こんにちは、瀬戸芸ファンのneoです。
この記事は、瀬戸芸2025の会期外に、直島を2日間に分けて訪れたレポです。
直島へは、宇野港から宮浦港に入り、島内を徒歩またはバスで巡りました。
直島新美術館の作品、特に蔡國強氏の傑作「ヘッド・オン」は、写真多めでネタバレを含みますので、ご注意ください。
瀬戸内国際芸術祭、略して「瀬戸芸」は、香川県・岡山県で瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代アートの祭典です。

【瀬戸芸2025・各会期の開催期間】
・春会期:4月18日(金)〜5月25日(日)
・夏会期:8月1日(金)〜8月31日(日)
・秋会期:10月3日(金)〜11月9日(日)
6月の今は春会期が終了し、8月の夏会期を控えているところ。
そう、瀬戸芸は現在、会期外の真っ只中なのです。
会期中は、おトクな作品鑑賞パスポートが使えたり、エリア内の移動手段である臨時便が増えたりするなどのメリットがあります。
けれど今回は、
わざわざ会期外を狙って直島を訪れました。
実は、春会期中にも直島を訪れた私。

‥では、なぜ?
それは、会期中の直島には、大勢の人が押しかけるから。
直島に新しくできた美術館を、ゆっくり鑑賞したかったのです。
ひとり旅での〜んびり回った2日間のレポ、ぜひご覧ください!
1日目:JR岡山駅から直島・地中美術館へ
JR岡山駅を出発、直島・宮浦港へ
私の瀬戸芸旅は、いつもJR岡山駅から始まります。
JR岡山駅からJR宇野駅までは、途中で1回乗り換えが必要です。
人が多い瀬戸芸会期中は、ずっと座席に座れないことも。
それが、会期外だと‥

JR宇野みなと線の車両、ほぼ貸切!
「‥えっ?いいの?」なレベル。

途中、瀬戸芸参加アーティストさんによってデザインされた駅も通過します。
‥あ〜、停車位置がズレちゃった。

海に向かって、のどかな風景の中を走ります。
のっけからゴキゲンなひとり旅、最高。

あっ!JR八浜駅は、ナイスな停車位置だった。
JR宇野駅と同じく、エステル・ストッカー氏のデザインです。

JR岡山駅から1時間くらいで、JR宇野駅に到着。
うわあ、会期中は行列だった改札もスイスイ。

JR宇野駅から、宇野港までは徒歩数分の距離。
のたのた歩く私は、もう少しかかりますが。

会期外でも、瀬戸芸の青い旗はあちこちに。
フェリー乗り場に向かう道も、歩いている人がほとんどいない。

きっぷ売り場の自販機で、フェリーの往復きっぷを購入。
往復で買えば、帰りの乗船がスムーズ、片道300円・往復600円です。

フェリーで、約20分の船旅。
直島に渡る白人さん、相変わらず多くてビックリ。

私は、涼しい船室内でまったり。
階段を登った展望デッキも人気です。

直島・宮浦港からは、町営バスに乗ります。
「芸術祭特急バス」は、瀬戸芸会期中しか運行していません。
島の人と観光客でギュウギュウのバス。
停留所に並ぶ人を乗せきれず「積み残し」が発生することもしょっちゅうで、その時は臨時便が出ることもあるようです。
私が乗れたバスも、もちろん超満員。
旅行者は大きなカートを持って移動するので、なおさら。
料金は後払い(100円)なのですが、隣にいた島の高齢女性が、
いつもバスがいっぱいで、財布からお金も出せんのよ。
だから、先に100円玉を握ってバスに乗るの。
とおっしゃっていました。
確かに満員電車みたいな状態だから、バス停に着いてからでは、バッグなんてとても開けられない。
私も早めにお財布から100円玉を出して、手に握りました。
‥島の皆さん、観光客が、ご迷惑をおかけしております。
瀬戸芸会期外、しかも平日でコレですよ、直島。
つつじ荘バス停周辺
町営バスは、宮浦港から本浦港経由で「つつじ荘」が終点。

