この記事は、瀬戸芸2022・秋会期に、高松発のオフィシャルツアーで、伊吹島・粟島を巡ったレポです。
ドラマで話題になった、粟島の「漂流郵便局」も訪れました。
こんにちは。
最近の休日は、ぼぼ島巡りに明け暮れるneoです。
![開催エリア](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/05/0-1024x747.jpg)
3年に1度の、現代アートの祭典・瀬戸芸。
瀬戸内海の島々を舞台に、3会期に分けて開催されます。
- 春会期:4月14日〜5月18日
- 夏会期:8月5日〜9月4日
- 秋会期:9月29日〜11月6日
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■画像出典:瀬戸内国際芸術祭2022・公式サイト
期間中、ずっと開催されている会場が多いけれど、春会期・秋会期のみの会場も。
私が今回訪れたのは、秋会期のみの開催地・伊吹島と粟島。
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この2島は、香川県の島々の中でも、かなり西に位置する島になります。
公共交通機関で離島を訪れるのは難しく、特にこの2島は、事前のスケジュール組みがかなり重要。
本数の少ない船便に合わせて、最寄りのJR駅から、のりあいバスで港まで移動し、島に渡らなくてはいけません。
旅行者には、時間的な制約もあるからね。
この2島を1日で巡りたい人にとって、正に「渡りに船」といえるのが、瀬戸芸オフィシャルツアー。
個人旅で島を訪れるメリットを知ってる私も、この2島は、オフィシャルツアー、一択!
両方、前回の瀬戸芸で行けなかった島。楽しみ過ぎる!
今回は、アートとかよくわかんない私も、同行しました。
伊吹島と粟島、どちらも素晴らしかったです。
いつか行きたい人も、まだ行く予定のない人も、是非ご覧ください。
また写真いっぱい撮ってきたよ!
JR岡山駅〜伊吹島・真浦港
新幹線でJR岡山駅に到着後、在来線ホームに移動。
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高松行き「快速マリンライナー」に乗り込みます。
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マリンライナーは、本州・岡山と、四国・高松を結ぶJR線。
ただいま、瀬戸大橋を走行中。
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今回のツアーは、JR高松駅発。
ツアーバスへの乗車は、途中のJR坂出駅からも可能だったので、私達は坂出から参加することに。
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目指すJR坂出駅は、瀬戸大橋を渡り切ったところにあります。
岡山から香川に乗り込む民にとって、四国の玄関口。
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高松を出発したバスは、時間通りJR坂出駅に到着しました。
(※写真は、別日に撮影したもの)
合流メンバー10名以上を乗せ、北口バスターミナルを、9時10分に出発。
‥みんな、折り畳み傘持ってる。今日の天気予報、雨なんだよね。
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観音寺港に到着。
小雨がパラつく中、伊吹島へは、ツアーのチャーター船で。
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今回のチャーター船は、かなりレトロ。
伊吹島・粟島のパンフをもらいました。
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ツアー開催日が、連休と重なっていることもあり、満員御礼。
参加者を2班に分け、2名のガイドさんで案内してくれるそう。
こんなに参加者が多い回、私は初めてかも。
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ガイドさんによる、今から歩く島内ルートの説明。
最初に向かう伊吹島は、こんな島です。
- 香川県の西端に位置する、全国的にも有名な「伊吹いりこ」の島
(※いりこ:カタクチイワシの煮干し) - 平安時代の京言葉のアクセントが残っており、独特な文化が受け継がれている
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約20分で、伊吹島・真浦港に到着しました。
伊吹島
伊吹公民館周辺(2作品)
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港から坂を上り、目指すは、昼食会場の公民館。
雨は、降ったり止んだり。
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細い坂道が続きます。
島の人が乗る、バイクや車の音が聞こえたら、すかさず道の端に寄り、身を固める私達。
瀬戸芸の時期って、明らかに来島者が増えるよね。お騒がせしてます。
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あっ、1つ目の作品だ。
インドネシアのアーティストさんの作品「パサング」。
「パサング」とは、インドネシア語で「潮流」とか「ペア」という意味です。
アーティストさんは、漁師さんが漁船に持ち込んだ、木製の家型のお守り「ふなだまさん」を手のひらに載せた様子や、2隻1組で行っていた、いりこ漁の写真などから発想を得たのだそう。
瀬戸芸のアート作品には番号がついており、鑑賞したら、瀬戸芸パスポートにスタンプを押します。
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はい!
