こんにちは。
美術館・博物館巡りが趣味のneoです。
2015〜2019年の5年間は年間平均45回、コロナ禍の2020年は30回、各地の美術館・博物館を訪れています。
昔の私は「面白そう!」「これは見ておきたい!」という展覧会だけを選んで訪れていましたが、いつの頃からか、手当たり次第鑑賞する面白さに気付きました。
この記事では、
「美術館は好きだけど、面白そうな展覧会ってなかなか来ないんだよね」と嘆く人に
- 私が「特に興味のない展覧会」も覗きに行く理由
- どの展覧会もそれなりに楽しむためのポイント
をお伝えします。
あなたが「美術館が嫌いではない、むしろ好き」なら、お悩み解消のヒントになるかも。
一言で言っちゃえば、自分で「面白い」を探すんだよ。
面白くなさそうな展覧会、行っても退屈なんじゃない?
興味・関心を持った途端「退屈・つまらない」ではなくなる
突然ですが、私はスポーツ全般が全くダメで観戦もしません。
多くの人が熱狂する試合やオリンピックをテレビで見ても「みんなで野球してるな」「競技場を走ってるな」と思うだけ。
そもそもわかんないから見ない。
美術館も同じで、自分から楽しもうとしなければ「絵が飾ってある静かな部屋」でしかなく、わざわざ入館料を払って一周しても「絵がいっぱいあった、疲れた」で終わりそう。
例えば映画なら、シートに座ればセリフ・音楽とともに次々と映像が目に飛び込んでくるので、いつの間にかその世界に入り込んで楽しむことができます。
けれど絵や彫刻は「そこに展示してある」だけ。目もくれず横を通り過ぎてしまえば無になる存在。
なので美術館では、自分から展示作品に気持ちを寄せる心構えが前提になります。
「‥アレ?この絵って何?」で十分。
気になった作品は自然にキャプション(絵の横についている小さな札)や、解説パネルに目がいくのではないでしょうか?
ちなみに私のスポーツ観戦の件も、自分から「この競技の見どころは?」「この選手さんってどんな人?」などと興味を持ち、魅力を教えてくれる誰かと観戦し始めれば、いつの間にか‥なんて思っているところです。
解説パネル・音声ガイドなど、心強い味方がいっぱい
- 特別展・企画展:一定期間、あるテーマに沿って作品を展示した展覧会。
- 常設展・所蔵作品展:その施設が持っている作品を展示した展覧会。
まだ昭和だった頃のキャプションといえば、タイトルと作者名だけだったり「あっ、何やら書いてあるぞ?」と近づいたところで、作者の略歴がギッシリ並べてあるだけのことも。
「‥うん、よくわかんないや」と、置いてけぼり感を味わうことがしばしばでした。
見終わった後、心に残った作品も感想も特にナシ。
でもご安心ください!
近年の特別展・企画展(施設によっては常設展も)は、来館者が思わず作品を二度見したくなるような展示方法を取り入れた会場が増えています。
- 絵の見どころや豆知識など、わかりやすくてサクッと読める解説
- 画家の驚くような私生活・悩んだり病んだりなどの意外なエピソード
- 思わず吹き出してしまうオリジナルなコメント
- 子供も楽しめる可愛いオリジナルキャラによる解説や謎解き
これらが添えられているので親しみやすく、いつの間にか興味を持って鑑賞できるのです。
だから、よく知らずに見に行っても大丈夫だよ。
ところで「パネルの説明を1つ1つ読むの、疲れるんだよね」という人。もしや‥会場入口から順に全てのパネルやキャプションをがっつり読んでいませんか?
気になったものだけを選んで読めば、後はスルーでいいんです!
むしろそれがポイント!
「あれこれ読むのは面倒!」なら、各セクションの始めにある概要パネル(だいたい大きめで目立つ)を見つけてください。
「ここは◯◯について展示してあるコーナーです」というのが大まかに書かれているので「一体何を見せられているのかわからない」と途方に暮れることもありません。
作品横のQRコードにスマホをかざせば解説が聞ける会場もあったな。
もちろん作品タイトルと作者名だけのシンプルキャプションの会場もありますが、そこでも基本的には「見たいものを見て歩く」スタイルでOK。
お気に入りの1枚が見つかれば「今日はこの絵に出会うために来た」の勢いでガン見しましょう。
タイトルと画家名を覚えておけば、後で調べることもできます。
そして特別展などで準備されている音声ガイドはどんどん進化してるので、好きな芸能人や声優さんによる解説だったら、是非借りてみるのをオススメします。
まるでその人に案内されながら鑑賞している気分になることで、特に関心はなかったはずの展示に興味が湧くきっかけになるかも。
昔はね、謎のボソボソ声が解説を棒読みするだけの退屈ガイドが多くて、ますます興味が失せたりしてたの。
大規模な特別展はとにかく見応えがある
テレビで大々的にCMが流れていたり、街のあちこちでポスターを見かける展覧会は、かなり力が入っていると思って間違いありません。
とりあえず行ってみる価値アリ!
