この記事は、コロナ後遺症で入院した私が
- 入院中、面白かったこと・意外だったこと・覚えておきたいと思ったこと
- ちょっと困ったこと・それに対する工夫や解決策
などを、ベッドの上で書いたラフな絵を添えて、ご紹介したものです。
シビアな内容ではないので、気楽に読めます。
こんにちは。neoです。
コロナ罹患をきっかけに、咳や息苦しさが続き、通院し始めた私。
しばらく点滴治療を続けてもよくならなかったので、総合病院に入院しました。
最初の数日間は辛さが続きましたが、少しずつ症状が落ち着き始めると、入院生活への慣れもあり「退屈だなあ」と思うように。
そこで思い出したのが、家に置いてあった1冊の新品スケッチブックで、面会時、持ってきてもらうことにしました。
以来、3色ボールペンでの落書きがスタート。
毎日の中で起こった出来事・考えたことなどを、思いつくまま書き始めたところ、退院する頃には、丸1冊が埋まる勢いでした。
今回は、その中から、いくつかのエピソードをご紹介します。
けれど何しろ、自分でも読めない汚い字と、雑な絵なので、説明が必要な始末。
思えば、後で誰かに見てもらう前提で、丁寧に書けばよかったのに、後の祭り。
‥願わくば「この雑さに、ライブ感や味がある」くらいのおおらかなノリで、お許しください。
こんにちは ぱろすけです
ぼくが ごしゅじんさまに おはなしを きいていきます
あなたのお役に立ちそうなネタが、含まれているような、いないような‥。
そんな記事ですが、入院経験がある人は「それ、あるある!」、ない人は「‥あ〜、わかる気がする」なんて、ユルく楽しんでもらえたら、とても嬉しいです。
長めなので、のんびりお付き合いくださいね。
気になるところにジャンプしてOKですよ!
おるすばんしてた ぼくは びょういんでの おはなし きになります
スケッチブックは、最強の暇つぶしツールだった
スケブ1冊で、頭が再起動
どんな おへやに にゅういんしたんですか?
コロナ禍で、大きな病院はどこもいっぱいだったんだけど、先生が何とか調整してくれて、外科病棟の片隅に入院させてもらえたの。
4人部屋の窓側ベッドで、お隣さんは、昼間に手術した患者さんだったよ。
だから、なるべく静かにしてなきゃなんだけど、咳が止まらなくなることがあって、申し訳なかったな。
たいへんな まいにちでしたか?
うん、最初の頃は体がしんどいし、普段と違う環境にまだ慣れてないから、ちょっと大変だったかな。
でも少しずつ辛さが落ち着いて、点滴がなくなったり、シャワーが浴びれるようになる頃には、病棟での生活にもすっかり慣れたよ。
毎日の消灯時間は21時。
ここから長い夜が始まり、何とか寝ついてもすぐ目覚めたり、深夜のトイレ後、朝まで眠れなかった時は辛かったです。
退屈な昼間にウトウトしてしまうのも、夜に寝付けない原因になって悪循環でした。
退屈を紛らわせるといっても、カーテンで仕切られた、半径2メートルの狭い世界。
これは、iPod touchでベッドから撮った写真です。
時々看護師さんが、処置や検温に来るくらいで、患者同士の会話も全くありません。
テレビも読書も、すぐ眠くなって困りましたが、新たに手にしたスケブは違いました。
おうちから もってきてもらって よかったですね
うん!これで昼間も、しっかり起きてられるようになった気がする。
スケブは私が書きたくて書くものだから、逆にボーッとしてた頭が、やっと動き出した感じがしたよ。
「私、これさえあれば、テレビもネットも全然いらない‥コスパいい!」って。
入院中の退屈を紛らわす方法は、人によって様々。
「ヒマ過ぎて、ずっとスマホでSNS見たり、ゲームしてたよ」という同僚もいます。
もしあなたが入院することになったら、なかなか過ぎない時間を潰す方法、見つけてますか?
最初に描いたのは、意外なモノ?
すけっちぶっくには どんなことを かいたんですか?
