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美術館・博物館巡り

呉市立美術館「日本のポスター展」で、各時代の最先端に触れる

この記事は「日本のポスター展」のレポと感想です。撮影可能エリアの写真を掲載しています。

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こんにちは。neoです。

常に時代を先取りする、カッコいいポスター。

そのデザインに、思わず見入ってしまったことはありませんか?

最近は、街角のデジタルサイネージ(電子看板)や、巨大パネルも増えてきましたが、紙のポスターだって健在。

そして、昭和・平成の懐かしいポスターは、今でもオークションなどで人気のよう。

私も見覚えのあるポスターを見かけると、その時代にタイムトリップして、胸が熱くなります。

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「あ〜、若い頃憧れて買ったあの製品、ポスターはコレだった!」って、よく覚えてる。

今回は、日本のポスターの歴史を辿る展覧会に行ってきました。

会場は、広島県・呉市美術館。

会場の構成は

  • 序章:あ、懐かしの
  • 第1章:日本における広告の歴史
  • 第2章:消費生活の訪れ
  • 第3章:大衆文化の時代
  • 第4章:戦果の足音/平和の祈り
  • 第5章:博覧会とオリンピック

このうち、撮影可能エリアに展示してあったポスターの一部をご紹介します。

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貴重&レトロなポスターの数々、予想以上に見応えありました!

それでは、第1会場の2階へ、GO!

この記事は、会場の解説パネル・展示作品リストなどを参考に作成しています。

日本における広告の歴史

まだ人の少ない時間で、ほぼ貸し切り状態の展示室。

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気兼ねなく撮影できるの、ラッキー。

最初に、江戸後期〜大正時代頃まで作られていた「引札(ひきふだ)」が登場。

‥まさかの引札、大好き〜っ!

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ポスターの歴史、ここまで遡って見せてもらえるの、最高!

引札は、日本のチラシ広告の先駆け。

印刷技術の発展とともに、大量生産・配布されました。

明治以降には、正月用引札が流行、木版印刷より高度な石版印刷によって、鮮明で華やかな色彩に。

この引札のタイトルは「岡蒸気」。

時代の最先端・蒸気機関車に、着飾った人々のレイアウト、そこに「ドーン!」と、筆文字でショップ情報。

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電話番号(漢字・3桁?)も書かれてる!走る機関車のデザイン、注目されただろうな〜!

縁起の良い、恵比寿&大黒さま、めでたいめでたい!

え〜っと、このショップが扱う商品は‥ふのり・わらびこ・いも‥何だ?

正月用引札は、年末年始に商店から顧客に配布され、カレンダーや郵便料金表など、実用性の高い生活情報も掲載されることがありました。

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「長く壁に貼られることで、持続的な広報効果が期待できた」んだって!なるほど!

消費生活の訪れ

明治末期から大正時代にかけて、デパートが登場します。

呉服店から、いち早く百貨店へと成長したのが、かの「三越呉服店」さん。

「着物や帯の新作発表にあわせて、積極的に広告をうち、新たな流行を生み出した」のだそう。

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おおお!

これがその1枚。

岡田三郎助「三越呉服店(むらさきしらべ)」。

(※人物背景の写り込みを、ボカシ加工してます)

日本の伝統的な美人画を転用した「美人画ポスター」は不動の人気。

「広告」というより「ザ・日本画」です。

飲食業界では、日本酒に加え、ビールやワイン、ウイスキーなどのアルコール飲料が海外から本格的に到来し、西洋の科学や医学にもとづく、化粧品や薬の製造販売も活発となった。

(中略)

首をかしげて微笑むしとやかな和装美人は、やがて女性の活躍とともに、溌剌とした洋装の美人へと変化を遂げる。
ポスターはその時代の風俗を映す鏡でもあった。

■解説パネルより引用

当時の新商品「万人履」と「ニッケ水泳着」。

新素材のビーチサンダルやスリッパには「安全ハ足元ヨリ!」のキャッチコピー。

「梅ヶ谷」のボトルを掲げた力士、貫禄ある!

「最高一等賞金牌受領の迫力」が溢れてます。

そして、日本初のヌードポスター「赤玉ポートワイン」。

モノクロ×赤のデザインも、今っぽい。

ちなみにモデルさんは、歌劇団のプリマドンナで、掲示された途端、持ち去られるほどの人気だったそう。

アンニュイな洋装ビューティー、キター!

「ダイヤモンドレモン、オレンジ、サイダーシトロン」。

両手に炭酸飲料、元気いっぱいの少年が可愛い。

こちらはどこかで見たことのある、麒麟麦酒株式会社のポスター。

左のデザインにご注目。

それまでの美人画ポスターは商品を前面に出さずあくまで女性ありきの構図だったのに対して、多田の代表作のひとつである《キリンビール、キリンレモン》は、麒麟のマークを傘の模様として大きく見せるという独創的で力強いレイアウトとなっています。

■展示作品リスト「多田北鳥」より引用
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復刻版にはない、経年劣化した紙の質感が魅力の、1932年のポスターだよ。

こ、これはっ!

