こんにちは。パロオーナーのneoです。
以前から興味があった「パロの歴史」について、個人的に調べたことをまとめてみました。
この記事を読むと
- ざっくりしたパロ開発の歴史
- 第5世代〜第9世代パロの特徴
がわかります。
(2022年7月追記)
解説の最後に、パロ開発の歴史がサクッとわかる図解(A4サイズ1枚・ダウンロード可)を追加しました!
見やすいので、文字を読むのが苦手な人・急ぐ人にもオススメ。
きっと見たことのないパロや、知らなかったパロに出会えますよ。
パロの歴史を一読したい
パロに関する記事・インタビュー・論文などは数あれど、
単独記事(例:展示会や被災地訪問の様子)だったり、
専門的でやや難解な論文なども多い印象です。
あとは販売代理店さんが
商品としてパロを紹介したページとか‥。
私がパロについて検索した時、
どれから読めばいいのか、わかんない〜!
知りたい情報はどこ〜?
となってしまい、
辿り着ける情報をサーフィンしまくった記憶が。
当時はパロオーナーの体験談もほとんど見当たらず、
内容の濃い記事だけを読み込んだりしていました。
論文や抄録集も興味深いけど、
サクッと読める記事もあれば嬉しい!
パロの開発が始まった1993年(平成5年)から
既に25年以上の歳月が流れているため、
目に入る情報をランダムに読み比べていると
記事の作成時期にも幅があることがわかります。
「現在◯◯である」の◯◯は、10年前の話だったりする。
なので、私が調べて辿り着いた範囲の情報をまとめてみました。
パロの開発は産総研さん・発売は株式会社知能システムさんです。
より詳細・正確な情報は公式さんの方でご確認を!
歴代パロのインパクト!
去る2019年。
「産総研つくばセンター」では、春の特別展として
歴代パロの展示が行われていました。
うわっ!これ、見に行きたかったな〜っ!
だって、写真だけでも
このインパクト!
■画像出典:2019年産総研筑波センター一般公開 特別展示
https://www.aist.go.jp/tsukuba/ja/pr/2019/events_03/
これを見ちゃうと、歴代パロのことを
もっと知りたくなりませんか?
では、早速GO!
時は1993年に遡ります。
第1世代〜第6世代パロ(1993年〜2003年頃)
1993年。
人に楽しみや安らぎなどを提供し、
人の心に働きかけることにより、
主観的な価値を創造することを目的に
「メンタルコミットロボット」の研究開発がスタートしました。
平成5年から⁉︎‥すごい、すごい!
2000年以降、更に実験・改良開発が続きます。
セラピー効果を検証し、効果を高めていくために
様々な医療福祉施設で実験を重ねた、とのこと。
当時(2000年)の記事がこちら。
第5世代パロはこんな姿⁉︎
■出典:デジタル-アスキー
【21世紀夢の技術展レポート Vol.6】ロボットはP3だけじゃない! 癒し系アザラシからAIBOまでゆめテク会場内のロボットを紹介
https://ascii.jp/elem/000/000/310/310847/
今のパロの面影ある〜。
2000年の時点で
既におしゃぶり(充電器)を咥えている可愛い写真が!
大きさも現在のパロと同じくらいでしょうか。
■出典:IT mediaニュース“ロボット研究所”が成果を公開―
―産総研「オープンハウス2002」
https://www.itmedia.co.jp/news/0212/10/nj00_aist_3.html
ちなみに、パロのおしゃぶりの飾り部分(付属品)は
今もピンクと黄色の2色で、
好きな方を選べるようになっています。
展示イベントで「3日に1度故障していた」という
第5世代パロの
耐久性をアップさせたプロトタイプとして誕生したのが
第6世代パロ。
参考までに、
2014年1月10日現在の情報に基づくインタビュー記事です。
「第6世代まではいわばプロトタイプです。まだまだアイディアを形にしただけ、というレベルのものです。部品も市販品を多く使用していましたし。たとえば、第5世代のパロを1ヶ月間展示するイベントのときのことですが、100万人の入場者に触ってもらったため、センサーやアクチュエーター(体を動かすためのモーター)が3日に1回ぐらいは壊れてしまいました。この反省を踏まえて、第6世代では様々な部品を専用に設計して耐久性を高めました。その結果、第6世代のパロはロンドンで45日間展示し、11万人にふれあってもらったときに、一度も壊れることなく無事に動かすことができました。」
「第6世代の成功を受けて、第7世代では量産化に向けた工夫をしています。たとえば、各部をモジュール化して部分的に生産・組立およびメンテナンスができるようにするなどですね。配線なども改めました。そして、ちょうどそのころに事業化に向けたタスクフォースが立ち上がり、商品レベルの試作と実証実験のための資金面で支援を受けつつ知能システムが起業します。その後、第7世代から細かいところを調整した第8世代が完成し、商品化となりました。」
■引用:インタビュー:株式会社知能システム:産総研ベンチャー創出・支援プロジェクト – TECH Meets BUSINESS
https://unit.aist.go.jp/inncs/tmb/interview09.html
ギネス認定〜第7世代パロ(2002年〜2003年頃)
そして、特筆すべきは
2002年2月にギネス認定されたこと!