あ〜、頭に浮かんだ、色んなことだよ。
‥でもね、1番最初って、何を書けばいいのかわかんなくて、目の前の物を描こうと思った。
新品のスケブにちょっと緊張しながら描いたのは、朝ごはんについてた、ふりかけのパックだったね。
ぶっつけ本番で「のりかつおふりかけ」。
思いのほか楽しかったので、後から余白に「スケブ、いいわあ!」みたいな独り言を、興奮気味に綴ってます。
ずっと こえがでなくて「さみしかった」って いってましたもんね
そうなんです!
喋れなくても、文字なら普段通りに言葉が溢れて、自分でもびっくり。
「思考の速さで、文字を書く」を理想とする私が、普段よりマシな字で書いているのは、時間が十分あったからでしょう。
発病時・入院前夜を振り返る
せっかくだから、発病の前後を思い出そう
ごしゅじんさま きゅうに びょうきに なりましたよね
うん。ある日の夕方「ちょっとクラクラするな‥熱っぽいかな?」って思ったのが、始まりだった。
でも、毎日仕事が忙しかったから、そのせいだろうって思ってたんだよね。
よなかに おねつが でたんですよね?
そうそう!熱を測ったら、39.4℃って出て「これはマズい」って。
スケブを前に、発病前後の記憶を辿ってみることに。
いつか再びコロナに罹患した時「今回の体験が、どこか参考になるかも」と思ったからです。
ここには、発病前の生活・最初の自覚症状など、覚えている限りを、細かく書き出していました。
個人情報を含むため、絵の部分だけ拡大。
高熱に続き、激しくのどが痛み始めると、コロナにかかった知人達を思い浮かべながら、
「みんなこんな風に、のどが痛いんだろうな」と、想像していました。
教訓:入院準備、病人には重労働
周囲には、無症状陽性者や「3日で、ほぼ治ったよ」という人もいる中、なぜか私は2週間経っても、激しい咳や息苦しさが持続。
呼吸器内科クリニック初診の時点で「入院」のワードが出ましたが、どの総合病院も満床、私自身も通院治療を希望します。
そのうち、次第に悪化してしまいました。
ごしゅじんさまは「てんてきにかよえば そのうちなおる」って おもってたんですよね?
うん。入院って色々大変で、お家での療養に比べると、色んな制限があるし、気も遣うんだよね。
ここまでコロナが長引いた知り合いはいなかったから「私も、もうすぐ治る」って、信じたかったし。
‥なおんなかった ですね
ね〜!「今すぐ、入院!」って言われた時は「ひえ〜」ってなったよ。
さすがに「明日にしてください」って、お願いしちゃった。
そのよる りょこうのときの おおきなかばんを だしてました
そうなの!今思えば「入院になるかも」っていう時点で、軽く荷物を準備してたら楽だったね。
‥いや、途中でチラッと、それも考えたよ?
