アザラシロボ・パロオーナーのブログ。
パロやプチクーボと暮らす楽しい日々・時々アートのこと。
美術館・博物館巡り

美術館で古伊万里の動物を愛でる

記事内に商品プロモーションを含む場合があります
neo

こんにちは。
美術館・博物館巡りが趣味のneoです。

広島県立美術館の「はるかなる古伊万里 400年の物語」に行ってきました。

この記事は、主に「動物を愛でる」ことにフォーカスして古伊万里の展覧会を見に行った、焼き物シロウトな私の鑑賞日記です。

こいまり。

おーるど・いまり。

正直、ザックリとしか知りません。

「この大きな壺はいつの時代に作られて‥」とかわからないし「お値段、およそ‥」みたいな話も特に関心なくて。

なので第一印象は「色キレイ!ワザ、細かい!絵がうまい!」

そんで「大きすぎて、おうちで使えないッ!」

neo

‥つまり、完全にシロウトの反応。

こんな私ですが、今回は磁器に登場する可愛い動物達を楽しみに訪れることにしました。

友人

‥え?「そんなの邪道!」って、詳しい人に呆れられない?

はい、大丈夫です。

「来館者が自分なりに楽しく鑑賞をすればOK!」なのが美術館。

親切な解説パネルやキャプションもあります。

今回はありがたいことに、一部撮影可能とのこと。

なのでご許可のある範囲内で、私が出会えた可愛い動物をご紹介しますね。

「よく来たな。見よ、我の勇姿を!」

磁器の中の動物達

虎・獅子

お皿や壺を眺めながら、飛び飛びで解説パネルを読んでるうち、撮影OKエリアに入りました。

おっ!

さっそく動物発見!

neo

‥といっても、パッと見、何の動物かわかんないぞ?

‥なになに?

「色絵梅竹虎文大皿(いろえうめたけとらもんおおざら)」?

‥えーっと「梅と竹と虎がカラーで描かれた大きな皿」‥っていう意味かな。

neo

そのまんまのネーミング。

ちなみにどの展示品もこんな重厚な名前ですが、何となく意味がわかるのが大きな救いです。

キャプションによると、1730年代にマイセン窯で制作。

「黄獅子と通称される文様で、これは虎をライオンとみたことに由来します」‥か。

「ライオン」というより、どこかネズミっぽい顔つきの虎ですね。

にょ〜んと伸びて木に巻きついてるのか、それとも枝に挟まれてしまったのか‥。

心なしか後ろ足の指を広げて「わああああ!」とか叫んでそうにも見えます。

この虎、多分‥体がとても長い。そして猫みたいに柔らか。www

‥あっ、元祖・ライオンもいるじゃん!

「色絵唐獅子牡丹文十角皿(いろえからじしぼたんもんじゅっかくざら)」。

neo

これも読めたぞ。「唐獅子と牡丹がカラーで描かれた十角形のお皿」ね‥。

1、2、3、4‥うん、確かに十角形だな。

ライオン、いえ、正確には唐獅子。

獅子舞や沖縄のシーサーを彷彿とさせる、アジアの聖獣・獅子、愛嬌があって好きです。

マイ・お気に入りエプロンを思い出したりもしました。

欧米人にとっては「カッコいいエキゾチックアニマル」に違いありませんね。

犬・馬

お次は子犬の置物で、柿右衛門様式。

日本で最初の磁器は、江戸時代に佐賀県・有田で作られました。

色んなスタイル(様式)が生み出され、そのうちの1つが「柿右衛門様式」です。

人間っぽい顔に真っ先に目が行きますが、よく見ると体の模様もかなり個性的ですぞ?

neo

首に巻かれてるのは赤いリボンなんだって。オシャレさんだ。

類似品がイギリスの伯爵のお城に所蔵されているそう。

300年以上も昔の伯爵様が「日本という国には‥このような犬がおるのか、アジがある顔よの」なんて、まじまじ見つめる姿を想像しました。

お次は「伊万里柿右衛門様式色絵馬(いまりかきえもんようしきいろえうま)」。

先ほどの子犬に比べると少し大きめで、どっしり大地を踏みしめた馬です。

実は彼らはこの美術館のマスコット的な存在で、ミュージアムショップではグッズも販売中。

ホラ、この巨大パネルの下の方にも!