駅から美術館までの道のりにポスターや旗がズラリと飾られていたり、建物内のホール・廊下の飾り付けが来館者を歓迎してくれる雰囲気で、期待が次第に高まります。
フラリと足を運んだ人も、興味津々・やる気満々のファンの人達も満足できるよう、その施設の学芸員さん達が企画段階からアイデアを出し合い、作品の見せ方や会場全体の流れについて頭を捻ったことが伝わる会場、楽し過ぎます。
「退屈で面白くなさそう、別に見なくてもいいや」の気持ちはどこへやら。
アートファンならよく知るエピソードの解説が秀逸な施設は「凄腕の学芸員さんがおられるのだろうな」なんて。
ただ、話題を集める大人気の特別展などは混雑することが。
日時指定チケットを確保したり、混雑する時間帯などを調べた上で、スケジュール調整しておくと安心です。
1人の画家を取り上げた展覧会はいつの間にかコミットしやすい
例えば「ピカソ展」「北斎展」などの展覧会では、画家の人生・私生活なども深く掘り下げられています。
アーティストには激しい人生を生きた人、俗に言う「ヤバい人」も多いので、とんでもエピソードに驚くやら笑ってしまうやら。
また、画家の生きた時代がどんな時代だったかを知ることで、絵に対する印象が変わることも。
年代ごとの作品を順に見ることで、長い年月の中での絵の変遷が一目瞭然。
人生における大事件をきっかけに、別人のようなタッチで描かれた1枚に巡り合うと「この人、こんな絵も描いていたんだねぇ」と手放しで驚いてしまいます。
ベストな流れで作品を鑑賞できるよう考えられた会場は、順路に沿って見て回るだけで、画家の人柄や一生をかけた画業を概観できるのだから、正に至れり尽くせり!観賞後はすっかりファンになっていることが多々あるのです。
アートへの興味が薄い友達が、ミュージアムショップで画集とポストカードを大量に購入しているのを目撃!
ちなみに私は「ヴラマング展」で、それまで知らなかった19世紀末~20世紀のフランスの画家・文筆家のヴラマング氏に惚れ込みました。
「よく知らない画家だったんだけど、いや〜面白かった!」の確率、高いですよ。
日常からの束の間のトリップ
思わず立ち止まってしまう作品との出会いが嬉しい
どんな展覧会でも、大抵は「目を奪われる1枚」に出会えます。それは息を飲む風景や、美しい色彩・緻密なタッチの人物などなど。
何が描かれているかはわからないけれど、直感的に大好き、と感じる絵もあります。
「心惹かれるモチーフ」はそれこそ十人十色。単なる好みかも知れませんし、自分の人生と関係があることなのかも知れません。
楽器を演奏する友達は、その楽器が描かれた絵や彫刻を見つけて立ち止まり、興味深そうに色んな角度から鑑賞していました。
また、九州の漁師町で育った夫は「北欧の海で白人の漁師さん達が網を引く姿」をどこか懐かしく感じ、暗い色の海水や船に置かれた漁の道具に見入ることで、子供時代の故郷に思いを馳せていたようです。
謎の道具も、彼には見覚えがある上、用途までわかるらしい。この人、絶賛タイムトリップ中なんだね。
海外アーティストの作品からは、画家の個性とは別に、その国の文化や国民性に触れることもできます。
改めて自分が日本人であることを自覚したり、かつて旅行した国の体感温度、それに続いて街の匂いを思い出したり。
1枚の絵に惹きつけられた瞬間、プチトリップ!
「この画家が描こうとしたもの」に思いを馳せるのもよし、作者の意図とは離れたところで何かを感じるのもよし。気になった作品をじーっと観察し、自分なりに解釈すると想像が広がるのです。
自分なりに何らかの新発見がある
正直、あまり期待せずに訪れた美術館で、思いがけない発見と驚きが待っていたら嬉しくなりませんか?
「予期してなかった方向から好奇心を刺激されることがある」と気付いた私は、雑食的に「見に行ける展示は全て見に行く!」という主義にシフトしました。
アートを鑑賞した記憶は心の隅に蓄積され、勝手な先入観は徐々に書き換えられ、何となく美意識が鍛えられる気もします。
「‥ふーん、よくわかんないや」で終わった作品が、数年後のアート巡り中「‥あれ?これ見覚えがあるぞ?‥あの時のあの人か!」と、記憶の中で結びついた瞬間、まるで知人に再開したような軽い興奮状態になることも。
「コレ、面白いかも!」と感じた途端にスイッチが入る!