■出典:ベネッセアートサイト直島

これ、バスの車窓からなんですけど、本村の直島港の駐輪場も、アート作品なのです。

さて、海水浴場のそばにある、つつじ荘のバス停に到着。

乗り継ぎのバスが来るまで、数分間ボーッと散策しました。
この鳥居も、人気の撮影スポットです。
バスに乗っていたのは、私も含め、まだみんな直島に渡ってきたばかり。
バスから降りると、いきなりこんな風景が広がっているのが、もう嬉しくてたまりません。
つつじ荘から、ベネッセアートサイト直島場内シャトルバス(無料)に乗り換えて、目的地まで移動する人と、徒歩で散策する人に分かれます。
私が向かうのは、杉本博司ギャラリー「時の回廊」。
普通に歩ける距離ですが、ちょうどシャトルバスが来たので、乗車してみました。
次の停留所だから、1分で着いちゃった。

■出典:ベネッセアートサイト直島
杉本博司ギャラリー「時の回廊」・草間彌生「南瓜」
さて、春会期の時、完売で入館できなかった「時の回廊」へ。
ベネッセ・アートサイトには、事前予約が必要な施設があります。
だから、人気の施設はお早めにご予約を。
私は、フェリーやバスの時間に合わせて、12時に予約を取っていました。
さあ、海が広がる眩しい太陽の世界から、安藤建築の静かな世界にワープ!
ガラスのお茶室「聞鳥庵(もんどりあん)」が楽しみです。

以前来たのは、5年前。
そうそう、こんな感じだった!

たしか当時は、まだお茶室がなくて。

入館すると、お茶と季節の和菓子がいただける「呈茶券」がついています。

わあ、外にガラスのお茶室が見える!

なんてオシャレなラウンジ。

冷たいほうじ茶をお願いしました。
季節の和菓子は、そら豆の形。

は〜!
「聞鳥庵(もんどりあん)」、キレイだなあ。

外に出てみると、太陽が眩しい!
穴から出てきたモグラみたいな目になる私。

カメラ、Zoom!
ホントにお茶室ですね‥中、暑そうかも。

あ、イスがあった。
座ってみたら、潮風が心地良すぎて。

左手には、草間彌生氏の「南瓜」、その先につつじ荘のバス停も見えます。

ちょっと、波打ち際を歩いてみたり。
太陽は真上、泳いでいる人もいたくらい、暑い日でした。

この作品は「平面によって2分割された円筒」。
‥あ、中から、人が出てきたぞ?

私も入ってみると‥
確かに「平面によって2分割された円筒」だった〜!

クローバーが咲く芝生の上、点在するアート作品を見ながら歩きます。

はい、みんな大好き「南瓜」キター。
こう見えて、常に人に囲まれています。

しばらく待って、人が途切れた瞬間にパチリ。
しばらく眺めていると「南瓜と一緒に写真を撮る人」を観察している自分に気付きました。
色んな人がいるから、面白くて。
- 南瓜の前で、普通に立つ(たまにピース)
- 全身を使って、ガッツリ南瓜に抱きつく
- 南瓜の後ろに回って、ひょっこり覗く
- あえて後ろ姿で南瓜と並ぶ
- 南瓜の前に寝転ぶ・体育座り
- 南瓜の前で、自撮り棒を使ってお友達と撮影
- 子供にポーズ指導しながら撮影するお父さん
- 近くにいる人に、シャッター係を頼むカップル
宮浦港に設置された赤い南瓜と同じく、いつだって、黄色い南瓜も大人気なのでした。

※参考:フェリーから撮った、宮浦港の赤南瓜。
先ほどのつつじ荘から、無料シャトルバスに乗り込んで、地中美術館に移動します。
地中美術館も、事前予約してるの。
会期中は、自分が入館したい時間のチケットが完売していることも。
みんな、同じフェリーやバスで移動してるから、希望入館時刻が重なっちゃうんだよね。
「時の回廊」といい、予約に出遅れた前回の私は、入館を諦めるしかなかったのですね。
そんな訳で、今回は会期外を狙ったところ、余裕でした。
地中美術館

シャトルバスの終点が、地中美術館。
ここが、入館手続きをするチケットセンターです。

ベネッセの無料シャトルバスは、こんな感じ。
人が多い時期は、やはり積み残しが出ます。

チケットセンターから、ゆるい坂道が続きます。
美術館までのアプローチには、色とりどりのお花が。

館内に展示されているクロード・モネの庭を再現した「地中の庭」です。
季節によって、様々に変化するカラフルな花々。
けれど、ちょうど今は6月‥モネの庭といえば、やっぱ睡蓮でしょ!
うふふ、モネの庭、睡蓮が咲いてるぞ!
これが密かに楽しみだったのです。
睡蓮、睡蓮!