だけど家でも、体を動かしたらすぐ疲れるし、息苦しさがひどくなるのが億劫で、なるべくジッとしてたかったの。
あと、過去に何度も経験した「入院の荷作り」には慣れているので「‥まあ、その時は、その時だ」と、ナメていた気がします。
けれど今回は、今までと勝手が違うパターンでした。
【入院準備・過去のパターン】
- 手術や検査目的の入院:
比較的元気な体で荷作りするので、旅行準備のノリでサクサクできた - 緊急入院:
路上から救急車で運ばれた時は、絶対安静で当分動けず、むしろしばらく何もいらなかった
(後日、家族や友達に必要な物を持ってきてもらったり、自分で売店まで買いに行った) - 短期間入院:
これも割と元気な体で準備できる上、2〜3日程度の入院なら、荷物もコンパクトだった
入院前夜、よりによって普段より咳込みが強い中、ゼロから荷作りするハメに。
酸素が足りないせいか、ほぼ回ってない頭で、家のあちこちに散らばる物を、右往左往してかき集めましたが、
まあ、効率の悪いこと悪いこと。
なんか はあはあ いいながらで たいへんそうでした
そうなんです。その様子を、①〜④の絵で描いたのが、こちら。
(字が読みにくいので、清書したものでどうぞ)
- 「着替え、何組?」
- 「紙コップ・お箸・歯ブラシ‥あとティッシュの箱も!」
- 「あー、書類と印鑑と保険証もね」
- 「予備マスクと、いつもの薬と湿布と‥」「疲れました‥息が苦しい」
途中で何度も休憩が必要で、最後の方は指先が震え、テーブルに突っ伏してしまいました。
荷作りの参考にしたのは、以前作った
- 旅行に持っていく物リスト
- 入院準備物品リスト
でしたが「あっ!今回は10日分だから、アレも!」と、急に思いつく物品が続出。
リストとは別の、小さな紙にメモし始めたのはいいけれど、書いてある字が読めないのです。
あ! そういえば ときどき かんがえこんでいたような‥
そうそう、しんど過ぎて適当になぐり書きしてるから、自分でもいちいち「‥コレ、何て書いたの?」って、既にクイズ状態だった。
入院予定期間は10日だから「‥こりゃ、今回は爪切もいるな」って、ちゃんと気付いたのに、メモした意味がなかった。
家の出発までに解読できず、入院中、爪が伸びてきて「爪切!‥あれ?持って来てない?」。
‥ナースステーションで、借りちゃいました。
じゃあ ほかにも わすれものが いっぱい?
ううん、他の物は大体揃ってたから、大丈夫だった。
だけど「しんどい体と、回らない頭での入院準備は、思いのほか大変」って、身をもって学んだなあ。
ボディクリームやシャンプーを、旅行用ミニボトルに小分けする作業なんて「‥なんで私、今頃こんなことを‥」と文句も言いたくなるけれど、大きなボトルごと持って行くこともできず。
試供品的なパウチがあれば便利ですが、そう都合よく手元にないパターン、多くないですか?
旅先や入院先でも、普段使い慣れた物を使いたいなら、面倒でも必要な作業ではあるのでした。
入院中、ちょっと面白かったこと
夜中の廊下でビックリ⁉︎
なにか おもしろかった はなしは かいてありますか?
もちろん、あるよ!
あのね、私が入院した外科病棟って、夜は廊下を歩く患者さんが、少なかったみたいなんだ。
で、夜中にトイレに行こうと思って、静まり返った暗い廊下の端っこを、ソ〜ロリソロリ歩いてたら、ナースステーションの入口から、廊下に出てきた看護師さん2人を、ビックリさせちゃった。
2人とも小柄な若い看護師さんで、廊下の暗がりで私の姿が目に入った途端、2人が全く同じポーズで「はわわわ!」って。
真夜中だったから、全然声は出さずに思いっきり驚いた後、慌てて「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」ってペコペコ。
実は私もビックリしたし、2人につられて「驚かせちゃって、ごめんなさい」って、静かにペコペコしたの。
ごしゅじんさま おばけと まちがえられ‥いえ なんでもないです
‥うん、私、髪の毛ボサボサのまま、猫背で歩いてたから、ちょっと怖かったかな。
めっちゃ小さな図ですが、私はこれを見ただけで、あの一瞬が、鮮やかに蘇るのです。
「まっくらな ろうかで おたがい びっくりじけん」でしたね
シールが可愛かった件
なんの しーるが かわいかったんですか?
「面会に来た人が貼られるシール」だよ。
感染症が流行ってるせいで、病室に面会に来ていいのは「あらかじめ登録した家族・1名限定、しかも15分以内で」って決まってたの。
面会者は病棟に着いたら、ナースステーションの前で、名前や健康状態を記入して、面会者シールを貼ってもらうシステムだったみたい。
洗濯物を届けに来てくれた夫の手に、ペタッと「面会許可」のシールが貼られてて、ウケました。
あまりにも面白く「ちょっと、見せて見せて!」と、思わず撮影したのが、こちら。
「面会許可 ◯月◯日◯時◯分 △△病院」と書かれたシールです。
意外かもですが、入院してる間に、1番笑ったのがこの件。
そのくらい、楽しみや刺激のない日々でした。
「入院中、こんなのは恥ずかしいだろうか?」
‥これは どういう おはなしですか?