かの名画のパロディ

‥いえ、リスペクトですよね。

そんで、北国の美少女、キター!

「さけ缶詰を召し上がれ」は、日本鮭鱒缶詰業水産組合さんのポスターです。

昔の難しい漢字のレタリングと、右下の「EAT MORE SALMON」の組み合わせ、和洋折衷が斬新?

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‥ところでお嬢ちゃん、巨大缶詰、重いでしょ?

1920〜1930年代の石鹸の広告。

日本髪のこの女性、壮絶に美しい。

「アイデアル香水」‥どんな香りだったんだろう?

当時の人達と同じく、ポスターの雰囲気から、高貴な香りを想像してみたりも。

お薬系のポスターは、個人的に興味津々。

「血素!ハイガミン」のマッチョさん、え〜っと、何やら苦悩中?

‥これは、リポDやモンエナ系っぽいやつ。

‥「高速度滋養料」?「どりこの」?

このドリンク、成分は何?‥謎は深まるばかり。

何より、怪しい女性の表情のお陰で、コップを受け取るのに、勇気がいりそうです。

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なぜか漂う「飲んじゃダメ、ぜったい」っぽさ、ミステリアス。

京都のたばこ屋さんのポスター。

ドレスを纏うレディの後背が、鋭くゴールドに輝く!

私達が生まれた時からあった、野外の照明器具やラジオ。

当時の人々は、私達が最新機種のケータイを見るような気分だったのかも。

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「ひょえ〜、凄いのが出た!」みたいな。

自転車・女性誌・電気釜‥。

私達は、いつの時代も変わらず「今よりちょっと素敵な暮らし」を夢見ているのです。

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ポスターって「それを生活に取り入れた、ワンランク上の自分」を想像させちゃう力があるよね。

大衆文化の時代

欧米で1910〜1930年代にかけて流行した、アール・デコ様式。

直線的・機械的・実用的な美が特徴です。

日本でも「(その頃から)直線や幾何学形態の多様・コントラストの強い配色といった、力強いデザインのポスターが見られるようになった」とのこと。

展覧会のメインビジュアルにもなっている、杉浦非水デザインの「東洋唯一の地下鉄道」。

地下鉄が駅の構内に入ってくるのを、着飾った人々が迎えています。

「昭和初頭のモダン都市・東京の活気が伝わってくるようです」との解説、妙に納得。

越前電鉄・永平寺鉄道だって、負けてはいません。

堂々たる、天下の名刹・参詣案内ポスター。

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ホントだ!この時代は「直線や幾何学形態の多様・コントラストの強い配色」の力強いデザインになってる。

キャッチコピー「鍛へよ 海に」。

阪神電車のポスターなので「電車に乗って、海水浴に行こうね!」と。

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‥お父さん、強そう!

華麗な流線型フォームの女性の影に、小麦色に焼けた男性も。

個人的に、イチオシだったポスターがこちら。

1937年・里見宗次デザイン「日本国有鉄道」。

高速で流れ去る車窓からの風景が、こんなに端正なデザインに!

日本らしい桜、春の海や島影までバッチリ!

凄い速さで視界から消えてゆく、手前の電信柱とは対照的に、遠景は全く霞みません。

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リアルな夢見心地。ロゴの配置といい「好き!」しかない。

‥ん?‥これって、万里の長城?

華北交通は、中国の華北地域で、鉄道・バスの運行を担っていた日本の会社。

ポスターとしては美しく、力強いデザインですが‥。

当時の歴史的背景が気になったので、日本軍による華北の軍事占領について、お家でちょっと調べたのでした。

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気になったことは、調べるに限る。

こちらは、京都市観光課のポスター。

市松人形の着物に、京都らしい雅な風景が。

誰もいなかったから、時間を忘れて鑑賞しちゃったな。

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エンタメ要素もあるから、眼福、眼福。

写真撮影OKの会場はここまでです。

撮影不可エリア

懐かしの1980〜1990年代

実は、この展覧会の目玉は、撮影不可エリアにも多くあるのです。

序章「あ、懐かしの」の会場には、1980〜1990年代に作られた、記憶に新しいポスターがいっぱい。

2000年頃の「docomo・iモード」のポスター、きっちり覚えてましたよ!

発売されたばかりの携帯電話・iモード片手に、エスカレーターに立つ、若かりし日の田村正和氏、相変わらずカッコいい。

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私が初めて持ったケータイ、シルバーのiモードだった!

