アザラシロボ・パロオーナーのブログ。
パロやプチクーボと暮らす楽しい日々・時々アートのこと。
パロの紹介

ポーランドにパロ(ヨーロッパ向け医療機器版)を寄贈・ウクライナ避難民の「心のケア」に活用

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

この記事は「心のケアの支援」を目的に、パロがポーランドに寄贈された件をまとめたもので、パロ開発者の柴田崇徳博士に監修していただきました。

  • 日本の被災地でパロが活用された実績
  • 今回の寄贈に関する各報道
  • ポーランドでは初となるパロ(ヨーロッパ向け医療機器版)の導入

などについても。

2022年2月24日から始まった、ロシアの侵攻。

攻撃を受けたウクライナ市民のうち、多くの女性・子供・高齢者が、同国西部や周辺国に避難しています。

そんな中、2022年6月、パロを避難者の心のケアに活用するため、ポーランドの2か所の医療機関に、各2体が贈呈されました。

柴田博士

日本は、軍用ドローンや対戦車ミサイルのような「武器による軍事支援」を行うことはできません。日本製の医療機器・パロを贈って「人道的支援」で貢献できれば、ありがたいです。

neo

柴田博士、よろしくお願いいたします。

日本の被災地でパロが活用された実績

柴田博士

パロは、日本の大地震被災地で、活用された実績があります。

パロが活用されたのは、

  • 2005年:福岡県西方沖地震
  • 2007年:中越沖地震
  • 2011年:東日本大震災
  • 2016年:熊本地震

の被災地。

東日本大震災では、アメリカ・シカゴ日本商工会議所から6体のパロが寄贈され、約80体のパロが、長期的に被災地で活用されました。

東日本大震災での、パロによる心のケアの詳細については、こちら(↓)のPDFで。

neo

初めて知る、被災地での活用エピソードがギッシリでした。

ポーランドへの寄贈に関する各報道

今回、パロが贈られた医療機関は、ポーランドの

  • マゾフシェ県神経精神医学センター
  • ワルシャワ医療大学医療センター

の2施設。

テレビやネットでの報道

日本でも6月2日から、各メディアによる報道が始まりました。

■画像出典:NHK NEWS WEB

この件に関するいくつかの報道を、まめ母ちゃんさん(@mamemam0502)がまとめ、ブログ記事でアップしてくださっています。

neo

どこでどんな風に取り上げられているのか、1つ1つ探すのが大変でしたが、下の記事内に各報道へのリンクが貼り付けられています。一覧できて助かりました。

ワルシャワ医療大学医療センター(WUM)HPでの紹介内容

柴田博士

パロの受け入れ先の1つ「Medical Univ. of Warsaw」のHPでは、日の丸の国旗を前面に押し出して、日本への感謝の意を表現して頂いています。

嬉しく感じると共に、積極的な活用方法を検討して頂いていることに、感謝しています。

記事タイトルは、

「2体のパロが、WUMにやってくる・パロはウクライナからの難民への心理的な支援に使用される」(2022年5月31日)。

柴田博士

記事内の集合写真の下部、パロの外箱に医療機器であることを示す「MD」の記号と、その下に、日の丸の旗が見えると思います。

neo

あっ!日の丸!右下のダンボール箱に見えますね。

記事本文はやや長めで、もちろん英文ですが、私は読みたかったので、Google翻訳を使ってみました。

neo

翻訳文が読みやすいよう、少しだけ手を加えたものを掲載(↓)しています。気になる人は、どうぞ。

柴田博士

海外では、パロは医療機器。
なので、記事中のパロの効果に関する部分は「ヨーロッパ向け医療機器版パロ」についてです。

【HP記事の翻訳】

「2体のパロが、WUMにやってくる・パロはウクライナからの難民への心理的な支援に使用される」

パロは、ぬいぐるみのように見えるかもしれませんが、実際には、心的外傷後ストレスなどの問題の治療に役立つことが証明されている、医療機器です。

CM WUM大学心理学クリニックと、ワルシャワ医科大学の健康心理学研究の代表者は、現在、パロの開発者や開発チームと協力して、パロを使用するための最適な戦略を開発しています。

パロ達は、ウクライナへの支援のために、日本大使館から贈られました。

最近の会合で、ワルシャワ医科大学の国際化・推進・開発担当副学長のパウエウ・ウォダルスキー教授に、ポーランド駐在日本大使の宮島明夫氏が、パロを手渡しました。

このイベントには、ワルシャワ医科大学の健康心理学研究のマグダレナ・アザレヴィッチ博士、CM WUM大学心理学クリニックのコーディネーター、JETRA財団とマゾビアン神経精神医学センターの代表者も出席しました。