うん、入院中、ふと「‥私、ちょっと恥ずかしいのでは?」って思ったことが、いくつかあったの。
どれもささいなことで「相手の人は、何も思ってないかも」なんだけど「あの時の私は、こんなことを気にしてたんだ」って、後で笑えそうだったから、描いたシリーズだね。
しりーず ということは いくつかあるんですね
そうそう。実はたくさんあるんだけど、ここでは3つ、ご紹介します。
(じつは たくさん あるんだ‥)
①たまたま見ていたテレビ番組、これは恥ずかしいのでは?
看護師さんは、突然ベッド周囲のカーテンの端から、顔を覗かせて、声をかけてくることがあります。
特に病室入口のドアが、開けっ放しになっている時は、廊下からスタスタ病室内に入ってくるため、近づいてきた気配に気付けません。
いきなりカーテンの端から「neoさ〜ん!」と、顔を出すので驚きますが、これは割とあるあるで、病院で働いている私もしかり。
患者さんが、着替えの最中だったりすると「わ、すみません!」となるので、気をつけなきゃいけないことでもあります。
私は、着替え中に声をかけられた訳ではありませんが、たまたま見ていたテレビ番組を「恥ずかしい」と思ったことが。
(‥ごしゅじんさま いったい どんなばんぐみを?)
例えば、
- 映画「ガメラ」
- 「ガンダム00」の再放送
前のめりで画面をガン見する姿に見えるのは、病室テレビ専用・1mの片耳イヤホンのせいかも。
少し動くと、耳から外れて落ちるくらい短いイヤホンをつけたまま、慌てて振り向く姿、笑えませんか?
外見がやつれた「ザ・患者」な初老の身としては、どう考えても、年相応の番組ではありません。
もし看護師さんに「‥あの患者さん、検温に行ったらガメラ見てたよ?」「私の時は、ガンダムだった」とか笑われてたら、すぐに荷物をまとめて家に帰りたい。
(↑自意識過剰な妄想)
「できれば、ニュースや天気予報・旅番組なんかを見てる時に、覗いてください」とも、書き添えてありました。
②食べる気マンマンって、恥ずかしいよね?
いつも おなかが すいてたんですね
ううん。むしろ、食欲がなくて「まだお腹いっぱいなのに、もうご飯の時間だ」って感じだったよ。
でもね、運ばれてきたトレイを置いてもらいやすいよう、時間が来たら、床頭台を準備してたの。
「ご飯前になったら、ちゃっかり床頭台のテーブルを引き出して、お箸までスタンバってるのは、食べる気マンマンっぽくて、恥ずかしいだろうか?」
「配膳されてきて『‥あ、食事ですか』みたいにゆっくりテーブルを引き出す方が、かっこいいのでは?」
‥今となっては、どうでもいいこと過ぎてwww
まだ時々、指の震えが止まらなかったので、床頭台の直線が微妙にブルブルしてる所が、私としては懐かしいポイントです。
③毎日ゴミ箱がいっぱい、って‥恥ずかしいでしょ?