大きなテーマに沿った展覧会の場合、作者ごと・時代ごと・小テーマごとなどに作品が整理された状態で並べられていて、会場全体を通して1つのテーマを掘り下げる構成になっています。
広い空間をうまく仕切ってあったり、ちょうどよいタイミングで関連作品や資料に出会える工夫も鑑賞者ファースト。館内が複数の小ぶり会場に分かれている美術館では、展示室ごとに雰囲気が変わるのも楽しい。
「ピンと来ないテーマの展覧会」で、これといった興味も湧かず会場を歩いていたところ「今まで知らなかったことが悔やまれるほどの強烈な出会いがあるかも!」と思うと、侮れませんよね。
誰かと美術館に行く楽しみ
同行者がいる場合、どうしても鑑賞ペースが自分と異なります。
相手のペースに合わせて鑑賞することもできますが、少し窮屈。
会場に入ってすぐはお互いの姿を確認できていても、気付けば相手の姿を見失っている。
常にキョロキョロして相手の姿を確認しながらでは、当然落ち着いて鑑賞できません。
やる気満々で訪れた人なら、時間をかけて回りたいはずですし、凄い速さでザッと見て回り、後から気に入った絵の前に戻ってくる人もいるのです。
展覧会の広い会場を一周し終わる頃には、お互い相手の居場所なんて見当がつかない状態に。
まだこのエリアまで来てないのかな?逆に待たせてたら悪いし‥。
スマホで連絡を取るのも難しいので、私は「だいたい◯時頃、ミュージアムカフェで」などと待ち合わせ場所を決め、最初から別行動にしています。
鑑賞後の感想については、話さない相手もいればお互いの感想を言い合う相手もいて、その人ならではのコメントに意外な一面が見えたりするのが面白いところ。
私がスルーした絵に対して、同行者が思いがけず深く語ってくれたり。
わ!その発想はなかった!
逆に私が気に入った絵を伝えると「‥そんな絵、あった?」なんて。
同じ展覧会を見てこのギャップ!
久々に会えた友達とアート鑑賞に続いて食事や買い物に行けるのも、美術館が少しだけオシャレして出かける場所だからだと思います。
1人で美術館に行く楽しみ
そして「おひとりさま」で美術館に行けば、とことんマイペースに過ごせます。
日々の生活に忙殺されていると、自分自身とゆっくり向き合う時間なんてほとんどないことに気付きませんか?
絵の前で、静かに自分と対話できる時間が持てる贅沢さがたまりません。
私にとっての美術館は、心の病院でありリラクセーション施設でもある。「どんな展覧会でも、覗いてみればそれなりに楽しい時間が過ごせる」と気付いて以来、アート巡りの頻度に拍車がかかりました。
【私の美術館での過ごし方】
- 比較的空いている午前中に入館して特別展・企画展を見る
- お昼頃、併設のカフェでランチ
- 午後から常設展やミュージアムショップを覗く
- 気が向けばティータイム(鑑賞メモを書いたり‥)
- 夕方の早い時間に帰宅
「もう1回見たい!」と、後日リピする展覧会もあります。
情報量が多すぎて1度では消化しきれなかったり、体調などの理由でじっくり見れないこともあるので。
リピする時点で「興味のない展覧会」じゃなくなってるよね。
「ところであの展覧会、他の人はどう感じたんだろう?」と気になった時は、SNSなどで既に訪れた人達の感想を読むことができます。
自分と真逆の感想を持った人がいるのも面白いし、知らない誰かの書き込みに激しく同意することも。
そしてうまく言葉にできなかった観賞後の所感をズバリと言い切ってくれている人を見つけたら、何とも清々しい。
1人でアート鑑賞した後って、不思議なことに「さ、明日からも頑張ろうかな」ってなるんだよ。
大きな美術館・個性的な美術館は展示室以外でも楽しめる
もしも、せっかく見に来たのに物足りなかったらどうするの?
そんな時は、個性的なミュージアムショップを覗いたり、美術館のお庭を散歩したり。
そして「レストランでちゃっかり特別展限定メニューやスイーツを食べる!」などのお楽しみが。
また大きな美術館は、施設内の図書室が無料で使えるので、閲覧室に立ち寄ることができます。
図書室で見つけた好きな漫画家さんの画集、まだ持ってないやつだった!
「気になる特集記事が組まれたアート雑誌、わざわざ買うほどでは‥」と思っていた1冊が、無造作に置いてあったことも。
色んな楽しみ方ができる施設だから、有意義な1日になるの。
そんなこんなで毎回「来てよかった〜!」と思える美術館。最初は「退屈そうだと思った展覧会」がアート巡りにハマるきっかけになることもあるので、自分で「面白い」を見つけに美術館へ出かけませんか?