「パサング」の番号の上に、伊吹島初のスタンプゲット!
‥って、逆さまに押しちゃったww
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井戸に見えるのは、雨水を溜める「雨水井戸」。
地下水が湧かない伊吹島では、かつて生活用水・お風呂まで、雨水を利用していました。
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電気導入記念碑。
「昭和42年10月1日点灯」とあります。
55年前は、まだ電気が通ってなかったんだね。
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公式ガイドによると、島の人口は323人。
空き家も、チラホラ。
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伊吹公民館に到着。
この島で初めて見る、大きな建物です。
ここは島民の憩いの場で、昔は、映画の上映もされていたそうですよ。
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ここにも「パサング」の人の、アート発見。
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作品の中から、島の民謡(?)的な、のどかな歌声が聞こえていました。
年配女性のアカペラ。‥あ、また小雨が。
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ステージのある大広間。
長机が並べられたここが、本日の昼食会場です。
テーブルの上に、セッティングされていたのは、伊吹島の郷土料理「うららの伊吹島弁当」。
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「うらら」とは「私達」という意味の方言。
島のお母さん達に受け継がれてきた、美味しい郷土料理・家庭料理のお弁当だそう。
瀬戸芸では、その土地で採れる食材で、そこに住む人が、その生活にあった調理法で料理する「食」を楽しんでほしいと考えています。
そういえば‥廊下から、お母さん達がお弁当を作ってくれてる台所が見えた。
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あの大きな炊飯器で、ご飯を炊いてくれたのかな?
ほんのり温かい「いりこ飯」、そして運ばれてきた、いりこ出汁のお吸い物、何と優しい味ですこと。
離れた場所に座っていた夫は、あっという間に完食した模様。
カラのお弁当箱を整えて立ち上がり、まだ半分も食べてない私に、ジェスチャーで、
(‥先に、外に出てるね)
昼食後は、食べ終わった人から、集合時間まで自由行動でした。
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公民館のすぐそばの作品「イリコ庵」。
小さな集会所として、島の人も利用している野外作品です。
そこに腰掛けた、夫を発見。
‥はっ!何か、食べてる⁉︎
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旅先では、買い食いの楽しみもあるけど‥いや、今、お弁当食べたばかりでは‥?
お好み焼きに似てるけど、違うよね?お魚のいい匂いがする。
いりこが入っとるんよ、美味しいよ!
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アート作品に腰掛けたおばあちゃん(笑)が売ってた「伊吹洋食」なる食べ物。
お値段、まさかの150円。
これ、お腹が空いてたら、3つくらい食べれそう。
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島を歩くと、あちこちに猫がいて、とても癒されました。
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どの子も、のんびりしてる。
みんなが中腰になって、スマホ向けてる先は、こんな感じ。
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足元に寄ってくる子も、可愛かったです。
でも、猫エサの袋ゴミが、いっぱい道端に捨てられてるの、悲しかった。瀬戸芸客の仕業?‥島の人、ごめんなさい。
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永遠に猫を愛でたい勢いですが、集合時間になりました。
みんなで、旧伊吹小学校に移動します。
旧伊吹小学校(2作品)
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教室の中に、アート作品が展示されています。
「ものがみる夢」
旧小学校の2つの教室内に「海の庭」「島の庭」を制作する。「海の庭」は、さまざまな形状の漁網を活用し、教室から見える美しい海や島の景色を借景にした作品。「島の庭」は、今は使われなくなった水瓶や釜などを使用した、かつての伊吹島の生活を想像させる作品。
■瀬戸内国際芸術祭2022・伊吹島パンフより引用
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こっちが「海の庭」かな。
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教室の中と、窓の外に広がる海。
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カラフルな網の上に、古道具がポツリ、ポツリと置かれた「島の庭」。
あっ!アレ、昔、実家で使ってたよ!