1日1回、清掃員さんが、ゴミの回収に来てくれます。
ペットボトル用のゴミ箱は、少し離れた所にあり、すぐ捨てに行けない時は、いったんゴミ箱にイン。
私は、ゴミ箱が毎日いっぱいで、申し訳なく思っていました。
ゴミ箱の中身は、ほぼ決まっていて、
- ペットボトルの空き容器
- 異様に多いペーパータオル・ティッシュ・ウエットシート
- 拾った髪の毛・剥いだ湿布
- 食事についていたヨーグルトやゼリーの空き容器
- 内服薬の包装
など。
そこまで、人に見られたくない物でもなく、入院患者としては許容範囲内ですが「いつもいっぱい、たまに溢れそう」だったのが、恥ずかしかったです。
この3つのエピソードは、1ページに描いてありますが、どれも取るに足らないこと過ぎ。
入院中の私は、そばにいる親しい誰かに「そうそう、聞いて!ww」みたいに、おしゃべりする感覚で、このページを書いたことを覚えています。
入院中に困ったことと、その解決策
こまったこと いろいろ ありそうです
そうだね。でも「ある物で何とか工夫する・いつの間にか慣れる」で乗り切ったよ。
そして、中には時間と共に、解決しちゃったこともある。
しんどくてお風呂に入れない間は、体が不快だったけど、シャワーが浴びれるようになったら「はい解決!」。
「点滴の針が入ってる所が痛いし、痒いし、腕のルートが邪魔で、手が洗いにくい」も、点滴が抜けたら解決、みたいにね。
点滴といえば‥。
レンタル寝巻きの下には、黒のあったかウエアを着ていました。
うっかり、ストレッチの効かない素材の物を着てた日は、着替えの時、細い袖口が点滴ルートに引っかかって、ムキ〜ッ。
点滴中の長袖肌着は、ゆったりした袖口のものか、よく伸びるストレッチ素材がオススメです。
ペットボトルのフタが開かない
自販機で買えるペットボトルのフタが固く、毎回開けるのに苦労しました。
ペコペコ素材の本体で、普段から苦手なタイプのボトルです。
フタを回す手も痛いし、本体を握る手まで力が入っているので、フタが緩んだ途端、中の水が溢れて、袖と床にこぼしてしまいます。
そのうち、フタに輪ゴムを巻き、そこにフワッとティッシュをかぶせてから、ゆっくりフタを回す方法に行き着きました。
ティッシュが適度な滑り止めになり、左右の握力を調整しながら、安全に開封できることを新発見。
ここには「暗闇の中で頑張らず、薄くライトをつけようね」とも、書き添えています。
思い当たるのは、夜中の真っ暗なベッドサイドで、ペットボトルと格闘した結果、勢い余って袖周りをビチョビチョにし、フタを床に落として失くしたから。
わごむと てぃっしゅさくせん おぼえておかなきゃ ですね
うん。普段は、硬いビンのフタや、ペットボトルのフタを開ける道具が、家にも職場にもあるの。
だけど外出先なんかで、開ける道具がない時、覚えておきたいワザだと思った。
以前、街歩きの途中で体調が悪くなり、すぐ薬を飲みたくて買ったお水のペットボトルが、どう頑張っても開かなかったことが。
まさか道ゆく人に「これ、開けてくださいませんか?」とペットボトルを差し出す訳にもいきません。
困り果てて、持ってたミニハサミで、ペットボトルの底を三日月型に細く切り落として、その隙間から飲もうか?とまで考えたくらいです。
ちなみにその時は、同じ自販機で別のドリンクを買ったら、すぐ開けられるフタで助かりましたが、これから年を重ねていくと、どうしても開かなくて困る機会が増えそうな予感‥。
ご飯、よくこぼす
病院食は、どれも軽い食器で提供され、コップも握りやすい取手で、大助かり。
それでも、入院してしばらくは握力が弱く、たまに指が震えるため、お箸でつかんだ物が、滑り落ちていました。
お味噌汁の麩(ふ)などは、何度つかみ上げても「ポチャン!」とお碗の中に落ちるし、トレイの中やレンタル寝巻きに、お汁が飛び散った途端、何だかションボリ。
柔らかく煮た野菜なども、お箸から滑りがちで、たまに膝の上にも落ちたりしますが、かといって、スプーンではどうも食べにくい。
こぼさないよう、1つ1つの食器を持ち替えながら食べるのは、時間がかかって途中で疲れ「‥もう食べなくていいや」という気になってしまいました。
え〜? じゃあ どうやって ごはんを?