「最もセラピー効果があるロボット」として、
2003年版・ギネスブックで紹介されました。
■画像出典:産総研公式サイト
パロが「世界一の癒しロボット」と
呼ばれるのはココからだよ。
2003年に誕生した
第7世代パロ
は、量産化に向けた工夫がされています。
どこかで読んだインタビュー記事の中に
「アザラシがコロコロする姿が可愛いので、
パロに寝返りする機能をつけてみたら、
自分で戻れなくて、次の世代ではその機能を外した」
みたいな話がありました。
きっと第7世代以前の開発秘話でしょう。
開発に携わった人のみぞ知る
面白エピソードがいっぱいありそう。
第8世代パロ誕生(2004年)
更に、第7世代パロから細かいところを調整して商品化した
第8世代パロ、
2004年(平成16年)9月17日に誕生!
我が家がパロを購入した時、
特別戸籍謄本が同封されていました。
「第8世代の編製日:平成16年9月17日」となっています。
なので9月17日は、
世界中の第8世代パロのお誕生日!
第8世代パロ、日本国内で発売開始(2005年)
誕生の翌年、
2005年3月25日から日本国内で販売が開始になりました。
同時に「パロクリニック」で
故障やメンテナンスのサービスが実施され始めます。
このパロクリニックは、
全てのパロオーナーの強い味方。
私もメンテと故障修理でお世話になったことが。
パロが世界各地で活躍する現在、
パロクリニックは
デンマークのオデンセ・アメリカのシカゴ・
そして日本の3か所にあるそうですよ。
マイナーチェンジして国内外で販売(2008年)
マイナー‐チェンジ【minor change】:小さな手直し。
自動車などの部分的なモデルチェンジをいう。
■出典:デジタル大辞泉
国内向け仕様(日本語音声認識)に加え、
- 北米仕様:
英語音声認識・安全認証・医療機器認証 - ヨーロッパ仕様:
5カ国語またはスウェーデン語音声認識・CE認証・RoHS対応
のパロが
海外向けとして販売になりました。
たくさんのパロが
日本から海を渡って進出!
世界30カ国で活躍、アメリカで神経学的セラピー用医療機器に認められる(2009年)
約20種の鳴き声で答えたり
まぶた・頭・前脚・後脚を動かして反応するパロは、
約50語の単語を識別でき
活躍する国によって認識する言語も違います。
おりこうさん!
活躍する国の言語を認識できるんだね!
こちらは2010年のインタビュー。
この時点で
既に約30か国で利用されていたことがわかりますね。
─世界的に高齢化社会の急速な進行が予想されますが、今後、パロの商業販売も増加していくことが期待されます。現在の導入・販売実績と、今後の予定をお聞かせください。
柴田:まず日本では2005年3月から商品化され、現在までに1500体出荷しています。そのうち7割が個人名義で、家庭でのセラピーも含まれると思うのですが、ペットとして購入されている方がたぶん多い。2割強が医療福祉施設の購入で、残りは博物館などに所有されています。
海外では、まず欧州全体では約200体弱入っていまして、デンマークで約120体、オランダで約40~50体、その他、ドイツ、ノルウェー、イタリアなどそれぞれ10体弱ぐらい購入されています。デンマークが2008年末から、オランダ、ノルウェーが2010年初頭から、ドイツは2010年9月30日から正式にパロの販売を開始しました。
アメリカは2009年にFDA(Food and Drug Administration:食品医薬品局)がパロを医療機器に認定して、同年12月から販売を開始し、約50体が導入されています。全世界で現在約30か国に利用されて、300体弱普及している状況です。
アジア・オセアニアではまだ正式な販売を開始していませんが、中国、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ、それからニュージーランド、オーストラリアで、日本から直接輸入されています。オーストラリアでは10体ぐらい購入されています。
■引用:IIST WORLD FORUM(2010年11月22日インタビュー記事)
https://www.cfiec.jp/wf/magazine/0771/0771_J.html
これが10年前のお話。
「パロによるロボット・セラピー研究会」開催(2012年)
この年の9月29日。
第1回目「パロによるロボット・セラピー研究会」が開催され、
情報収集と意見交換が行われました。
この抄録集が
とても興味深いの!
