この記事は、瀬戸内国際芸術祭2022・秋会期のオフィシャルツアーで、小豆島を訪れたレポートです。
こんにちは。
2022年の瀬戸芸は、全会場を制覇したneoです。
【瀬戸内国際芸術祭とは】
瀬戸内海の島々を舞台に開催される、現代アートの祭典。
略して「瀬戸芸(せとげい)」。
- 春会期:4月14日〜5月18日
- 夏会期:8月5日〜9月4日
- 秋会期:9月29日〜11月6日
開催されるエリアは、岡山・香川県で、12の島と2つの港。
■画像出典:瀬戸内国際芸術祭2022・公式サイト
春・秋会期で各会場を訪れた私は、それぞれの地から帰ってくるたび、ブログ記事にしてきました。
ただのアート好きによる、まったり日記に近いレポです。
‥その数、既に10本。
今回の11本目・小豆島で、最終回となります。
最後の旅で出会えた、大きな作品は、絶景の中に設置されているのも見どころ。
今年の新作も登場しますので、のんびりお付き合いください。
アート作品だけ見たい人は、目次からジャンプできますよ。
2022年・3回目の小豆島
2022年は、3回目になる小豆島。
- 春会期・5月:オフィシャルツアー で
- 春会期:5月:個人旅で
- 秋会期:10月:オフィシャルツアー で(←今ココ)
‥オフィシャルツアーに2回参加していますが、巡るコースは、ほぼかぶっていません。
小豆島、広い
小豆島は、瀬戸芸が開催される島の中で、1番大きな島。
年間を通じて、人気の観光地でもある島ですが、個人で効率よくアート巡りをするのは、難しい。
もちろん、自家用車で島に渡ったり、自転車で島内を走る人もいます。
問題は、訪れる目的が「アート鑑賞」ということ。
じっくり作品を鑑賞する時間や、島の風景・太陽・潮風・木々の匂いなどを、ゆったり感じる時間が必要なのです。
見たい作品の数や、訪れたいエリアにもよりますが、たとえ、移動手段としてベストな車を使っても、1日で島内全てのアートを巡るのは、相当ハードルが高いはず。
車がない民は、本数が少ない島内バスを乗り継いだり、帰りの船の時間を気にしたり。
そんな私達のためのお助け舟が、日帰りオフィシャルツアー 。
小豆島のオフィシャルツアー、ここがいい
瀬戸芸オフィシャルツアーには、数々のメリットがあります。
- アート鑑賞中、作品の解説・制作の裏話なども教えてもらえる
- フレンドリーなガイドさんが、道案内をしてくれるので、複雑な路地などでも迷わない
- 気軽に写真を撮ってもらえる
(シャッター係を頼めるほか、ガイドさんが撮影した写真を、後からQRコードで見れる) - 「トイレ、この先にはないから、今のうちに‥」などと、声をかけてもらえる
- 島で迷子になった時や緊急時用に、ガイドさんの携帯電話番号が渡されている
- 島のパンフの他、小さなお土産あり
(今回は、小豆島のポストカード ) - ランチ付きツアーなので、レストランでの待ち時間も、昼食難民になる心配もない
- 作品鑑賞中、不要な荷物は、ツアーバス内に置いて出かけられる
- 他のツアー参加者さんと、情報交換や会話をするのも楽しい
そして、小豆島のツアーでは、こんなところがオススメ。
- 島内を巡るコースは1種類だけではなく、岡山発・香川発の両方がある
- 島内に散在する展示エリア間の移動が、かなり時短になる
- 展示エリアは、海に面した港から山の中で体力的にハードだが、無駄に疲れない
- バスの本数が少ない島内で、乗り遅れたり、満席で積み残される心配ナシ
- 「小豆島、あの作品だけは絶対見たい!」がコースに入っていれば、楽勝
秋会期も終わりに近い10月末。
自分がまだ見れてない作品が多く含まれた、日帰りツアーを発見し、イソイソ申し込みました。
キャンセル待ちが叶った!
この3回目で、見残しをイッキに回収するぞ!