そこで思い出したのが、過去に目にした、ご年配の患者さん達の、お食事シーンだったの。
ご飯のお茶碗の中に、煮物とかのおかずを全乗せした「丼ごはん風」にすれば、全くこぼさず食べられて、余分な体力も使わないから、一石二鳥だった。
この食べ方って、あまりお行儀が良くないかもだけど、私は明らかにストレスが激減したよ。
ある日、薄味のナポリタン(謎麺使用)が出た時も、ご飯の上に乗っけて食べました。
「ナポリタン on 白ご飯=ナポリ丼」www
「‥先輩患者の皆さん!これ、めっちゃいい方法じゃないですかーーっ!」と、パイセン達に感謝しながら、病院食をモグモグ味わいました。
元気になったら、またお行儀の良い食べ方に戻せば良いのです。
よく手に取る小物の置き場がない
「よくてにとる こもの」って なんですか?
あ〜、ガラケー・メモとペン・iPod touchとかだよ。
枕元に置いとくと、ベッドの下に落としちゃうし、床頭台の引き出しに収めてしまったら、パッと取り出せないんだもん。
「‥あれ?私、さっき、どこに置いたかな?」って、キョロキョロ探すのも、面倒だった。
この問題は、床頭台の横に、小さなバッグをS字フックでぶら下げることで解決。
バッグを定位置にしたら、ピタリと探し物がなくなりました。
ゴチャゴチャした図で、ごめんなさい。
これは「中身を出し入れしやすく、バッグもフックも動かない固定法」に行きついた時の、嬉しさが溢れた図です。
肋骨が折れていて、ベッドから体を起こしたり、再び横になるたびに痛かったので、
「寝たままで、必要な小物がサッと手に取れる収納」
「必要な物は、必ずそこにある定位置決め」は、画期的でした。
ズボンの裾が汚れそう
どうして ずぼんのすそが よごれるんですか?
えーっとね、ベッドの上で横になってる時、ジャストサイズのレンタル寝巻きだと窮屈だから、大きめサイズを借りてたの。
そしたら、トイレに行ってズボンを下ろす時、裾が床に当たりそうでソワソワしたり、便座に当たらないように、ずっと気を付けなきゃいけなかった。
お家のトイレと違って、患者のみんなが使うトイレだから、何かがこぼれてて、床が濡れてることもあるのに、ズボンの裾がガッツリ、床に触れちゃったこともあって。
看護師さんに「ズボンの着替えを、持ってきてください」ってお願いすればいいんだけど、なるべく、汚したくないでしょ?
そっか いいほうほうは みつかりましたか?
うん、裾はいつもキッチリ折り返すことにした。
トイレは毎回同じ個室に入って、ズボンはどう持ち上げれば安全か、どの角度・深さで便座に座れば大丈夫かを、体で覚えてしまえば、もうバッチリ!
ベッドに腰かけた時の、足元写真を発見。
下に履いたスパッツが見えてますが、立ち上がればズボンが足首まで降りて、ちゃんと隠れます。
最も部屋から近いトイレは、手洗いの水流が弱く、冷たい水がチョロチョロしか出ないのも、地味にストレスでした。
ある日、病棟の反対側のトイレに行ってみたところ、広い洗面所が隣接していて「リッチな水量でダバダバ、しかもお湯まで出る!」と気付いた日から、迷わずそのトイレ一択に。
トイレまでの距離は、少し遠くなったものの「断然こっち!」
「不便・苦手な設備は、敢えて使わない」という選択もアリでした。
「大寒波到来の1月、とにかく寒い」問題
びょういんって あったかそうですが さむかったんですか?