島の漁師町で育った夫には、懐かしい道具もあった模様。
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シャキーン!と立った網の迷路を、クネクネ歩き、教室内を進みます。
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窓からは、斜面に建つ集落が。
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階段の踊り場に立てかけてあった「世界全図」。
初めて来た小学校なのに、見覚えがある。
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膝の少し上の高さ‥という、恐ろしく低い位置に設置された水道も‥私、使ってた気がする。
こういう設備は割と、全国の小学校共通だったのかな。
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壁に立てかけられた、ハート形の伊吹島の航空写真、昔の入学風景の写真。
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廊下には、あのアーティストさんの作品が、数点展示されていました。
え〜っとね‥ペヤング‥いや「パサング」!パサングのアーティストさん。
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昔はこの靴箱に、小さい運動靴が、ギッシリ並んでたんだろうな。
校庭には、伊吹島弁当の販売テントもあったよ!
‥また、雨が降り始めました。
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急に気温も下がって寒いので、リュックの中のパーカーを着込みます。
フードをかぶる人や、首にショールを巻く人も。
島巡りでは、その日の気温や天候に合わせた、各自の準備がモノをいう。
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校庭の野外作品「トイレの家」。
島の入り組んだ路地を連想させる構造‥って書いてあるけど‥
散策の前って、おトイレ大事だから、まっしぐら!
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わ、いきなり異空間に迷い込んだ感!
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アート作品だけど、誰もが普通に使えるトイレで、右の白いドアが個室。
天井や壁のスリットから、光が差し込む設計は「時間帯によって、異なる表情を見せる」とのことでした。
昼間なのに、雨だったから、柔らかく霞んだ光だったな。
島内散策・アート鑑賞(3作品)
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さあ、散策再開。
細い道がくねくね続くのは、江戸時代の地割が、そのまま残ってるから。
凄いよねえ、江戸時代、って。
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これは、のりあいバスのりば。
狭い路地を走る、小さなバスが島内を走ります。
ちなみにバスには、3人しか乗れません。
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見晴らしの良い、墓地の先に待っていたのは‥
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伊吹産院(出部屋)跡。
ここに、アート作品があります。
【出部屋(でべや)って?】
伊吹島には、出産前後に、女性だけで共同生活することで、家事から解放されて養生する風習があり、その場所を「出部屋」と呼んだ。
「労働からの解放」に加え「血の穢れを避ける」という意味合いも。
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ここにあるのは「伊吹の樹」という、屋外作品です。アーティストさんは、生命誕生の場だった、出部屋の跡地を選びました。
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母胎をあらわす、巨大な子宮の形。
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中は、ステンドグラスのようになっていて、
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伊吹島の、空や海を映します。
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生命力みなぎるアロエの塊も、作品の一部だそう。
作品の威力に圧倒されつつ‥。
島の女性達が助け合って「昭和45年頃まで、実際に使われていた」という出部屋システム、ですよ。
現在の病院(クリニックなども)の、産婦人科病棟・新生児室による、妊娠・分娩・産褥・新生児管理との隔たり‥って、かなりだよね?
私達が見慣れた医療器具も、薬剤も滅菌消毒もなく、言い伝えや経験・勘に頼っていた頃の、女性達のたくましさに震えます。
‥でも、人間の歴史としては、そっちの方が長いんだよな〜。
「島には十分な土地がない」という理由もありますが、出部屋の近くには墓地も。
人間が生まれ落ちる時と、女性が出産する時というのは「生と死」が隣り合う、人生の大危機。
まだ電気・水道も通ってなかった頃、出部屋で展開されたであろう、悲喜交々について、しばらく想像が止まりません。
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「ここに住んでた人も、代々、出部屋で生まれたり、出部屋でお産したのかなあ」なんて、考えながら歩きます。
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‥あれ?
