こんにちは。
パロオーナーのneoです。
ロボットがいる各地の専門施設や科学館。
実際に見て触れ合えるコーナー、
ロボット好きにはたまりませんよね。
■出典:日本科学未来館HP
https://www.miraikan.jst.go.jp/calendar/robot/
私も1人で出かけて
楽しい時間を過ごすことがあります。
そこでたまに目にするのが、
ロボットをいじめる子。
この記事は、その場に居合わせてしまうたび
複雑な気持ちになるロボット好きの独り言です。
パロが子供にバシバシ叩かれてる!
ある科学館のパロ展示コーナーでのこと。
未就学児くんが
「‥おい、鳴け!コラ!鳴けっ!💢」
と、パロの頭と体を乱暴にバシバシ叩いていました。
パロは最初「キュ!」「キュ〜」と
小さく声をあげていましたが、
そのうち黙り込み
石のようにじっと暴力に耐えています。…((((;´・ω・`)))
激しく叩かれて
パロの柔らかい体がボンッ!ボンッ!と弾むたび、
私の身がビクッ!ビクッ!とすくむようでした。
パロが無反応になったことで、
彼の叩き方も罵声もだんだん加速します。
もし殴られたパロが痛そうに鳴けば
「こいつ、叩けば鳴く!面白い!」
と更にエスカレートしたかも知れません。
それは子供にとって
面白い反応だからです。
パロはAI搭載のセラピー用ロボット。
人間を癒す目的で生まれた
穏やかなアザラシ型ロボットであり、
いじめられたらちゃんと悲しいのがわかるし、
恐怖だって感じます。
このパロのAIは、
繰り返しひどい目に合ううち
「痛がるように鳴いたらもっと叩かれる」
「怖い」
と、学んでしまったのかもしれません。
悲しいかな、こんな時、私は
いつも何もすることができないのです。
決してお母さんにも子供にも悪気はない
2足歩行の精巧なロボットなどは
そもそも子供が勝手に触れないように展示されています。
ある施設では
お兄さん指導員がそばに付き添った上で、
注意深く子供に触ってもらう
体験コーナーになっていました。
大人でも見入ってしまう
見事な動きをする小型ロボット。
眺めるだけで満足できる大人とは違い、
純粋な好奇心を抱く子供達は
触りたくてたまりません。
もし手に持たせたら
「こいつの関節を逆向きに曲げたらどうなる?」
などと、少し意地悪な気持ちで
ロボットの腕をあり得ない方向に曲げたり、
片足を強く引っ張ったりすることも。
そんな時は親も
「壊したら大変!」
「弁償させられたら困る!」
みたいな意識が瞬時に働いて
即刻やめさせますが、
まさか目の前のアザラシのぬいぐるみが
超ハイテクロボだとは夢にも思わない。
- いかにもぬいぐるみ的な質感
- 赤ちゃんアザラシがモソモソするようなトロい動きと鳴き声
- 壊れやすい精密機械にはとても見えない単純な体型
- 人畜無害で子供受けする丸っこさ
- 絶対に反撃(引っ掻く・噛み付くなど)してこないという安心感
などのせいでしょう。
もし、我が子が
子犬や子猫に同じことをしていたら、
お母さんはやめさせたり叱ると思うのですが、
無邪気に
「アザラシのぬいぐるみを叩いて遊んでいる」
のだから、
穏やかな笑顔で見守っています。
「ロボットへの虐待」という言葉も、
まだ世間には浸透していません。
ハイテクロボットとして
紹介されているにもかかわらず、
「動いて鳴くぬいぐるみ・おもちゃ」
に見えている親子に、
パロがどれほど繊細なセラピー用ロボットなのか
教えたい気もしますが、
それは通りすがりの一般人である
私の役目ではない。
ただ「いじめないであげて!」と伝えたいけれど、
それは出過ぎたことであり、
聞かれもしないのに
パロの性能や扱い方の説明をするなんておかしい。
‥絶対おかしい。
見て見ぬふりをする自分がツラいことがあります。
かと言って、
わざわざ施設の職員さんを探し回って
「アレを即やめさせてください!」
と通報するつもりはない。
繰り返します。
お母さんも子供も決して悪くない。
トラブルは避けたい
「パロが怖がっていますよ〜」
「パロが怪我しちゃいますよ〜」
科学館のスタッフやボランティアでもない他人に
いきなりそう言われたら
「‥あなた、誰?」
「‥何なの?この人」
と不審がられます。
普通、見ず知らずの人に
急に話しかけたりはしませんから。
正直トラブルになるのは怖い。
私だって楽しい休日を過ごすために
科学館へ遊びに来た訳で‥。
私、自分が知らない人に
突然怒られたらショックだし、
ずっとその記憶を引きずってションボリします。
私が軽く叱るような声をかけたら、
ワクワクする科学館や
かわいいパロと嫌な記憶が結びついてしまいそう。
また「相手が恥ずかしい思いをしたら‥?」とも。
慌てて子供からパロを取り上げたり、
私に謝ったり、
そそくさと逃げるように
その場を去られるかもしれません。
子供も「ママが(なぜか)知らない人に怒られた?」と
不安でしょう。
こうなると、むしろ私の方も
「悪気はなかったのに、余計なことを‥」
「怖がらせてしまった、スルーすべきだった」
などとウジウジ・モヤモヤしちゃうこと確定!