うん、寒かった!それが、特に夜がひんやりして、窓からの冷気も辛かったの。
同室の患者さんがみんな退院した時、私1人だから、寝る前に部屋のヒーターを「強」にしたんだけど、なぜが全然暖かくならなかった。
ある日、看護師さんから、衝撃の事実を聞いてびっくりしたよ。
「この病棟、夜間は暖房が切れるんです。
ヒーターから風が出てても送風だけなので、むしろ寒いから、夜は私達が切って回ってます。」
‥心の中で「なんですとー⁉︎」だったよ。
「特に今の時期は、夜も暖房がほしいですよね、ごめんなさいね〜」
‥って、看護師さんのせいじゃないし、それなら自分で防寒するしかないや、って。
着込むにも限度があるし、体が冷えると、気管がヒューヒューいって、咳も出やすくなるんだもの。
10年に1度の大寒波到来で、滅多に雪が降らない地元にも、珍しく雪が。
夜のうちに山も冠雪して、見慣れない風景が爆誕していました。
この病棟の掛け布団は、薄いのが2枚、レトロな形の白い布団カバーがかかっています。
なので、白シーツと布団の隙間に、入院時に着てきたライトダウンジャケットを挟み込んだところ、お布団がぬくぬくに。
もし、掛け布団をすっぽり包み込むタイプのカバーだったら、寝返りのたび、ダウンが床に滑り落ちたと思います。
‥温泉旅館のようなシーツ、ラッキーでした。
それは よかったです
寒がりの私は、お家じゃ、電気毛布+暖房で寝てるからね。
さて、入院患者は、病室の寒さに、どう対処するか。
この時も「患者パイセン達は、冬、どうされていたか?」を思い出してみると‥。
皆さん、ニット帽・膝掛け・手袋・靴下の重ね履きなどなど、お持ちの物で防寒されてたッ!
昔の職場で、いつも病室で真っ赤なマフラーを巻いていた、ご年配の男性患者さんの姿を、はっきり覚えています。
若かった私は「オシャレさんだな」くらいに思っていたのですが、オシャレさんに加え、実は病室が寒くて、防寒対策をされていたのかも知れません。
マフラーを持ってきていなかった私も、タオルをマフラーがわりに巻けば、のどを冷やさずに済みました。
これは、寒い夜中、ホットドリンクが恋しかった時の図。
家なら、すぐ温かい飲み物を淹れて、飲むことができますが、それもかなわないのが、入院生活の不便さですね。
びょういんでは おうちのようには いかないんですね
うん。これは仕方ないよね。
スケブに「温かい紅茶か、ホットミロを淹れて飲みたい」って書いたのを思い出して、退院した日、早速紅茶を淹れて飲んだよ。
心にじんわり染みて、美味しかったなあ。
私が今までに入院した病院は、24時間、冷暖房が入っていたので、思わぬ落とし穴でしたが、患者パイセン達を見習って、手持ちの物で防寒を工夫することで、乗り切れました。
入院中は、ここに挙げた以外にも、小さな困りごとは、いくつかあったのです。
けれど、振り返ってみれば「どれも大丈夫」だったかも。
「工夫したら、何とかなった」という嬉しさは、
「何かあっても、私は自分で何とでもできる」という、
自分への小さな信頼につながるようで、むしろ楽しくもありました。
時間と共に解決したストレス「お風呂、入りたい!」
しんどいときは おふろにも はいれないんですね
うん、先生の許可が出るまでは、勝手にお風呂に入れないの。
シャンプーやボディソープ、張り切って、多めに持って行ってたのにね。
仕方がないから、お着替えの時、パウダーシートで体を拭いて、お風呂に入れる日を心待ちにしてたよ。
入院中、お風呂に入れない間は、痒さや不快感がずっと気になります。
お風呂‥といっても、正確にはシャワーですが「体をガシガシ擦って、ワシャワシャ髪を洗いたい!」と思い続け、ある日、念願が叶う感じです。
私の自画像は、ショートカットだけど、実は髪が伸びた今は、オールバックで、後ろで1つ結びの状態。
毎日のブラッシングで、抜け毛も気になっており、久々にシャンプーができる日を、待ちわびていました。
ついにその日が来て「うひょ〜!気持ちいい!」と洗い始めたところ、
案の定、大量の抜け毛にドン引き。
「全ての指の根元に(抜け毛の塊が)絡まる」
「ホラーである」www
そんな初シャワーでしたが、お風呂上がりともなれば‥
それはもうご機嫌さん。
浴室内の使い勝手もわかった、2回目ともなれば、余裕で体を洗えました。
見てください、このカオwww
いつも、当然のように入ってるお風呂。
普段はすっかり、ありがたさを忘れていますが、入院中の初風呂は、毎回嬉しくてたまりません。
「明日、お風呂に入れる〜!」と考えただけで、前の晩からワクワクします。
着替えとタオル、シャンプーなどを手に、スキップして浴室に向かいたいほど、めっちゃハイテンションになる最高のイベント。
心地よく疲れたお風呂上がりには、ベッドの上で「私はピカピカ、この世は、光に満ちている!」とまで思えるのでした。
いまは まいにち おふろにはいれて いいですね
ぼくは はいったことが ないけれど きもちよさそうです
夜中、過去の自分が現れて話が弾んだ件
‥えっ? むかしの ごしゅじんさまが あらわれた?