お池が見えてきました。

‥あれっ?咲いてない?
他のところは?

おや〜?ザンネン。

睡蓮にはフラれてしまいましたが、

イキイキした花々に癒されたのでした。

ここが、地中美術館の入口。

振り向くと、海・島、その後ろに瀬戸大橋が見えます。
この美術館は、建物が見えません。
島の景観を壊さないために、地中に埋められた美術館なので、

「地中美術館」。

館内の作品は、撮影禁止です。

「ここまでなら、撮ってもいいよ」というエリアまで、各自、写真撮影。
私は2度目になる地中美術館。
カフェにも入って、ゆっくり満喫しました。
この美術館の作品は、どれも好きなのですが、季節的に「睡蓮」が良かったかも。
帰り、チケットセンターに向かう途中に、猫と遭遇。

鈴と名札をつけてたから、美術館のスタッフさんかな?
気になったので、ググってみると、あっ!
#猫の日 🐾🐾🐾
— ベネッセアートサイト直島 (@benesse_artsite) February 22, 2023
こちらは地中美術館に出没するリリィさんです🐈
チケットセンターで皆様にいつも可愛がられ、あまりにも人懐こいので驚かれる方も…。#地中美術館
📷近藤拓海 pic.twitter.com/3xLS3LCCrV
リリィさん、ってゆーんだね。

リリィさんは、国内外の来館者にモテモテでしたよ。
地中美術館から、再びシャトルバスに乗り込み、つつじ荘へ。
全ては、宇野港に帰るフェリーの時間に合わせて、スケジュールを組んでいます。
宮浦港を16時35分に出港するフェリーに乗るよ。
宮浦港から宇野港へ
フェリーは、陸の乗り物と違って上下船に時間がかかるので、少し早めに港まで戻る必要があります。
なので、時間に余裕を持って計画を立てているため、

このように、のんびり景色を眺める時間も生まれるのでした。

島内バスで、宮浦港に戻ってきました。

この宮浦港に私が降り立ったのは、5時間ほど前。
あっという間だったな。

宇野港に着いたら、常宿「UNO HOTEL」に向かいます。

ひとり旅では、いつも食事なしのプランですが、ここは食事も美味しいです。

チェックイン後、瀬戸内温泉「たまの湯」へ。
アート巡り後のお風呂とご飯も、瀬戸芸旅の楽しみなのでした。
2日目:宇野港周辺・直島新美術館へ
宇野港周辺
2日目の朝は、フェリーで直島に渡る前に、宇野港をお散歩します。
本州・岡山と四国・香川をつなぐ瀬戸大橋が架かる前、ここ宇野の駅と港は、とても重要な交通の要衝でした。
24時間眠らない町だったんだって。
岡山・宇野と香川・高松を結んでいたのが、宇高連絡船。
列車(客車・貨車)を直接、線路から船に乗せていたのです。
かつて北海道から本州に石炭を運んでいた、青函連絡船もそうなのですが、
線路を走ってきた列車の車両を、そのまま港に係留した船の中まで走らせて直接積み込む、ってスゴくないですか⁉︎
私、初めて聞いた時、めっちゃ驚いたの。
そんな宇野港も、今ではとても静か。
各島への玄関口として、私のようなアート鑑賞目的の旅人が訪れる地に。

今日も、昔と変わらない島の風景が広がっています。

さて、宇野港周辺には、瀬戸芸参加作品がいくつか設置されているのですが‥

私は今回「宇高連絡船遺構」がとても気になっています。
いつも通り過ぎて、ちゃんと見たことなかったからな。

宇高連絡船時代の名残りが、プ・ジヒョン氏の作品の近くにあるようです。

‥あっ、アレかな?