ガイドさん、空き地で、立ち止まりましたよ?
ここは、作品が展示される予定だったのですが、コロナ禍の影響で、制作が叶いませんでした。
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こちらは、インドネシアの6人組アーティストさんの作品「ゲゲルボヨ」。
島国である日本と、インドネシア間の類似性を、表現したそうです。
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わ!
三角の赤い旗、インドネシアっぽい!
赤は赤でも、この赤が、特に!
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故郷のインドネシアに似た暮らしや、日本で初めて見た、印象に残る風景が描かれている、と言います。
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???‥片手で掴んでるのは、人面魚?
‥もちろん、実写の日本の姿ではないけれど。
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玄関を入ると‥うわお!
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絵のモチーフは、日本だったり、バリっぽかったりですが、色数が抑えられているせいか、とっ散らかった印象は、ありません。
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廊下に出ると、古民家。
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部屋に入ると「ここはどこ?」。
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お風呂、あった!
帰宅後、ガイドブックに「(ここは)旧郵便局で、瓦に〒マークが残る、珍しい建物」とあり、慌てて瓦が写った写真を探して、拡大してみると‥
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05356-2.jpeg)
これかっ!
かろうじて「〒」マーク‥わかります?
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現地で見落としていたモノを、後から写真で発見するのも「瀬戸芸あるある」。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05375-1024x768.jpeg)
消防署付近、右側の金網の中は、
江戸時代に作られた、平井の井戸(ヒラヤのイズミ)。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05378-1024x768.jpeg)
今では、送水管で水が送られていますが、かつては雨水を溜めたり、本土から船で、水を運んだそう。
‥あれ?ガイドさん達が、どこかに電話したり、地図を広げて慌しそう?
何と!
次のアートに向かう下り階段が、雨天のため閉鎖されたようです。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05383-1024x768.jpeg)
一旦、港まで降り、海沿いを歩いて、次の作品を見に行くことに。
このルートだと、作品までちょっと距離があるので
- 予定通り、作品を見に行くグループ
- 伊吹島民族資料館に行くグループ
- 港のお土産屋さんなどでゆっくりするグループ
の3つに、分かれたいと思います。
こんな時、ガイドさんは、とても頼れる存在。
特に、迷路のような島内で単独行動する場合、道に迷ったり、時間配分を間違って、船の時間までに港に戻れなくなっちゃう人も。
‥雨だけど、今からどうする?どのグループでも、いいよ?
‥もちろん、次の作品を見に行く。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05386-1024x768.jpeg)
‥そんな訳で、港に戻ってきました。
海沿いの道から、少し離れた場所にある作品「浜辺の歌」を見に行きます。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05392-1024x768.jpeg)
あ!
いりこの水揚げから加工までを行う「いりば」が続いてる!
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05388-1024x768.jpeg)
えーっと、獲ったいりこを、ポンプで「ゾゾゾゾ」って、オレンジ色の太いホースで吸い上げて‥
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05389-1024x768.jpeg)
空中の輸送路を、ビュンビュン通って‥
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05390-1024x768.jpeg)
加工場に運ばれたら、すぐに熱湯で茹でて、乾燥!
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05411-1024x767.jpeg)
この加工の速さが、日本一の「伊吹いりこ」の美味しさの秘訣。
さっき食べた、いりこ料理、どれも美味しかったもん。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05409-1024x768.jpeg)
あ〜、これが、雨天で急遽、通行禁止になった階段‥でしたか。
通行禁止の張り紙がしてある。
この階段を使えば、高い場所の集落から、直通でここに降りて来れるようですが、かなりの急傾斜です。
珍しい「いりば」を近くで見れたことだし、迂回して、ラッキーだったかも。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05393-1024x768.jpeg)
‥はい、作品に到着しました。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05397-1024x768.jpeg)
サウジアラビアのアーティストさんの作品・「浜辺の歌」。
左奥は、映像作品が‥?
