので、どうぞお楽しみに!
それでは、また!