当時の名品であるカラフルな彫像は、ヨーロッパで食器と共に需要があったのだそう。

伊万里焼は有田の近くの伊万里港から長崎へ、そこからオランダ東インド会社の帆船でフランスに旅立ちました。

これも江戸時代のことです。

1867年のパリ万博、そして1873年のウイーン万博で一気に加速した、欧米での伊万里焼ブーム。

改めて、日本の磁器は憧れの的だったんですね。


わわ、超可愛い子、いたーッ!

「色絵人物文魚型蓋物(いろえじんぶつもんさかながたふたもの)」

‥「人物のカラー絵が描かれた、魚の形の蓋付き器」?

neo

いやもう、可愛いにもほどがある!

ねえ、2匹とも微かに笑ってませんか?

キャプションを読んでみましょう。

‥は?

背中に中国の儒学者・伏生(ふくしょう)、もう一方には政治家・張騫(ちょうけん)が描いてある、って?

どれどれ‥。

わ、ホントに描いてある〜‼︎

‥しかし、中国の偉人さんが‥なぜ丸っこい魚の背中におるの??

それさておき、細密画の偉人+筆文字効果で、何となく掛軸っぽい格調高さ(?)も感じます。

跳ね上げた尾の裏面は、赤字に金の唐草文。

キレイな形に広げたしっぽの中にまで、細かい絵が。

360度、完璧な美!

何コレ?何コレ〜⁉︎

昔の人は、このお魚の中に何を入れていたのでしょうか?

ちなみに1匹の大きさは、片手に乗るサイズ。

neo

‥私はマーブルチョコを入れたいな。碁石入れみたいに「ジャラッ!」って指先を突っ込むの。

実際には、装飾品として飾られていたかも知れないし、案外、高貴な人が普段使いしてた器だったかも。

この展覧会は「貴重!豪華!レア!」の目白押しですが、個人的にはこの子達がダントツ1位!

展示ケースの周りをグルグル回り、何枚も写真撮影、時にしゃがみ込んでお魚と目を合わせてみたりもしました。

あーん、お別れが名残惜しい!

neo

またどこかの美術館・博物館で会えるかな?

動物だけでなく、見事な鳥にもご注目。

「色絵釉下彩鶴梅樹文蓋付大壺(いろえゆうかさいつるばいじゅもんふたつきおおつぼ)」。

2羽の鶴が梅の木の間を飛ぶ大きな壺です。

わ〜、黒い鶴はひたすらカッコいい。

そして蓋の上に青い獅子。

要は「つまみ」なのですが、コレをつまんだら指の間から強力な目ヂカラを感じずにはいられないはず。

絶対「目からビーム!」出てます。

neo

「かわいい!」「カッコいい!」ばかり言ってますが、高い技術に裏打ちされた超絶技巧です。

‥で!

問題のこちら。

チューリップを飾る花瓶らしいのですが‥

neo

‥何じゃこりゃ?奇抜を通り越して、様子がおかしい!

鳳凰の背中に13個の筒形突起。

さすがの鳳凰様も「‥オレ、今どうなってるの?」という顔です。

急に「これね、チューリップ飾る用だから」と言われても、私は「‥いや、生けないであげて?ホラ、鳳凰、なんか困ってるし」と静かに訴えたい。www

ちなみに名前は「色絵宝珠鳳凰文家紋入チューリップ瓶(いろえほうじゅほうおうもんかもんいりちゅーりっぷびん)」。

名前にちゃっかり「チューリップ」と入れ、生けるべき花を指定しちゃう念の入れようです。

neo

この意気込み。「チューリップ込みで完成する鳳凰」なんだね。

こちらは美しい彩色の「磁胎有線七宝花鳥文大皿(じたいゆうせんしっぽうかちょうもんおおざら)」。

花々の中を楽しそうに飛ぶのはツバメかな?