うん、間違いない。

新しく整備された宇野港で、ここだけ時間が止まってる。

先日見た「軍艦島」の写真展の風景に共通した佇まい。

海側に回ると、パネルがありました。
日で色褪せて、劣化具合がハンパない。
1910年~1988年までの間、ここ宇野港では宇高鉄道連絡船が運航されていました。この遺構はその当時、宇高連絡船の係留箇所として使用されていた施設です。
経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定されており、宇高連絡船愛好會によって残された、当時の姿を残す唯一の遺構です。
■出典:パネル「宇高連絡船の遺構」より
瀬戸大橋が開通した、1988年まで現役だったんだね。
私、宇高連絡船が運行していた頃の宇野に来てみたかったです。

さて、朝の散歩を続けましょう。
昼間と違って、ほとんど人がいません。

この位置から見える島の名前のパネル。
‥島と島の切れ目がわからない私。

おや、いつの間にかこんなのができてる。
撮影スポットかな?

瀬戸芸2025の新作、発見!
会期外だけに、スタンプは片付けられていました。
あのね、会期中だったら、各作品ごとに、作品鑑賞パスポートに押せるスタンプが置いてあるの。

作品名・金氏徹平氏「tower(UNO)」。

小沢敦志氏「舟底の記憶」は、瀬戸芸2013から出品されているそう。

朝日に照らし出された、黒いカタマリの重量感。

そして宇野といえば、淀川テクニック「宇野のチヌ・宇野のコチヌ」。

こまめにメンテが行われ続けている作品です。

あっ!
あの有名な警部さんも、チヌに取り込まれてた!
野外展示が多い瀬戸芸。
特にこの宇野港周辺の作品は、ずっと潮風と直射日光にさらされています。
瀬戸芸を支えているのは「こえび隊」という、国内外から集まったボランティアスタッフさん。
「こえび隊」や、瀬戸芸の歴史についての本、先日読んだらとても興味深かったので、ご興味のある人は是非。

「宇野のチヌ」の後ろには「宇野のコチヌ」がいます。
コチヌの中には、小さな滑り台が。

コチヌのしっぽは、傘。

親子で静かに海を見つめる姿に、ジーンとしました。

さて、そろそろフェリーの出港時刻。
フェリーのりばで、昨日と同じ往復きっぷを買わなくちゃ。
直島新美術館
宮浦港から、島内バスで「桃山」まで来ました。
ベネッセアートサイト直島で、10番目の安藤建築になる、新しい美術館を目指します。
この直島新美術館、瀬戸芸の作品鑑賞パスポートを持っている人は、会期中に1回だけ無料で入館できます。
会期外の今、パスポートを持っている私が、
入館料を払ってでも訪れたかったのが、この美術館でした。
どーしても、人が少ない中で、じっくり鑑賞したい作品があるの。

下車するバス停は「桃山」。
これは道路を渡った反対側のバス停で、ここから少し歩きます。

徒歩10分かあ。
途中、ガイド役の人が立っていて、案内してくれました。

直島新美術館は、今年5月にオープンしたばかり。

‥ふむ、長い階段があるとは聞いていたが。

えっほ、えっほ。
スロープもエレベーターもないんだって。

階段を登り切ったら、更に坂が続きます。

美術館入口、めっちゃ大きな自動扉。
館内は、撮影禁止エリア以外は撮影OK、ネットへのアップもOK。
ちなみに自動扉を入って、受付までの壁に展示された写真作品は撮影禁止です。
それが小さく写ってしまった上の写真には、念のため、ぼかし加工をしました。

開館記念展示は「原点から未来へ」。
1階、最初の展示室・ギャラリー1から入ってみましょう。

わっ! 広っ!