「瀬戸芸で小豆島へ」は初めての私も、同行しました。
JR岡山駅から小豆島へ
JR岡山駅からバスで出発
朝早く家を出て、新幹線でJR岡山駅にやってきました。
わあ、いい天気だね。
ツアーの集合場所は、駅のそば、岡山市営駅南駐車場。
ツアーバスは、水戸岡デザイン。
カッコ良くて、文句ナシでテンションが上がります。
ここから新岡山港に向かい、バスごと小豆島行きフェリーに乗船できるのが、実に楽チン。
わあ、フェリー乗り場、人があんなに待ってるなんて、大変そう。
元気いっぱいの人は、港で船を待つ時間すら楽しめるけれど、何しろ私達は、くたびれた夫婦です。
バスが船内に乗り込んだら、各自で船室やデッキに、移動してくださいね。
船室で、公式ガイドを広げ、今から巡るエリアの確認をしたり、おやつを食べたり。
おお、アレに見えるは、瀬戸芸会場の島の1つ、犬島。
ちなみに犬島は、岡山県です。
カメラ、Zoom!
ホラ!犬島のシンボル・煉瓦造りの煙突が!
(※参考写真:犬島側から望む海)
海の上から眺める犬島も、いいですね。
岡山〜香川県の航路なので、
棚田と豊島美術館がある、豊島も見えました。
(※参考写真:豊島美術館)
カメラ、Zoom!
見て見て!豊島の棚田がハッキリ!
6月に行って来た豊島、今は秋。
遠目から見ても、稲穂が色付いていますね。
黄金色の棚田、見事だろうな〜!
豊島は既に、香川県です。
1時間ちょっとの船旅で、目的地の小豆島も見えてきました。
島で1番大きい、土庄港に向かっています。
わ、もうじき入港だから、バスに戻らなきゃ。
秋の小豆島に、上陸。
アート巡りに先立ち、まずは昼食会場に向かいました。
小豆島・創作郷土料理「暦」で昼食
「暦」さんは、
- 壺井栄の文学に描かれた、島の食や風習
- 醤油・素麺・オリーブ・佃煮・ごま油などの歴史ある食産業
- 魚や野菜・お米などの豊かな食材
が堪能できるお店。
小豆島産にこだわった、創作郷土料理を提供されています。
古民家をリノベした、雰囲気のある建物。
穏やかな海が見える、窓際の席に案内していただきました。
見た目も、こんなに美味しそう!
人気店なのも、納得です。
貸切で入店でき、待ち時間なく食事できることも、ツアーの大きな魅力。
店主さんからのご挨拶や、お料理の説明もありました。
おしながき。
小説「二十四の瞳」の作者・壺井栄作品にまつわるお料理には、※印が。
‥‥‥。(←美味しくて、無言)
‥‥‥。(←上に同じ)
あっ!
小豆島名物の素麺、キター(゚∀゚)ー!!!!!
どれも、あっという間に完食してしまった挙句、
同じメニューを、最初から、あと3回食べれる。
‥確かに控えめな量でしたが、大人は「ヘルシーメニューを、腹八分目」というのが、いいのだと思います。
食後の自由時間は、すぐ裏の浜辺をお散歩。
海を覗くと、お魚が、泳いでいました。
桟橋の先には、向こう岸への渡し舟を待つ人が。
割とデコボコ。
トロい私「足元注意!」。
たわわに実ったオリーブが、秋風にそよぐ様子は、夢見心地。
若い実と、色づいた実の織りなす、グラデーション!
昼食後、いよいよアート巡りがスタート!
最初に向かうは、坂手港エリアです。
坂手港エリア「小豆島ハウスプロジェクト」
バスは、時間通り走行中。
整備された海辺の歩道、気持ちよさそう。
坂手港に停めたバスから降り、目指す作品は、少し山側に登った場所に建っています。
作品名「小豆島ハウスプロジェクト」。
到着しました。
‥これは‥個人のお宅?
瀬戸内地域の海運業で財をなした、地域の名士・谷氏の邸宅だそう。
1970年代の住宅が改修されています。玄関の上、黄色く光る、ネオンみたいな物が見えますか?あれは何でしょう?
???
「谷氏」のお家だから「タニシ」だそうです。遊び心がありますよね。
「いまいち古くない建物」
小豆島ハウスは、古民家のようにノスタルジックな価値をまだ持ち得ていない状態の昭和期の建物です。小豆島には、現在3000軒以上の空き家があると言われています。空き家となっている建物が建てられた年代は様々ですが、一般的に古民家とよばれる築100年を超えるもの以外にも、この谷氏の邸宅のように高度成長期に建てられた住宅は数多く存在しています。
■新建築社+砂木『小豆島ハウスプロジェクト』より引用
新建築社は、建築の多様な面白さを発信するメディアとして、このようなまだ価値づけされていない、古民家というには「いまいち古くない建物」をいかにして価値化し利活用可能かを考える実験場として『小豆島ハウスプロジェクト』を始めます。
あっ、お家の中にも、現地ガイドさんがいらっしゃいました。
こんにちは。ここは、母屋・離れ・蔵の3つで、構成されています。
それでは、母屋から。
‥んんん〜?