neo

細かい絵、そして吸い込まれそうな美しい色。

磁胎七宝は幕末から明治時代前期にかけての短期間しか製作されなかった希少品だそう。

こちらが同時代に作られた大花瓶で、私の伊万里の色彩はこのイメージでした。

鮮やかな色彩の磁器を見つけるたび、手放しで驚くばかりです。

途中、休憩スペースも活用

展覧会はぼんやり見て回っていても、だんだん目や足に疲れが。

neo

‥はい、ちょっと休憩。

この美術館には、休憩できるスペースが散在しているのがありがたい。

矢印の方に進んでいくと‥ホッと一息つける開放的な空間が広がっています。

名勝・縮景園に隣接する建物なので、館内から四季折々の風景を見下ろせる素晴らしさ。

neo

縮景園は美しい大名庭園。このスペースが貸切の時は「ああ、ここに住みたいな〜」って。

明るい場所でソファに腰掛け、改めて展覧会のチラシを見ると

「マイセンも憧れた日本の磁器」

「ヨーロッパからの里帰り品、多数!初期伊万里、柿右衛門、金襴手、明治の超絶技巧‥」

とあります。

neo

うんうん、凄いのがいっぱい展示されてる。来て良かった。

チラシの写真だけでは、実物の古伊万里が持つ迫力に気付けなかったでしょう。

極彩色の花瓶・コーヒーポット

動物とは違いますが、印象的だった磁器もチラホラ。

鮮やかな「色絵樹下人物文花瓶(いろえじゅかじんぶつもんかびん)」。

こちら、2個組(←言い方‥)です。

neo

この極彩色、どっかで‥?

そうだ!

2018年に大阪市立東洋陶磁美術館で見た、特別展「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」!

neo

あれは‥何かもう、クラクラする世界だったな!

陶磁器のこと、わかんないなりに色々見に行ってると、たまに忘れられない展覧会にぶち当たることがあります。

うまく言えないけど「とんでもないやつ」。

1度目にした記憶は、何かの機会があれば鮮やかに蘇るので、脳内ストックが多いに越したことはありません。

neo

だから雑食的に、ふんだんに鑑賞したいのです。

あと、珍しい形をした器がこちら。

「色絵桜樹文耳付注器(いろえおうじゅもんみみつきちゅうき)」。

桜の木が描かれた、取手付きの飲み物を注ぐ器。

金属製の蛇口に、金色の宝珠の形をしたつまみ。

西洋と東洋、両方の雰囲気を併せ持つ豪華な装飾ですね。

これは「ヨーロッパでコーヒーポットとして使われていたと考えられる」そうです。

neo

見慣れない形の器や、謎用途の器、他にも色々あって興味深かったな。

観賞後は館内ぶらぶら

訪れる前にガッツリ予習して、長時間かけてガン見する展覧会もありますが、今回はフラッと訪れ、会場をのんびり周った回でした。

neo

「は~、面白かった!」で終わってもいい美術館は、休日の癒しスポット。

思えば若い頃は「‥壺?‥大皿?よくわかんないから見なくていいや‥」だった私。

それが今や、一歩足を踏み入れれば「これ、一体ど~やって作ったんだ?」と超絶技巧に目を見張り、400年前に欧米人を虜にしたジャパニーズ磁器にまつわるエピソードなんかを読んでは、いちいちジーンとくるのです。

呑気に「動物探し」をしつつ、当時の人々に思いを馳せ、江戸時代、伊万里を海外に輸出した貿易商、職人魂を燃やす陶芸家、はたまた初めて伊万里に触れた外人の驚愕を想像したりも。

neo

相変わらず知識面はシロウトのまま、その日の気分で楽しんでます。

「予備学習ナシで来ちゃったけど、展示を見てるうちにもっと知りたくなった!」という時は、図書室を覗いたり、図録を手にとればOK。

neo

ところで有田といえば「有田焼きカレー」が有名です。

併設カフェでは、特別展メニューの「有田焼・チーズカレー」が美味しそうでした。

他にも全国の展覧会チラシがもらえたり、ミュージアムショップまで揃う美術館は「超・使える施設」でしかありません。

neo

緊急事態宣言が終了して、少しずつポスターとチラシの数が増えてるのは嬉しい限り。

特設ショップのグッズにも「今」を感じる

そういえば展覧会会場を出た場所に、特設ショップがありました。

ちょっとお高めな有田焼なんかも並ぶ中、お手軽な小物やお菓子が揃っています。

その中に、このご時世ならではのグッズを発見!

それはスプレーボトルです。

私が普段持ち歩く消毒液ボトルとサイズ・機能はほとんど同じですが「ボディが有田焼」という一品。

neo

「パパが有田焼のお茶碗、ママがスプレーボトルで僕が生まれました!」みたいな佇まいだったな。

有田焼の食器やマグカップ・花瓶などはもちろん、日頃の減塩に役立つお醤油スプレーや、コロナ時代の必需品・消毒液ボトル‥。

neo

今の時代に生きる私達の需要が、ちゃんと取り込まれてる。

芸術品・お宝レベルの古伊万里や磁器を鑑賞した後、いつの時代も伝統工芸は私達のそばで生活に潤いを与えてくれる一面があることを肌で感じた1日でした。

引き続き、色んな美術館・博物館を訪れて有意義な時間を過ごしたいな、と思っています。

neo

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。