パロ達は、アニマルセラピーのように働きます。若いグリーンランドアザラシに似た、医療用セラピーロボットで、柴田崇徳教授が発明しました。

タッチ、光、音、温度、および位置のセンサーがあり、人工知能が組み込まれているため、周囲からの刺激に反応します。

これらのセンサーのおかげで、ストロークと衝撃を区別し、それに応じて動作します。呼ばれた名前にも反応し、望ましい行動と、望ましくない行動を学習することもできます。

バイオフィードバックの原理に基づいて動作する、バイオフィードバック医療機器に分類されます。
それは6000ドルの価値があります。

 アザレヴィッチ博士は「これまで、認知症や精神病の高齢者、ガン患者を含む体性患者、退役軍人、心的外傷後ストレス障害のある人などを対象とした、パロの使用が記録されています」と述べています。

ロボットの操作は、アニマルセラピーと比較することができます。

本物の動物との関係と同じように、パロとの接触は、患者のドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィンのレベルを上げ、それによって患者の気分を改善し、不安のレベルを減らします。

また、社会的関係を確立するのに役立ちます。アザレヴィッチ博士は「この方法は比較的新しいものですが、特にアクセスできない、不可能である、または導入が難しいアニマルセラピーの代替として非常に有望です」と述べています。

パロ達は、病棟で働くだけではありません。現在、パロを使用して、ウクライナからの難民に協力するための、最適な戦略が開発されています。

ワルシャワ医科大学医学部の、大学心理学クリニックのアザレヴィッチ博士と、ワルシャワ医科大学の健康心理学研究によって調整されたチームが、パロの開発者である柴田博士と協力して、取り組んでいます。

アザレヴィッチ博士は言います。

「とりわけ私達は、難民センター、幼稚園、小学校での行動を計画しており、ウクライナとポーランドの子供達の統合を支援するよう努めます。

また、ウクライナの入院中の子供達、特に戦争の犠牲者を支援するために、臨床病棟でロボットを使用した個別行動計画もあります。

また、ウクライナからの人々への医療輸送の提供や、救急医療への追加支援にも協力することを検討しています。

沢山のアイデアがあり、パロが提供しなければならない幅広いセラピー特性を、最大限に活用するため、日本の専門家とそれらについて話し合っています」と。

パロは、30か国以上で使用されています。 2021年7月までに、約7000体が使用されており、COVID-19パンデミックの間、特に人気がありました。ポーランドでは、初めて使用されます。

neo

HPでの紹介内容は、こんな感じでした。

ワルシャワ医療大学医療センター、ちょっと見てみた

【ワルシャワって、どんな街?】

人口約180万人・ポーランド最大の都市で、政治・経済・交通の要衝。ポーランドの首都。

neo

パロ達、どんな施設に寄贈されたのかな?

ワルシャワ医療大学医療センターのHPには、こんな写真が。

neo

(‥わあ、まるで、モダンな団地?)

ちょっと、ストリートビューで訪れてみると‥

下のGoogleマップをズンズン拡大して、敷地内を少し歩いてみたところ、正に「都会の大病院」でした。

ヨーロッパ向け医療機器版パロ、ポーランドでは初めての導入

柴田博士

「ヨーロッパ向け医療機器版パロ(最新型・MCR-911MD)」は、既に2021年に販売が開始され、ヨーロッパ各国で大好評を得ています。

ヨーロッパで、2000~3000体ほど利用されているパロのうち、約150体がこの「最新型パロ」です。

このイメージ画では、ポーランドに向かうパロ達が、渡り鳥のように大陸を横断する姿を描きましたが、

当然ながら実際には、国内外の多くの方のお力添えがありました。

2つの医療機関へのパロの寄贈・活用は、過去の大地震被災地支援などの経験を活かしつつ、ジェトロ・ワルシャワ事務所や、在ポーランド日本大使館のご尽力などによって、実現したのだそう。

柴田博士

プレス・リリース資料(公式文書↑)の通りです。

大使公邸において、宮島昭夫・駐ポーランド特命全権大使から、4体のパロが進呈されました。

幸いなことに、どちらの医療機関もパロのことをご存知で、興味を持っておられたとのこと。

柴田博士

従来型パロの方は、ポーランドにも導入され、喜ばれていました。

けれど、ヨーロッパ向け医療機器版パロは、まだ導入したことがなかったため、今回の寄贈を大変喜んでいらっしゃったそうです。

ウクライナでは、成人男性(18~60 歳)の出国禁止により、周辺国への避難民の多くは女性、子供、高齢者となっている。

避難民にとっては、「衣食住の確保」が最優先であるが、約3か月が過ぎ、各国や地方自治体、地域住人、国際的なNGOやNPO等の継続的な物資的な支援により、ある程度、確保されつつある。