‥何じゃ、こりゃ?
アラビア湾岸文化圏では船乗りの無事を祈って、ナツメヤシの葉で編んだ篭に火を灯し、海につけて治めるという祈りの儀式がある。伊吹島で木造の船を造っていた旧造船所を舞台に展開される、祈りのインスタレーション。
■瀬戸内国際芸術祭2022・伊吹島パンフより引用
映像は、実際にその儀式を、再現したものでした。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05408-1024x768.jpeg)
ああ、ヤシの葉っぱ、先の方が焦げてるのがある。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05403-1024x768.jpeg)
旧造船所だけに、海に続くスロープも、この通り。
陸で組み上がった新しい船が、ここから海に滑り出してたんだね。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05407-1024x768.jpeg)
海側から振り返れば、こんな感じ。
航海中の安全祈願は、全世界共通です。
‥ではそろそろ、港に戻りましょうか。
疲れた私は、行きで通った「いりば」の奥を覗き込んだりしながら、チンタラ歩いてるけど、夫はスタスタ港に直行。
気付けば、港でアイス買って食べてるし。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05413-1024x768.jpeg)
‥えっ⁉︎
いりこアイス?
‥どんな味?(←興味津々)
うん、美味しいよ。ちりめんじゃこの塩気が、いいアクセント。
味見したところ、ちりめんじゃこが、バニラアイスに混ぜ込まれた、面白スイーツでした。
じゃこ、舌の上に残るねww
余談ですが、どこかで読んだ「いりこは、怖い顔のが美味しい」という説。
それは、新鮮なうちに茹でられると「口が開いて、威嚇してるようなカオ」になる、ということらしい。
あ〜、わかる気がする〜。
ちなみに、私が持ってるスプーンのいりこは、口を閉じています。
お魚のスプーンですよね、これ「カフェオレボウルにいれた紅茶(お砂糖入り)が、どう見ても煮干しの出汁現象」を引き起こします✨ pic.twitter.com/kQDfW0UCp3
— neo (@neosoft9) September 26, 2022
いりこって、芸術的な造形だと思うの。
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お土産、いっぱい買っちゃいました。
エビなんかも、漁の網にかかるそうで、干しエビ・むきエビもゲット。
コワレモノだから、丁寧に持って帰らないと、粉々になるからね。(←前科あり)
港で出港を待つ間、現地スタッフさんに「瀬戸芸公式のアンケートに、答えてほしい」と言われ、スマホで回答したところ、
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青い方の、大判ウエットティッシュがもらえました。
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船に乗り込み、雨の中、お次の粟島に向かいます。
ちなみに粟島は、こんな島。
- かつて「粟島海員学校」があり、多くの優秀な船乗りを育ててきた
- 2010年から、粟島芸術家村で、多くの若手アーティストを受け入れている
- 現在の人口は150名くらい。幼稚園・小中学校があったが、廃校になった
- 「宛先のない手紙」を預かる「漂流郵便局」がある
粟島
粟島は、スクリューの形をしています。
粟島のシンボル・日本最古の海員養成学校は、現在「粟島海洋記念館」に。
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2022年10月現在は、改装工事中でした。
修学旅行で、カッターを漕いで、広島県の宮島まで行ったんだって!