よく見ると、気になる物が高い所に?
天井についているのは、この家で使われていた、ベッドの天蓋です。
元々、この家にあった照明や壁紙が、そのまま、残してあるの?
新旧の様々な装飾に囲まれた、吹き抜け空間です。建築作品として、展示中の今も改修中で、まだ完成形ではありません。
元・洋室のオブジェクトが、そのままポツンと浮かぶ、奇妙さ。
2階にも、上がれるようです。
我々のツアー以外の来場客もいるので、数人ずつ、交代で見学。
ああ、見覚えある70年代の建築。
窓から見える絶景は、さすが名士の邸宅。
この母屋は、滞在制作のために必要な、宿泊機能も併せ持っており、
お風呂や、簡易キッチンもありました。
建築作品だけに、普通に使えると聞いてビックリ。
入浴や料理ができる‥ということは、ちゃんと生きてる家の証。
柱の凹凸をスキャンして、黒塗りベニア板に転写して削ったり、
歳月によるダメージも、建物の記憶を刻むものとして、補強・再生されているそう。
シロアリで欠損した梁(はり)を3Dスキャンし、ぴったりはまるよう、機械加工した部材で、埋め戻したりもしているんです。
おおお。
‥こういう工夫、説明してもらわないと、絶対わかんないし、そもそも気付かないです。
1階の和室。
畳の上に山?
この山は、スツール(腰掛け)。
ふすまに描かれていた絵を撮影し、山の部分を切り抜いたものだそう。
窓から見える、瀬戸の島々(山)と、室内の山、というコントラストになっています。
母屋の向かいには、蔵。
3人くらいしか入れない上、
階段も、3段くらいしか上がれないみたいだけど?
並んで順番に上がっては、数秒後に交代する私達。
え〜、何が展示されてるんだろう?
順番が来て、見えたものは、コレ。
ネオンのムササビ?
‥玄関の「タニシ」の仲間かな?
答えは、母屋のこの装飾デザイン。
‥こういうのもね、自分では絶対、気付けないから!
‥もし、答えを聞かないまま帰ったら、私は未だに「‥なんか‥蔵で、ピンクのムササビ見た」って信じてる。
特徴的な個性を持ったそれぞれの意匠は、互いに参照され少しずつ影響し合い、自由な雰囲気と緩やかな繋がりを感じさせる空間をつくりだしています。
■現地配布プリント・新建築社+砂木『小豆島ハウスプロジェクト』より引用
実験場としての『小豆島ハウスプロジェクト』。
建築のことは全然わからない私にとって、驚きの連続と、ちょっとした懐かしさの断片に出会えた作品でした。
空き家大国・日本。特に過疎地。
「昭和期の空き家の価値化・良い活用法を模索しながら、こんな制作をしている人達がいる」と知り、感動しました。
草壁港エリア
お次は、草壁港に向かいます。
はい、10分くらいで到着。
静かな港ですが、真正面に、とんでもない存在感を放つ、巨大な作品がそびえています。
「辿り着く向こう岸」
海に浮かぶあの作品が、シャン・ヤン作「辿り着く向こう岸」。
1人ずつ、このタラップから登ります。
揺れる!めっちゃ揺れる〜!
中国で廃棄された家具や建具を集めて修復して組み合わせ、さらに中国の伝統技法で連結することで瀬戸内海に浮かぶ木造構造体をつくる。作家の記憶と現代社会の分断や混乱が相まって表現されている。
■瀬戸内国際芸術祭2022・公式ガイドより引用
作品に上陸(?)!
もちろん、吹き晒しで展示されています。
‥凄い!
こ〜れ〜は、凄い。
しかも、中国のアンティーク家具、かなりツボだけに、大変!
‥私、しっかり!