パナパン・ヨドマニー氏の「アフターマス」は、巨大な壁画・彫刻インスタレーション。

タイの伝統的な仏教美術やデザインを使って、時間・喪失・荒廃、そして終焉に対する危機感への問いを提示しているそう。

好みのゾウさん、いた!
もう、細部までガン見してしまうあたり「この一作だけで美術館」レベル。

‥終焉かあ。

のっけから、全然頭が追いつきません。
すごい情報量。

だって、反対側の壁もコレだもの。

突き当たりの壁から、カフェが見えました。
後で立ち寄ろ〜っと。
続いて、地下1階へ。
ソ・ドホ氏の代表作「Hub」シリーズが待っていました。

作家自身が暮らしてきた、家の玄関や廊下などを、布で再現した作品です。

中に入れるので、出たり入ったりしながら鑑賞。

きっと、羽のように軽い電話。
もちろん、触っちゃダメ。

作家のインタビュー映像によると、今回は、直島の民家の廊下部分を新たに加えたそう。

見て!
この建具や鍵の再現率の高さ!
なんですかね、もう。
地下1階は、このお部屋だけでした。
そうそう、私のように、エレベーターを使って上下階を移動する人は、ご注意。
この展示室は、中が見えない自動扉の中にあります。
階段を昇降する人には、展示室ドアへの矢印の看板があるのですが、エレベーターから降りたら、自動扉が閉まっているので、
あ、この階には、展示室がないのね。
と、通り過ぎてしまう可能性が。
‥ええ、私、通り過ぎました。
申し訳ありません、エレベーターで来られた方には、少しわかりにくいですよね。
こちらの美術館、どのスタッフさんも、とても親切で助かりました。
続いて地下2階へ。

村上隆氏「洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip」です。

17世紀に描かれた国宝・岩佐⼜兵衛筆「洛中洛外図屛⾵・⾈⽊本」を参照した、13mの大作。

京都の名所や、市井の暮らしを俯瞰で描いた屏風絵ですが‥ザ・村上隆!

反対側の壁には、この作品をより詳しく知るための解説動画や、資料が展示されていました。

この美術館、丁寧に見てたら丸一日かかるぞ。
お隣の展示室に設置された、撮影不可の作品を鑑賞して、次のギャラリへ。

眩しく輝くコンテナは、Chim↑Pom from Smappa! Groupの「スウィート・ボックス(輸送中の道)」。

来館者は、順番に中に入れます。
前に入った人が出てくると、スタッフさんが案内してくれました。

東京の各時代の廃材などが、地層のように積み重なっているこの作品。
テーマは「東京のスクラップ&ビルド」。
‥ん?ここは地下で、ハシゴを登ると地上ですか?

わああ、マンホールの上に出た。
そして最後にご紹介するのは、
「私はこの作品を見るために、会期外に直島まで来た!」
というインスタレーションです。

蔡國強氏「ヘッド・オン」‥
ここから、めっちゃ本作品の写真を貼ります。
ネタバレしたくない人は、どうかスクロールしまくって、次の章に進んでください。
もう、スゴくないですかーー⁉︎

私はこの狼たちをじっくり見るために、わざわざ瀬戸芸の会期外に直島まで来たのであります!
— neo⚙️📗「うちにはアザラシがいます」 (@neosoft9) June 6, 2025
…想像以上でした🐺 pic.twitter.com/4xqmMQYHjG
2006年、ベルリン・グッゲンハイムでの個展のために制作された本作は、99体の精巧な狼の群れが全力で走り、ためらうことなくガラスの壁にぶつかる大型のインスタレーションである。ベルリンの壁と同じ高さのガラス壁は人と人、異なる集団の間に存在する、見えないが確かにあるイデオロギーや文化の隔たりを象徴している。(中略)狼たちがまるで巨大な渦に巻き込まれているかのように円を成して走る様子は、活力に満ちていて力強く、その行動を貫く強い決意を感じさせる。■出典:直島新美術館・作品解説パンフより

少し下がってみると、こんな感じ。

狼1体1体の顔がね、めっちゃイイんですよ。

わ〜!
私も、一緒に走る〜っ!

やがて彼らは、地上を蹴り、

一斉に宙を駆けて、

とても力強い列をなします。

1体1体の狼は、透明な糸で吊り下げられているので、エアコンの風で微妙に揺れているのが不思議。

それにしても、自分の頭上を、狼の群れが通過するなんて、信じられます?