港に、日比野克彦氏のアートプロジェクト発見。
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海の遺物が展示される、海上の美術館「一昨日丸(おとといまる)」。
遠目に眺めただけ。「アレ、ガイドブックに載ってたやつだ!」って。
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ガイドさんと一緒に、スクリューの真ん中エリアを、散策します。
旧粟島中学校(粟島芸術村)(2作品)
ここは、アーティストと島民の、交流拠点にもなっています。
雰囲気のある校門の写真、人が多くて、撮りそびれちゃった。
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校庭に、船長小屋。
これも日比野克彦氏の、アートプロジェクト「種は船」。
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校舎内は、教室ごとに作品展示が。
わああ、この木の匂い、懐かしくない?嗅いでみて?
‥?‥初めての匂い。
私の小中学校、鉄筋校舎だったから。
夫は、同世代のガイドさんと、昭和の懐かしい話が合ったようです。
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イノシシが泳いで海を渡ること、初めて知りました。
その映像が流れててね、イノシシ、めっちゃ泳いでたよっ!(←興奮気味)
‥え?イノシシは泳ぐよ?知らなかったの?
‥うん。
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壁一面に描かれた絵と、ゆるくカーブした黒板。
ああ、黒板って、こんなだったな。
別棟の、講堂を丸ごと展示室に使った、作品名「TARA」に入ってみましょう。
![](https://parosuke9.com/wp-content/uploads/2022/10/DSC05424-1024x768.jpeg)
「タラ号」とは、船の名前。
気候変動や、海洋汚染の生態系への影響を調査し、共有する化学探査船です。
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こちらは、フリーペーパー・タラ号新聞。
子供向けに、タラ号の活動や海洋汚染について、わかりやすく書かれていました。
もらって帰って、じっくり読んだよ。
‥あっ!
海岸で見つかった品々の中に、目薬の容器が⁉︎
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この薄ピンクの容器内には、透明な液が満ちていて、誰かの目を潤してたはず。
1つ1つ、じっくり見たいけど、時間の関係で急ぎ足。
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タラ号には、アーティストさんも、乗船しているそう。
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この肺の絵なんて、凄くないですか?
人体の中に、魚の集まるサンゴ礁がある。
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こちらは、海底にあったモノに思いを巡らせる、という「ソコソコ想像所」。
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網に吊るされた、様々なモノ。
用途がわからないモノ。
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隣のお部屋。
「SOKO SOKO」のロゴ、可愛い。
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こちらは、瀬戸芸作品ではないようですが、
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「言葉としての洞窟壁画と、鯨が酸素に生まれ変わる物語」というタイトルの作品でした。
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瀬戸芸ガイドに掲載されてないだけに、パネル解説があって、良かった。
これ読まなかったら「‥何か、鯨の骨の模型?の、謎の部屋」で終わったね。
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音楽室には、高校のデザイン科の作品「船出の誇りとはなむけの島」。
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地域おこし協力隊の人のインタビューに‥
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「粟島は、若者を受け入れ、育み、送り出すという、素晴らしい文化を培ってきた」とありました。
かつての海員学校も、若い船員を沢山送り出した、長い歴史があります。
島の特徴や、歴史を知ることで、目の前の作品のテーマの深さ・アーティストが表現したかったことに近づけます。
この文化を次の時代につないで、島の新しい未来を創っていくために、芸術家村のアーカイブ化を進めていくんだって。
中学校の次は、高台の上にある、幼稚園に向かいます。
旧粟島幼稚園(1作品)
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幼稚園までは、ちょっと坂道。
「昔は、元気な園児達が、駆け上がってたんだなあ」なんて。
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ももぐみさんの教室は、今や瀬戸芸会場。
受付の人が2人、静かに座っています。
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エステル・ストッカー氏の「思考の輪郭」。
氏は、岡山県・JR宇野駅の駅舎も作品化しています。
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(※参考:JR宇野駅)
ひと目でわかる、エステル・ストッカー・ワールド。
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‥なんて、クール!
スタッフさんに「足元、気をつけてくださいね」と言われた矢先、片足を引っ掛けちゃた。
うきゃっ!すみません!