「瀬戸内海に浮かぶ、木造構造物」は、限りなくエキゾチックです。
派手な内装の中華料理店や、テーマーパークの「中国っぽいブース」とは、全く違う佇まいは、
古い家具・建具ならではの重厚感と、奇抜な現代アートのハイブリッドだからだと思う。
外側のアーチ型構造は、まだピカピカの木材。
新しい木材が、色あせた古い家具を守るかのように、そびえてる。
いちいちため息が出るほど美しい透かし彫り、どこを、どう見て回ればいいのやら‥。
これらが全部、廃棄された家具とは‥。
日本人には「珍しくて、貴重そう」でしかないモチーフも、中国人アーティストさんにとっては、ずっと記憶の片隅にある、懐かしアイテムなのかも知れません。
階段を登って、上階へ。
周囲を囲む木の部分は、船の船体構造を、逆さまにしたものだそう。
ああ、本当だ。
このアーティストさんは、世界中の観客とつながることで、人と人の壁が、解消されることを願っています。
透かし彫りの中に、漢字が見えます。
いつ頃、どんなお家に使われていた物なのでしょうか?
‥で、この水墨画ですよ。
絵の裏側は、この通り。
絵のアウトラインに沿って、無数の糸が張られていました。
「辿り着く向こう岸」、素晴らしかった。
次の瀬戸芸の時も、見に来れるかな?
‥このタラップは、怖いけれど。
「石の島の石」
すぐそばの公共トイレも、アート作品ですよ。
ホントだ、瀬戸芸スタンプ、設置してある。
小豆島の花崗岩で作られた、コンクリートを使っているそう。
瀬戸芸の各会場で遭遇する「公共トイレ=アート作品」の1つ。
高い天井で、モダンです。
夜は、室内照明が、街灯の役割を兼ねているそう。
確かに、夜はこの辺、真っ暗だろうな。
闇に浮かぶ「辿り着く向こう岸」は、さぞ大迫力だろうな。夜の姿も、見てみたいよう。
海を後にして、お次は一変、山の中へ。
中山エリアまで、移動します。
中山エリア「ゼロ」
今度は「ザ ・山の風景」が広がっています。
ここに、作品「ゼロ」が展示されている、と。
公式ガイドでは「千枚田の景色を堪能しながら、心から安らげる時間を過ごす」だって!
敢えて、本数の少ない島内バスで来て、ここで2時間くらい過ごすのも、イイかも。
まあ、今回は、ツアーでゾロゾロだから、のんびりは難しいかな。
あぜ道を下って、見えてきた、見えてきた!
‥うん、イノシシね、出るよね。
(^▽^;)、
写真撮影しながらなので、常に皆さんより、少し遅れて歩く私。
着きました。「ゼロ」。
台湾人である、ワン・ウェンチー氏の作品で、
自然と一体になる「調和の精神空間」です。
とはいえ‥こう見えて、めっちゃが人いるから、
本当の意味で、自然との一体化を堪能できるのは、瞬時に精神集中できる人くらいでしょう。
こ〜いう時、周囲のザワつきや、自分の雑念を、即座に切り離せる人に憧れる。
夫は、ズンズン先を進んでいます。
わ〜、この作品、面白そう〜!
私達の作品鑑賞ペースは、結構バラバラなので、たまに互いの姿を見失うことも。
けれどどうやら、それが「1番ラク」なのだ、と学びました。
最終的に合流できれば、OKなのです。
作品内は、通路も全て、竹組み。
普段歩き慣れてないこともあり、および腰でそろ〜り、そろり。
‥しかし日常生活で、割り竹に触ることなんて、あるだろうか?
差し込む日差し、柔らかい。
そして、少し涼しくて、ホッとする。
わああ、なんか、すごく懐かしいなあ!
‥?(懐かしい?)
この作品、アーティストさんとしては「寝転んで、しばし自然との一体化を、楽しんでほしい」というものでした。
それが‥先日の台風で、屋根の丸い窓が変形してしまって、残念ながら、寝転んでいただくことが、できなくなっています。
けれどそれも「思いがけず、自然現象が作品に手を加えた」ということで、そのまま展示されているのです。
‥ああ、あの窓ですね?
言われてみれば、意図して設計した形ではなさそう。
この一段下がったエリアが「寝転び自然満喫空間」だと思われます。
‥だけど、こんなに人がいては、寝転ぶ勇気なんて出ない。
こんな状況でも、リラックスして長時間寝転んでる人は、外人さん率、高し。(←neo調べ)
よく見ると、至る所に留め具が打ち込まれています。
メンテナンスも、安全対策もバッチリ。
だけど、私がおぼつかないから、竹のスロープにつかまりっぱなし。
この空間は、母体や子宮もイメージしているそうです。この空間で「ゼロ」に戻り、新たな世界に踏み出す、といった‥。
‥先の方に、ニューワールドに踏み出した人が見えます。
竹の隙間から覗くと、中心部が、ガッチリ支えられていました。
お日様の光も、小鳥のさえずりも届く、
風通しの良い、巨大な子宮。
私‥生まれ変わることができたのかな?