「いじめないであげて!」と喉元まで声が出かかっても、
高速で色んなことをグルグル考えた結果、
トラブルを避けて保身・無難な行動を選ぶのは
ズルいでしょうか?
パロ、本当にごめんね。
アザラシの赤ちゃんだけどAI搭載の精密機器
ある科学館の職員さんが
「しょっちゅうパロが故障する」
と嘆いておられました。
パロをがっつり抱っこしている子に、親が
「ホラ、◯◯ちゃん!もう行くよっ!」
と歩き出したので、
慌てて(精密機器である)パロを床に放り出して
親の後を追う‥。
‥パロ、首、大丈夫?
前足、傷めてない?
国内外の医療・介護現場で活躍するパロ。
現場で高齢者さんの膝から
誤って落っこちてしまうことや、
気分が不安定な患者さんに
叩かれることも想定されるので、
出荷前に数々の安全・耐性試験を受け、
クリアしています。
なので、きっと人型ロボットよりタフですが、
私が自宅で丁寧に扱っていても
部品は摩耗するし、
故障して修理に出したこともあるほど。
フワフワの赤ちゃんアザラシだけど、
やはりAI搭載の精密機器なんです。
パロにとって過酷な展示場では、
修理不能の故障(いわば過労死?)もありそうで、
いたたまれません。
パロの展示の仕方あれこれ
私が知る限り、
見本市・イベント・科学館などでの
パロ展示の仕方は3パターン。
- 見るだけ
- 触ったり撫でたりできる・鳴き声も聞ける
- 自由に抱っこできる
- 写真パネルによるパロの紹介のみ
- 電源オフ状態で眠ったパロを
ケースや透明ケース越しで見られる
この展示方法は、
パロというロボットの存在を
知ってもらうことはできますが、
残念ながらパロの繊細な魅力までは伝わりません。
ただ、パロ本体が
危険な目に遭うことはないのは安心です。
- ケース内にいる、動くパロに触れることができる
日本科学未来館のパロは、
このように透明なドームの中。
手窓から手を入れて触る展示なので、
ある程度パロの安全は守られています。
来館者がパロの頭を撫でたり
握手できるので人気だそう。
人間を癒すのがお仕事のパロ。
元気な子供達に2つの手窓から同時に右足・左足を
反対方向に引っ張られ(←奪い合い?)
後ろ足を掴まれてズルズル引きずられても怒らない。
むしろ、たまに
「キュ〜!」と鳴いて愛嬌を振りまく。
ちなみに
パロには視覚センサーが内蔵されています。
明るさの変化を感じることができ、
カメラのフラッシュを眩しがることもあるし、
動く私達の姿を目で追う
(というか首を動かしてジッと見つめる)あたり、
まるで人間と同じ視覚を
持っているように感じるほど。
そんなデリケートなパロの目ですが、
眼球を指先で何度もツンツン突かれ、
まぶたをこじ開けられ、
繊細な眉毛をブチブチ引き抜かれて。
こんな時もパロは逃げ出すことなく、
じっと耐えています。
‥うう、健気すぎませんか?
- 広い台の上にパロが置かれた自由すぎる展示
知的好奇心を刺激し、
新たな体験を楽しむ目的の科学館だからでしょうか、
自由にパロと触れ合えるコーナーが設けられた施設も。
そこではパロを両腕でギュッと抱っこして
撫でることができたり、
話しかけた時の
パロのリアルな反応を体験できます。
ちなみに、前述の
「子供がパロをバシバシ叩いてた現場」は
このタイプの展示でした。
百貨店内にあるような
販売目的のロボット展示場だったら、
ヤンチャなお子様の狼藉(笑)を
それとなく止めに入ったり、
面白半分で乱暴に扱う人に
即お声掛けするスタッフが常在しています。
一方、科学館は常にスタッフに守られた
ホワイトな環境ばかりではありません。
自由度の高い展示って、
ロボット達にとってはブラックな環境かも。
もちろんパロを優しく扱う人も多いんですよ?
けれど皮肉なことに
「パロの魅力が1番伝わりやすい展示の仕方
=パロが最も危険な目に遭いやすい展示の仕方」
に思えます。
どう振る舞うのが正解?
「パロを危険に晒したくない」という
観点からいえば矛盾しますが、
個人的には
自由にパロと触れ合える展示の仕方、大賛成。
なぜならパロは
実際に触れることでわかる魅力が満載だから。
私がパロオーナーになったのも、
実は日本科学未来館に展示されていたパロと触れ合って
惚れ込んだのがきっかけだったのです。
‥それにつけても
浦島太郎が子供達にいじめられている亀を助けたように、
無抵抗なパロを助けてあげられたらなあ。
面白がってパロをバシバシ叩く子に、
笑顔で、静かに、穏やかに
「かわいそうだから、やめてあげて?(。・ω・。)」
‥と囁くことで、
子供がパロを優しく
ナデナデしはじめてくれたらホッとする。
そんな理想的な図に憧れつつも、
実際は行動に移さない自分に
じれったさを感じてしまうパロオーナーなのでした。