お前、現代アートを壊したね。
私のような人は珍しくないようで、床の上の山形に出っ張った黒い細板は、何度もテープで修復されていました。
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ももぐみさんのお部屋は、白い空間に。
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ふじぐみさんのお部屋は、黒い空間に生まれ変わってました。
では、旧粟島小学校へ移動しましょうか。校内をご自由に見て回って、集合時間になったら、校庭に集まってくださいね。
旧粟島小学校(2作品)
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校庭にも、何やらアート的なものが?
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雨のせいで、校舎のおどろおどろしさ、マシマシ。
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作品名「過ぎ去った子供達の歌」。
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巣立っていった子供達を、表現しているのだそう。
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教室の後ろに、ランドセルのロッカーが。
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交互に並ぶ赤と黒のランドセル。
左手前の丸い穴から、子供達の声や、チャイムの音が、エンドレスで流れてます。
ああ、小学校ならではのガヤガヤ感。これも含めて「作品」なんですね。
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外の光を遮って、夜の学校みたいな空間、あったー!
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懐かしい体重計に載ってるのは、地球儀。
地球の重さを測定中?
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トロフィーをライトアップした教室。
何に優勝した人が、手にしたんだろう?
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階段や廊下の中央分離帯、見たことある!
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おう、保健室だ。
人体模型、こっちを見てる。
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もうね、映画の小道具みたいなんですけど〜。
この瓶、懐かしい〜!
島の集落や、廃校になった学校のあちこちで、郷愁を感じることができる彼、ちょっと羨ましい。
この瓶は、かろうじて、保健室で見た覚えがある。
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こんな形の水道、面白いな。
山の斜面に建つ学校なのに、廊下の窓から、プールが見えたのが、意外でした。
古いプールに溜まった水、抹茶色だった。
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渡り廊下に、等間隔に並べられたハードル。
ハードルの現物を見たの、子供の時以来かも。
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音楽室から見えた、島の風景。
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壁に貼られているのは、世界の音楽家。
知ってる!‥この人達、私も知ってる。
あの人、滝 廉太郎だよねっ⁉︎
そうそうww
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グランドピアノには「粟島小学校校歌」の楽譜が。
歌詞は「静かなる 瀬戸の内海 白き砂 青き松原‥」か。
ピアノの伴奏で、子供達が合唱してたんだね。
古い校舎全体が、この島で子供時代を過ごした人々の記憶を、静かに保管してくれています。
それと同時に、初めて訪れた私達が、とっくに忘れていた記憶を、色んな角度から、発掘してくれるのでした。
もし瀬戸芸がなかったら、廃校になった小学校へなんか「絶対入っちゃダメ!」だもん。
漂流郵便局
ガイドさんのグループから離脱して、絶対行きたかった、ある郵便局に向かいました。
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全国から寄せられた手紙が展示された「漂流郵便局」を、ご存知ですか?
届け先のわからない手紙、預かります。行き先不明の手紙が届く小さな島の『郵便局』
~いつかのどこかのだれか宛~
こちらは、届け先の分からない手紙を受け付ける郵便局であり、「漂流郵便局留め」という形で、いつか宛先不明の存在に届くまで漂流私書箱に手紙を漂わせてお預かりいたします。過去/現在/未来
もの/こと/ひと
何宛でも受け付けます。いつかのどこかのだれか宛の手紙がいつかここにやってくるあなたに流れ着く。
懐かしい未来への郵便局。
漂流郵便局、開局いたします。【漂流郵便局】
■三豊市観光交流局・漂流郵便局より引用
築50年の郵便局を使ったアートプロジェクト。手がけたのは現代美術作家の久保田沙耶さんで、第2回目の瀬戸内国際芸術祭を機に誕生。局内では、全国から寄せられた「誰かに届けたい想い」を綴ったハガキが展示されています。※本物の郵便局ではありません。
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その郵便局があるのが、ここ、粟島。
2022年に放映された、漫画が原作のドラマに登場し「実在するんだ!」と、話題になりました。
私は未読だけど、コミックス6巻に登場するそうです。
局内の様子
2013年の瀬戸芸で制作された、漂流郵便局。
久保田沙耶氏によるアート作品で、瀬戸芸が終了したら、撤去される予定でしたが、
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人々の要望・熱意で継続され、現在も開局中です。
入ってみようよ。
うん、もちろん!