バイバイ、子宮。
千枚田の野焼きで、もう‥見えない。
迷路のまち
バスは、土庄港近くの「迷路のまち」に向かっています。
車内で配布されたマップ。
「立入禁止」という作品が設置された場所と、作者コメントが掲載された1枚。
これですね。
「迷路のまち」と、そこに展示された作品は、春会期に1人旅で訪れ、レポにまとめています。
その中で、是非再訪したかったのが「目」。
家の白い外壁が、まるで家屋に流れ込んできたような作品で、
正面の、人が群がっているお家です。
印象的だったので、前回のレポにも、洞窟のような室内写真を、あれこれ掲載しました。
ここは浴室。
人が1人、やっと通れるくらいの、白い迷路。
体格の良い人や外人さんは、もれなく挟まっていました。
狭い〜っ!なあに?コレww
ちなみに私は、ツルツルした床面で滑り、ナナメに転んだことは内緒です。
そして残すは、本日最後の作品。
「尾形崎夕陽の丘」に建つ、卵形の作品「はじまりの刻」に向かいます。
尾形崎「はじまりの刻」
小豆島の山々は、切り立った雄大な姿。
バスの車窓から、撮影。
夕陽の丘に、到着しました。
あの卵が、私達の目的地。
残った体力を振り絞って、坂道を上り、振り返ると‥
こんな絶景が広がる丘です。
卵、近寄ると、かなり大きい。
例えば早朝など、誰もいない時に来れたら、静かに作品と対峙できそう。
卵の殻の中に、ウクライナの形をした部分があります。
あっ!見つけた!
今、ロシア軍が支配・侵攻してるエリアも含めた、ウクライナの形。
この作品に植えられた植物、見えますか?卵の割れ目から、小さな芽が伸びています。年月とともに、植物が成長していくのでしょう。
この卵は「夕陽を浴びて、島とともに生きる命の象徴」なのだそう。
私達がこの世を去った後も、ここで育ち続けるであろう、大きな卵。
100年後には、モッサモサの、緑に覆われた卵になっててほしい。
陽も傾いてきました。
最初に島に降り立った、土庄港に戻ります。
土庄港からフェリー乗船
海と空をバックに建つ、金のオリーブ冠。
2013年に作られた作品「太陽の贈り物」です。
最後までせっせと、瀬戸芸パスポートに、スタンプをポン!
1日で結構見た気がするけど、スタンプで見ると、まだまだだね。
‥そうなのです。
春会期に2回、そして今回の秋会期を合わせると、計3回も小豆島に来た私でさえ、まだ見残した作品がある。
けれどこれは、スタンプ集め競争ではありません。
満たされた気持ちと、スタンプ数は、一致してなくてもいいのです。
バスの中で、小豆島のポストカードをいただき、帰りの船に乗り込みました。
お昼ご飯を食べたきりなので、港でちゃっかり、おやつを仕入れております。
‥おや?
夫が、レシートの裏に、何か描き始めました。
どうやら、千枚田の中にあった、竹組みの巨大作品と関係があるようです。
あの大きな竹のカゴ‥何だっけ?
‥「ゼロ」です。
そういえば、やたら「懐かしい」って、嬉しそうにつぶやいてたね。
彼によると、生まれ育った長崎の漁師町で「子供の頃、アレによく似た、大きなカゴに入って遊んだ」「大人に見つかると、叱られた」というのです。
イワシを入れる大きいカゴで、生きたままのイワシを入れて、船で引っ張るんだよ。
子供の身長がこのくらいだとすると、かなりのサイズ、ということに。
そのカゴを、陸に上げて乾燥中、自分達は中に入って遊んでいた、と。
初めて聞いた。‥見たこともないなあ。何て名前のカゴ?
‥名前は、わからん。もう長いこと見ないけど、今もあるのかなあ?
こんな時は、Google先生〜っ!
‥とりあえず「イワシ籠(カゴ)」で、画像検索してみるか。
‥うわ、あったよ!
■画像出典:Google画像検索「イワシ籠」
そうそうっ!正に、これ!