ご参考までに、この作品のサイズ感がわかる1枚を。

狼たちは、次々と透明な壁に激突していきます。

ベルリンの壁と同じ高さの、透明な壁。

衝突した狼の体は垂直に落下、積み重なる狼たち。

壁の裏側に回ると、狼たちの表情に目が釘付けになりました。

無音の館内、静止した狼たちですが、

1体1体の声が聞こえる。
真ん中の子は「キャウン!」

この子は「クソッ!」

壁に激突する瞬間、仲間と目が合ったように見えたのが、この2体でした。

上の子は、激突の直前で、

下の子は、激突の直後。

‥私、この作品、この後が更に素晴らしいと思ったんです。

落下しても「ぐぬぬ!」って、立ち上がる。

少し離れた位置から、悔しそうに壁を見つめるのは、さっき起き上がったばかりの狼。
私には「俺たちの敗因は、何だったんだ⁉︎」と、考えているように見えました。

そして、ゆっくり列の最後尾に向かい始め、

再び、あの勇敢な列に加わる。

うおおおお!

うおおおお!

俺たちは!
諦めないッ!
‥「ヘッド・オン」を、妄想全開でお届けしました。
‥私、狼たちの周りを何周したことか。
この展示室、もし会期中だったら、人がいっぱいだったと思います。
ある別作品の前にいらっしゃったスタッフさんが、声をかけてくださいました。
‥あの‥蔡國強さんが、お好きなんですか?
「ヘッド・オン」を、長くご鑑賞なさっていたので‥。
わああ、バレてるっ!(^▽^;)
‥誰ですかね、写真を100枚近く撮ってたヤツは。
えへへ、そうです。
「ヘッド・オン」をじっくり見たくて、会期外を狙って来ました。
そうだったんですね〜。
だったら、横浜の美術館の方にも行かれたのですか?
いいえ、横浜には見に行けなくて。
この作品、大掛かりなので巡回するとは思えなくて、諦めていたんですよ。
そう!
2015年、横浜美術館で見逃したこの作品が、直島新美術館で見れると知って、私は歓喜したのです。
ちなみに、後で調べたところ、横浜美術館では「壁撞き(かべつき)」という作品名だったようですね。
直島は、通年人気の高い「アートの島」。
先日オープンしたこの美術館で、ますますその名を轟かせそうです。
瀬戸芸会期中は、たくさんの人が来られると思います。
今だと、日に300人くらいですが、春会期には1000人くらいみえられて。
ひえ〜!
その来館者数じゃ、とてもゆっくり見て回れない気が。
私が訪れた日は、平日でしかも開館直後だったから、人が少なかった。
それでも、狼の群れにテンションが上がって同行者とはしゃぐ人・色んな狼との自撮りに忙しい人・お子様連れファミリーなどもいらっしゃってた。
なので、作品をじっくり見れるかは、運もあると思います。
‥うう、私、作品にコミットする集中力、よわよわだから。
我ながらいつも情けないんですが、来館者が多いと、絶対「狼たちの声」が聞こえない自信があります。
どんな環境でも、作品に1対1で対面できちゃう集中力がほしい。

さて、お昼になったので、カフェでランチを。

めっちゃいい席、確保!
「アート作品見て、絶景見ながらご飯」は、大人の贅沢ですよね。

カフェの壁にも作品が。
N・S・ハルシャ氏の、恐らくこれは「調理」。

冷たいドリンク「せとぽん」は、瀬戸内の柑橘を使った、自家製フルーツシロップジュース。

限定30食の「瀬戸内プレート」は、瀬戸内の味を一皿で感じられるプレートでした。
美味しかった!
会期中だったら、すぐソールドアウトになりそう。

「2〜3年で、森の中にある美術館になる」という直島新美術館。
カフェの周りに植えられた「森の元」が育つのも楽しみです。
さあ、お腹もいっぱいになったし、そろそろバス停に向かいますか。

年間パスポートを持って、

秋会期に、また来よう。

その頃には、階段の登り降りが、もっと平気になっていますように。
宮浦港周辺・大竹伸朗「I♡湯(アイラヴユ)」
島内バスで、いったん宮浦港まで帰ってきました。

あっ!
今なら「直島パビリオン」が貸切りだ!