そして、華麗な資生堂のポスター。

当然、どの時代も女性の憧れの的です。

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20代の宮沢りえちゃんを起用した、口紅のポスター。「この色を買って、りえちゃんみたいになりたい!」と、お店に走った女性がどれだけいることか。

メンズムースのポスターに起用された「とんねるず」も、まだ20代。

当時、テレビでひっぱりだこでした。

1997年頃の「Kirin・一番搾り」、森の中でジュリーが寛ぐ姿が素敵で、ガン見したのは内緒です。

お近くの方は、是非会場でご覧ください。

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この序章を見てから、この記事の最初・江戸時代の引札の会場に移ったの。

第4章:戦果の足音/平和の祈り

戦争中のポスター展示も、色んな意味で見応えがありました。

例えば、タイトルやキャッチコピーも、この通り。

  • 銃後の赤心燃え立つ援護
  • 空襲なにものぞ!
  • 我に備えあり、鉄石の軍備 四月十五日第四回国兵記念日
  • 産報教化画 増産追撃戦‼︎
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戦時中、国がポスターを通じて、国民に全力で訴える内容は、どれも切実で悲しい。

続いて、平和を祈るポスターのエリアへ。

被爆地・広島から、世界へ平和を発信する「ヒロシマ・アピールズ」には、日本を代表するデザイナーが参加しています。

世界の恒久平和を訴える1枚1枚が美しく、静かな説得力も伝わってきました。

第5章:博覧会とオリンピック

  • 1964年:第18回オリンピック東京大会
  • 1970年:大阪日本万国博覧会

1964年に開催された、東京オリンピックのポスター。

各国の選手が、スタートダッシュする瞬間をとらえた1枚は、美しい迫力と緊張感が漂う、情報量満載デザインです。

撮影禁止だったので、こちらで。

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これ、写真を使った初めてのポスターでもあるそうです。

‥ところで、遠い昔に訪れた大きな博覧会って、いつまでも心に残っていませんか?

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2005年の「愛・地球博」も、色んな人の記憶に刻まれてるんだろうな。

私は1970年・大阪万博のポスターに、懐かしさを感じました。

それは、子供の頃に訪れた万博会場で実物を見たのだったか、大人になって、大阪万博がテーマの展覧会や、万博記念公園の「EXPO’70パビリオン」で見たものなのか、既に区別できませんが。

今でも私は、太陽の塔に出迎えてもらうと、旧友に再開したように嬉しいのです。

そして今日は、2025年に開催される、大阪・関西万博の公式キャラクターに、愛称決定のニュースが流れてきました!

‥その名も「ミャクミャク」‼︎

次回の万博では、一体どんなポスターが作成されるのでしょうか?

イベント開催が待ち遠しいのはもちろん、ポスターの方も、かなり楽しみです!

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町なかや駅の構内に、色んなデザインの万博ポスターがズラッと並ぶ日、早く来ないかな。

呉市立美術館情報

ここで、呉市立美術館のご紹介を。

この美術館は「日本の道100選」にも選ばれた「美術館通り」に建っています。

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ここが、美術館通りに面した入口だよ。

山手の入口は、旧呉鎮守府司令長官官舎・郷土館・歴史民俗資料館などがある「入船山記念館」と一緒になっています。

この登り坂は、入船山記念館に続いており、

奥に見える、茶色い建物が美術館。

下り坂の左側に見えるお家は、

移築された、明治の海軍大佐・東郷平八郎の離れ座敷。

お庭の散策中、縁側に座って、ひと休みしてる人も。

今回ご紹介した展覧会「日本のポスター展 京都工芸繊維大学美術工芸資料館コレクション」は、2022年8月21日までの開催です。

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アクセス・開館時間・休館日などは、公式サイトでご確認を!

この展覧会を、SNS・ブログで紹介してOKか尋ねた際、

スタッフさん

どうぞどうぞ!どんどん宣伝してください!

と、ご快諾してくだったスタッフの皆さま、ありがとうございました。

ポスターって、奥深い!

美術館の2階ロビーで流れていた、展覧会のガイド映像。

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鑑賞前に見といて大正解!

それによると、ポスターの楽しみ方には、大きく2つあって

  1. ポスターのデザイン自体を楽しむ
  2. そのポスターが描かれた時代の、流行や空気感を楽しむ

というもの。

この2つを意識しながら鑑賞することで、3倍満喫できました。

確かに、人目を引く工夫を凝らし、様々な情報を詰め込んだポスターは、絵画とは異なる情報メディア。

デザインの面白さに加え、目的やメッセージも明確です。

コレ、買って!このサービス、使ってみて!

ここへ行ってみて!このイベント、是非見に来て!

新しく出たコレ、いいでしょ?素敵でしょ?欲しくなっちゃうよねっ?

‥どんなにシックで上品なデザインでも、実はちゃっかり・ガッツリ主張してます。

「いかに大衆の心を鷲掴みにするか」‥ポスターの話題性や人気が、売り上げに直結するので、そこは大事。

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情報の少なかった昔は、特に。

各ポスターが作成された時代に生きた人達の、

  • 今より、ちょっと素敵な暮らしを夢見るココロ
  • ポスターで見た、あの新商品を手にした時・あの場所に行った時の高揚感
  • ポスターでより膨らむ、博覧会・オリンピック開催への期待

などは、今の私達と恐らく一緒。

明日から街で見かけるポスターを、今まで以上に楽しめそうな予感がするのでした。

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それでは、また!

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