入館料は、300円。
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島に新しい郵便局が建つ前は、ここが郵便局だったそう。
なので、旧粟島郵便局。
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「いつかの どこかの だれか宛の手紙」は、自由に手に取れるようになっています。
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椅子に腰掛け、選んだ1通に、静かに目を通す人も。
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窓口では、局長の中田氏がお仕事中?
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中田氏は、元粟島郵便局局長さん。
笑顔が素敵なお方で、快く撮影に応じてくださいました。
漂流郵便局留めで、手紙を郵送する以外、直接この島を訪れて、手紙を持ち込むこともできます。
「営業時間外、または局員が在局していない時は、入口左側の郵便受けにお入れください」
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これがその、レトロかわいい郵便受け。
沢山のお手紙が届くから、ハガキ推奨なんだって。
この後、集合場所の港に直行。
定刻通り、チャーター船に乗り込み、四国・本土の宮ノ下港へ。
宮ノ下港からツアーバスで、JR高松駅に到着する頃には、すっかり日が暮れていました。
今回は、高松港近くのホテルに1泊。
手紙を出すなら、誰宛に?
ずっと訪れてみたかった、漂流郵便局。
きっかけは、この本でした。
‥で!
「ここに行って、誰かが書いた手紙、読んでみたい〜」と、考えていたのです。
けれども‥。
1番最初に、目に飛び込んできたハガキの宛先は「過去の自分へ」。
力強い、鉛筆書きの文字を見た途端、何となく「‥これは‥私が読んではいけない」と直感し、
手に取るのをやめて、建物全体に漂う雰囲気や「全国から集まったお手紙が醸し出す、見えない何か」を感じる方向にシフト!
局内の写真を撮影したり、訪れた人の様子を、ぼんやり眺めて過ごしました。
これはこれで、充実したひと時だったと思います。
一方、棚の中に積まれていたハガキを、熱心に読んでいた夫。
帰りの船内で、どんな手紙だったのか尋ねたところ、
‥うん、1通は、高校に進学するらしい、女の子の手紙だった。将来の夢とか。
もう1通はね、ハッキリはわからないんだけど‥多分、生き別れの兄弟に宛てた手紙だと思う。自分の近況とかね、あと「お母さんは、元気です」とか書いてあったよ。
どこの誰が、いつ頃、誰に宛てて書いたのか、わからない手紙。
何かこう‥どのお手紙にも、思いや歴史が詰まってるね。
うん、不思議な感じがした。
もし、漂流郵便局宛に、お手紙を出すなら、夫は誰宛てに書く?
‥あ〜、死んだ親父かな。最期まで言えなかったことがあるから。
‥では、私は‥?
一体、誰に手紙を?
雨の中を走る船から、灰色にかすむ海を眺めながら、
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今見てきたばかりの、手紙の束を思い浮かべます。
たどり着いた答えは、意外にも、実在するあの人や、この世を去ったあの人‥ではありませんでした。
「生まれて来れなかった弟へ」と「一緒に暮らしてるロボットへ」。
‥ランダムに交差する、過去と現在と未来の中で、あなたは、誰に手紙を書きたいですか?
漂流郵便局の書籍は、第2段も出版されています。
こちらは「胸にしみる、届けられない母への手紙」らしいので、気になる方はどうぞ。
初めて訪れた、伊吹島・粟島。
‥どちらも、濃い時間のアート巡りを楽しみ、しばらく余韻に浸ることができました。
いやはや瀬戸芸、これだから侮れません!
お疲れ様でした。最後までお付き合いくださって、ありがとうございました。
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