この作品は、見る角度で形が変わるのです。

中にも入れるんですよ。
インスタ映えするので、人気の撮影スポットでもあります。

遠くに、赤カボチャ。

宮浦港周辺には、アート作品が点在していて、この青い作品もそうです。

実は私、13時になるのを待っているのであります。

なぜなら、実際に入浴できる美術施設「I♡湯(アイラヴユ)」が、13時オープンだから。

何度も外から見てるのに、まだお風呂には入ったことがなくて。

13時少し前に到着したら、すでに待ち人がチラホラ。

この銭湯は、大竹伸朗氏の作品。
奇抜なデザインの建物を鑑賞したり、

可愛い金魚を愛でていると、開館しました。
銭湯なので、もちろん館内は撮影禁止。
脱衣室も浴室も、本当に素晴らしい大竹ワールドでした!
ここの浴室にはね、でっかいゾウがいるんですよ!
そんで脱衣所のトイレには、クラゲが。
怪しい音楽が流れ、浴槽の底の春画や、セクシーなピンナップがお湯にゆらめいています。
とても明るく、清潔感あふれるこの銭湯は、島民の方々も御用達。
「観光客と島民の交流の場として、愛されることを目指している」そうです。
この時は、私ひとりの貸切り風呂。
島の人とのんびりお話する時間、すごく貴重なので、またいつか。
暑さでちょっと汗ばんでいたので、本当は頭の先から足の先までガッツリ洗いたい。
けれど、今から私はフェリーと在来線と新幹線に乗って、家まで帰らなきゃいけません。
何しろ13時55分発の船に乗らなきゃだから、そう時間がない。
ジャブジャブ顔を洗って眉毛を落とす訳にはいかないのです。
眉毛がないと、犬みたいな顔の私。
いつも思うけど、こういう時、男性はいいなあ。
私も、銭湯で丸洗いしたい。
ボディソープで体を洗い、肩までお風呂に浸かっただけで、かなりサッパリ。
今後は直島旅のスケジュールに、可能な限りここを組み込みたいと思いました。
ちなみにこの銭湯、タオルのレンタルはなくて、購入のみ。
私はマイ・タオルを持っていたので、それを使いました。
売っている「温泉タオル」は、アートグッズ的なオシャレデザインなので、記念に購入するのもオススメですよ。

今まで中に入ったことがなかったのを後悔した「アイラヴユ」、また来るね!
宮浦港からすぐなので、立ち寄りやすいと思います。
宮浦港から宇野港へ
今から乗る13時55分発の船は小型船なので、フェリー乗り場から少し離れています。
念のため、車を誘導していた港のスタッフさん(高齢男性)に確認したら、
宇野行きの乗り場は、あっちじゃ。13時55分な!
と教えてくださいました。

「あっち」に進みます。

これが桟橋。
以前も、ここから小型船に乗り込みました。

わあ、少し早く来たから、誰もいない。

日陰に座ってリュックを下ろし、持ってたビスケットをショリショリ。
出航時間が近づくと、人が集まってきました。

あ、小型船来た!
定員80名・船名は「アート・バード」だって。

お風呂上がりで暑いので、船室に入らず外に座ります。
島の人と、外人さんと、私で満席。

対岸の宮浦港には、フェリーが。

小型船は海面が近く、フェリーより揺れます。
強風で、波しぶきも飛んでくる。

宇野港着は14時10分。
今日も、5時間の直島タイムを過ごしました。

‥JR宇野駅からお家までが、ちょっと遠いんだけどね。
2日間のひとり旅は、今回も大満足。
数々のアート作品と、島の風景にすっかり癒されました。
直島、元気がある人は、もっと長時間活動できると思いますし、他にも魅力的なスポットがいっぱいある島です。
瀬戸芸ファンの私ですが「人が少ない会期外」も、大好きなのでした。
今回も、長いレポにお付き合いくださり、ありがとうございました。
それでは、また!