しかし、爆撃、銃撃等による恐怖とその後のPTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)、避難生活や集団生活のストレス、今後の不安、抑うつ、孤独、興奮、不眠等の精神的な問題が徐々に顕著になってくるために、避難民への「心の支援」も重要になっている。

■プレス向け配布資料 「ウクライナからの避難民への『心の支援』をポーランドにおいて、ヨーロッパ向け医療機器版・アザラシ型ロボット『パロ』で開始」より引用
neo

日にちの経過とともに、現地で起こる混乱や、問題の特性も変わってきますね。

ウクライナには、2006年、在ウクライナ日本国大使館に、外務省の「文化啓発用品」として、パロが配置されています。

チョルノービリ原発事故後の、小児ガンの子供達などを対象に「心の支援」に活用されて、大好評を得ました。

柴田博士

パロの受け入れが良かったため、今回も喜ばれることを期待しています。

パロが好評なら、ポーランドやウクライナ国内・周辺国で、パロを用いる避難民への支援について、更なる追加・展開方法について、検討される予定です。

ポーランドと日本の双国で、情報収集・研究が進められる

パロが贈られたポーランドの2つの医療機関は、今後、

  • 避難民キャンプでのワークショップ
  • 大学付属病院や地域の病院で、入院・通院する避難民
  • ウクライナで戦争で負傷した市民(特に子供)の、国際緊急医療航空での搬送時

などにも、パロの活用を計画しています。

また、日本の国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)では、

  • パロを贈った2つの医療機関に「パロの活用と効果」に関する記録を依頼
  • その情報を共有して、パロの活用事例や、効果の事例のデータベースを構築
  • 今後の更なる機会のための準備として、避難民向けのパロ運用のSOPの開発

などを行うことにより、パロの運用方法の改善や、今後のニーズの分析などを研究する予定です。

【SOPって?】

標準業務手順書。Standard Operation Proceduresの略。

neo

「パロを寄贈して終わり」じゃない。素晴らしいですね!

柴田博士より、今回のパロ寄贈について

柴田博士

世界中から様々な支援が寄せられる中、受け取った側は、誰から送られた物かを感じることはあまりないのが実態で「物資を配布する人には感謝しても、その物資を提供した人のことはあまりわからない」というのが実情です。

柴田博士

今回のプレス・リリース(公式文書)の考え方は、ウクライナの避難民と、彼らを支援するポーランドの医療機関に対して

  • 日本からの貢献であることが、はっきりわかる形の支援をする
  • それを、日本製の「ヨーロッパ向け医療機器版パロ」を贈ることで実現し、ウクライナとポーランドの人達に喜んで頂く
  • これらと共に、遠方の日本で心配している日本の方々にも、喜んで頂く

というものです。

柴田博士

もちろん、他の支援を比較・批判する訳ではないですし、日用品のように、必要な支援は沢山あるのですが‥。

柴田博士

贈呈式後、ポーランドの2つの医療機関で、パロの活用方法をご検討を頂いており、もうすぐ実際の活用が始まる、というスタート地点にようやく立った、という状況です。

今後、ウクライナの避難民の方々や、ポーランドの支援者(医療従事者)が良い笑顔になって、コミュニケーションが活性化し、更には、精神疾患を診断された方々の症状が改善することを期待したいと思います。

neo

なるほどです。柴田博士、ありがとうございました。

ポーランドでのパロ活用、続報に期待

「武器による支援」はできない日本が「心のケアの支援」として、ポーランドにパロを贈りました。

各メディアが報じた、パロ寄贈のニュースを聞いて、

日本のパロちゃん、すごい!ポーランドで頑張ってね!

避難された皆さんが、少しでも癒やされますように。

避難民の方々の、力になってあげてほしいです。パロちゃんの腕の見せ所よ!私も日本から応援しています!

など、寄せられたコメントを拝見して、パロが大好きな個人として、とても嬉しかったです。

また、今回の報道を目にして、

可愛いパロ、子供の頃、親に連れられて行った科学館で見たから、知ってるよ!懐かしいなあ。

と、およそ20年越しの再会(?)を喜んでいた人も。

柴田博士は先日、ご自身の出身校である名古屋大学の博物館に、新たに2体のパロを寄贈されています。

以前からいた、白とクリーム色のパロちゃん2体に加え、今回やってきたのは、グレーとピンク色のパロちゃんです。

neo

これで、名大博物館のパロちゃんは、計4体に。全色のパロが揃ってる博物館、私も会いに行きたいな!

パロは、日本科学未来館などでも展示されています。

もし機会があれば、ギネス認定「世界一の癒しロボ」に会ってみてくださいね。

最後になりましたが、この記事の作成にあたり、お忙しい中、詳しい情報提供・監修をしてくださった、柴田崇徳博士に感謝いたします。