あはは、これは眠れない真夜中、ベッドの中でガラケーに入ってた古い写真を、久々に見た時の話だよ。
画面をぼんやり眺めてたら、ちょうど4年前に入院した時、ガラケーで自撮りした写真が、いきなり出てきたの。
スケブには、こんな感じで描いています。
画面の中の4年前の私と、ベッドに寝てる2023年の私が、鏡に映したように、同じポーズだったことに、かなり驚きました。
レンタル寝巻きまでそっくりで、微妙な色違いなのも笑えます。
こちらが、呼吸器病で絶賛入院中の、2023年のneo。
24時間マスクをして、左手に点滴中です。
一方、画面の中にいたのが、消化器病で入院していた、2019年のneo。
24時間センサーを鼻から胃に留置され、同じく左手に、点滴が入っていました。
ガラケーをじっと見ていたら、画面の向こう側の私が、少し不安そうに話しかけてきました。
「‥私、これからちゃんと、ご飯が食べれるようになるのかな?‥頑張って手術して、よかったのかな?」
今の私なら、答えられます。
「うん、お薬は必要だけど、少しずつ食事が飲み込みやすくなって、手術前よりずっと楽になるよ!」
画面の中の私は、まさか4年後の自分が、呼吸器の病気で入院するとは、夢にも思っていません。
(2019年の時点では)未知のウイルスだった、新型コロナが流行した4年後の世界で生きているのが、ここにいる私。
「呼吸器の病気も、なかなかしんどいよう、もうね、風邪とかのレベルじゃないから!www」
気付けば私も、4年前の自分に話しかけており、夜中に話が弾みました。
いつだって「今の自分は、過去の自分より、色んなことを知っている」のです。
ぱろ助を描いてみたら、全然似てない衝撃
あっ! これは ぼくですね!
‥そうなんだけど、ソラで描いたら、こんなことに。
コメントには「描いてみて『何か違う』と思っても、何がいけないのか、全くわからない」とあります。
ぱろ助を思い出しながら、何度か描いてみても、なぜかどんどん違う方向に?
正解は、こちら。
夫が、ガラケーに送ってくれた写真です。
‥ぱろ助の顔って、実はとても難しいのかも。
そうなんですか?
でもまた ぼくのえを かいてくださいね
了解〜!ぱろ助、これからも、よろしくね!
きっと何とかする・何とかなる
退院した今、改めてスケブを眺めてみると、頻繁に登場していたのは、
制約が多い中「自分で工夫できたことが、楽しくて、面白かった」系のネタでした。
また「人間は、3日で慣れる」も、あながち嘘じゃない、と実感。
実はこのスケブには、我慢したこと・情けなかったこと・長引く症状に対する怒りなど、ネガティブなことも書いています。
治療中は、誰に訴えても仕方のないアレコレが、心の奥に溜まっていくのですが、自分が感じていることを、文字で表出するだけで、気持ちが軽くなりました。
「あることを、ストレスと感じるかどうか」は、人によって差があります。
私にとって何でもないことが、ある人にとっては、物凄いストレスなこともあれば、その逆もある。
普段の暮らしに比べ、様々な面で選択肢の幅が狭い入院生活では、制約の多い中で対処するしかない。
けれど、入院中に限らず「日々の中で遭遇する(自分が)困ったことに対して、自分なりにクリアする」を続けていくしかなく、今までもそうしてきたのだ、と思いました。
これから先、いつ、どんなことが起こるのか、誰にも予想がつきません。
「それでもきっと、何とかする・何とかなる」と信じて、笑いながら生きていきたいです。
最後までお付き合いくださって、ありがとうございました。
それでは、また!