‥そうかあ、アレ「イワシ籠」って言うんだ、懐かしい〜!
予想以上に、そのまんまのネーミングで助かったね。すぐ見つかった。
この後、イワシ籠でどんな風に遊んだか、どんな怪我をしたかなど、詳しく語ってくれた、元・漁師町の子供。
もしかしたら「ゼロ」を制作した、台湾のアーティスト・ワン・ウェンチー氏も、大きな竹カゴの中で遊んだ思い出が?‥なんて想像しながら、
ぼんやり、沈む夕陽を見つめていました。
2022年の瀬戸内国際芸術祭は、11月6日で終了。
春会期と秋会期、休日のたびに全力で通った瀬戸芸も、とうとう幕を閉じました。
3年後、またね!
おまけ:使い慣れた薬を持ち歩くの、大事!
ここからは、アート鑑賞とはあまり関係ない(?)お話。
突然ですが、
瀬戸芸って、ちょっとアウトドア入ってない?‥私、ナメてたよ。
という人はいませんか?
元気いっぱいの人や、日頃から野外での活動に慣れた人と違い、ヘナチョコな民にとって、瀬戸芸アートを巡る旅は、結構ハード。
特に離島では、捻挫しそうなデコボコ道に踏み込んだり、虫に刺されながら、草が迫る山道を歩くことも。
急な坂を登り続けて、熱中症や脱水の危険があるけど、トイレも心配‥みたいな。
日陰のない島で、強い日差しを浴びたり、寒暖差にダメージを受けると、体調を崩しやすくなります。
私、朝の天気予報がコレでも、離島で雨に遭遇しましたし。
‥何があっても、その時は頑張れますが、疲労がたまる夜になると、
マズい!風邪引いたかも!胃も痛い。
イテテ!くじいた足、腫れてきてる!
と慌てたことが、何度か。
「飲み慣れた薬が、今、ない」って、かなり辛い。
「たった1錠ほしいだけで、箱買いするほどでもないし」などと、お家までガマンしたり。
そんなトホホを、しょっちゅう繰り返した結果、私は自分に必要な薬(内服薬・外用薬)を、持ち歩くようになりました。
美術館のアート鑑賞とは違って、塗り薬や、船酔いの薬も持ってます。
ちょっとアウトドアが入った瀬戸芸旅こそ、必要な薬が手元にあると、とても安心&便利。
思いがけず小さな怪我もしちゃうから、絆創膏もお役立ちだし、かゆみ止めパッチや目薬も、野外でイイ仕事してくれます。
身体的なストレスは、地味に気力と体力を奪うからね。
‥そんな訳で、ホテルに宿泊する時、私が着替えなどと一緒に、荷物に詰め込む薬は、
だいたい、こんな有様に。
これで大抵のことには、ほぼ対応できています。
何にしろ、早めの対処がモノをいう。でも、どうしてもダメな時は、無茶しちゃダメ!
「どんな薬が必要そうか」は、旅の必要物品と同じで、個人差が大きいもの。
もちろん、
‥薬?まあ、2〜3種類あれば余裕?
という人もいるので、自分で選べばOKです。
ちなみに、低血糖にも弱い私は、ご飯が食べられない時のための、ブドウ糖なんかも仲間に加えています。
低血糖で、気分が悪くなったり、頭痛が起こるの。
そして、軟膏を持ち歩かなきゃいけない人に、ちょっと役立つかも知れない情報を。
皮膚科で処方されるような、金属チューブ入りの軟膏を持ち歩くと、鞄の中でベタベタになって、困ったことはありませんか?
あるある!薄い服のポッケに入れたら、溶けて漏れてきたり。
そこで、私の持ち歩き方をご紹介します。
お子様の軟膏を、いつも持ち歩かなきゃいけない、お母さんにもオススメ。
わかりやすいよう、写真で説明しますね。
金属チューブは、柔らか素材のチューブと違い、キャップと同じ幅まで、細くすることができます。
ほら、こんなにスリム化。
こうすることで、小さくて丈夫なケースに収まるように。
こんなに薄い上、バッグの中で潰れる心配もナシ。
以前、Twitterで発信したら、意外と好評だったので再掲しました。
「その手があったか!」と思った人は、簡単なので、やってみてくださいね。
最後の最後に、誰かさんのお役に立てば嬉しい情報でした。
最後までお付き合いくださって、ありがとうございます。それでは、また!