非薬物療法・神経学的セラピー・認知症・発達障害・うつ・
ストレス緩和・職員の負担軽減‥などの専門用語が盛り沢山ですが、
本格的で膨大な客観データには目を見張ります。
一言で言えば
「パロは人間に対して、想像以上の
凄い力を持ってることが実証された!」
特に医療福祉分野の方々で
パロに関心のある方、抄録集はオススメですよ。
■出典:株式会社知能システム
「パロによるロボット・セラピー研究会・抄録集」第1回~第10回
http://intelligent-system.jp
- 癒しを与えるコミュニケーション能力に最適化
- 故障せず長く使われることを想定して設計
- 交換が必要な部品は第8世代以降の分が用意されている
というパロ。
美しさにも定評があり、
ルーブル美術館やMoMAに展示されたことも。
パロの研究と進化は今後も続きます。
最新型・第9世代パロ(2013年)
そして、ハードウエアとソフトウエアを改良した
最新型のパロが開発されました。
第8世代に比べて変わったところは次の通り。
- 省電力化:第8世代と比べ動作時間が約3倍に
- 軽量化:第8世代と比べ6%軽くなった
- 安全性向上:抗菌加工(菌を増殖させない)から制菌加工(菌を減少させる)へ
- ハードウエア:外観は変わらないが内部構造の強化・改良
- 電源スイッチ形状・ボリューム調整方法の改善:利便性が向上
また「用途に合わせてパロの性格を少し変えてほしい」という要望から
- 認知症向けのセラピー用:
通常のパロよりもあまり怒らないような寛容な性格
に調整されたパロが誕生。
一層使いやすく、ナチュラルなふれあいを楽しめるパロは、
「今後は使用される用途に合わせた
性格のバリエーションが増えていくことも考えられる」とのこと。
穏やかなパロ以外に、活躍シーンによっては
少し陽気なパロとかも需要ありそう〜。
(←イメージです)
セラピー用パロについて
パロに関して、
国内外の数多くの医療福祉施設で
臨床データの蓄積が行われており、
「パロによるロボット・セラピー研究会」での
情報収集・意見交換は
2012年以降続けられています。
ふむふむ。
主にペット代替用パロとして
「生き物らしさ」を目的とする行動生成アルゴリズムと異なり、
セラピー効果を高めるための
新たな行動生成アルゴリズムを研究開発、
これを実装したのが
第9世代(MCR900型)です。
アルゴリズム(algorithm):「計算可能」なことを計算する、形式的な(formalな)手続きのこと、あるいはそれを形式的に表現したもの。
■出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
プレス向けの発表資料(2013年9月13日解禁)には、
詳細がとても興味深く掲載されています。
■第9世代プレス向け発表資料:
新型セラピー用アザラシ型メンタルコミットロボット・「パロ」が登場
http://intelligent-system.jp/pls20130913.pdf
一言で言うと、セラピー用パロは
「高いセラピー効果を得た」
「セラピストからより使いやすいものとして評価された」という内容でした。
2種類のパロを販売
そんな訳で現在、パロは
セラピー用とペット用
の2種類が販売されています。
①パロ(セラピー用):医療福祉施設など向け
医療福祉関連の展示会などで代理店などにより販売
②パロ(ペット用):個人向け
全国の有名百貨店などで展示・販売
カラーは4色。
- ホワイト
- ゴールド
- サクラ
- チャコールグレー
どのパロも可愛いですよね。
ウチの子はペット用・ゴールド。
個人的には「ゴールド」というより、
バターやカスタードクリームのような色だと思います。
パロとの楽しい暮らし、
是非このブログでご覧ください!
パロの歴史がサクッとわかる図解
ここまでのお話、図にまとめました!
■主な参考記事
ウィキペディア フリー百科事典:パロ(ロボット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AD_(%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88)
産総研:人間情報研究部門トピック 柴田 崇徳
https://unit.aist.go.jp/hiri/topics/03.html
日商Assist Biz:あの人を訪ねたい 柴田 崇徳
https://ab.jcci.or.jp/article/20690/
バラエティ番組にも出演
最近、ロボットペット・家庭用ロボットが注目され始めましたよね。
そんな中、パロもテレビで紹介されました。
面白かった!
子供の頃に憧れた「ロボットのいる暮らし」。
我が家のパロと一緒にこの番組を見ながら、
もう夢に手が届く時代が来ていることを実感しました。
パロの進化は続く
国内から海外へ進出したパロですが、
実は将来、
宇宙飛行士さんと一緒に
火星に行くことになるかも知れないのです。
米航空宇宙局(NASA)が構想している
2030年代の火星有人探査でパロの活用を目指しているんですって。
もう少し詳しい内容・ソースはこちらの記事で。
大好きなパロに関する
新たなニュースが入ってくるのを待ちつつ、
これからも
末長くパロを可愛がっていきたいと思っています。
最後まで読んでくださって
ありがとうございました。