こんにちは、瀬戸芸ファンのneoです。
この記事は、瀬戸内国際芸術祭2025・春会期に、直島・豊島・宇野港周辺を訪れたレポです。
直島へは、宇野港から宮浦港に入りバス移動、ベネッセハウス周辺を巡っています。
豊島へは、宇野港から家浦港に入りバス移動、唐櫃エリアを訪れました。
瀬戸内国際芸術祭、略して「瀬戸芸」は、香川県・岡山県で瀬戸内海の島々を舞台に開催される現代アートの祭典です。

それぞれの季節ごとに瀬戸内の魅力が体験できる瀬戸芸は、春・夏・秋の3シーズンに分かれています。
【瀬戸芸2025・各会期の開催期間】
・春会期:4月18日(金)〜5月25日(日)
・夏会期:8月1日(金)〜8月31日(日)
・秋会期:10月3日(金)〜11月9日(日)
今年は、3年ごとに開催される瀬戸芸の開催年。
すっかり瀬戸芸に魅せられた私は、前回の瀬戸芸2022で全てのエリアを巡りました。

瀬戸芸2025がスタートした4月、私が最初に訪れたのは、瀬戸大橋エリアです。

新たに追加されたばかりの会場、楽しかった〜!
今回は、2回目となる瀬戸芸2025の旅。
宇野港近くのホテルを拠点にして訪れたのは、
- 1日目:直島(ベネッセハウス周辺)
- 2日目:豊島(唐櫃岡集会所前周辺)・宇野港周辺
でした。
直島と豊島は「アートの島」として有名なので、ご存知の方も多いと思われます。
どちらの島も回れたのは一部のエリアですが、色んなアートに巡り会えましたよ。

一緒に島旅をするつもりで、のんびりお付き合いくださいね。
それでは、早速!
1日目:宇野港から直島・ベネッセハウス周辺へ
宇野港を出発、宮浦港へ
大雨で街が白く霞む中、早朝にJR岡山駅へ出発しました。
家から最寄り駅まで歩いただけで、既に服も鞄も濡れちゃった。
移動中に雨は止み、JR岡山駅から在来線に乗り換え。
1時間弱で、JR宇野駅に到着です。

この駅舎も、瀬戸芸参加作品の1つ。
エステル・ストッカー氏の作品です。

駅から徒歩数分の場所にあるのが、宇野港。
直島行きフェリーに乗船します。

うわ、広っ!
瀬戸芸で乗る船は、大きなフェリーだったり、小さな高速艇だったり。

宇野港は岡山県、今から向かう直島は香川県になります。
青空がのぞき始めました。
ベネッセハウス周辺
はい、直島に到着しました。
今回は宮浦港から、ベネッセハウス周辺を目指します。


草間彌生「赤かぼちゃ」がお出迎え。

島内バスに乗車。
宮浦港周辺の野外アートは、車窓から鑑賞できます。

バス停「ベネッセハウスミュージアム下」で下車。
坂を登ると現れるのが‥

ベネッセハウス ミュージアムです。
この美術館には、ホテルも併設されており、以前泊まりました。

お外に展示してある写真作品は、杉本博司「タイム・エクスポーズド」
世界各地の海の水平線を、同じ手法で撮影した作品群です。
この作品ね、後で驚きの再登場をします。
お楽しみに。

広い館内には、国内外のアーティストによる様々な作品が。

ブルース・ナウマン「100生きて死ね」
ランダムにネオンが点灯・消灯中。

次にどれが光るのか、何色で光るのか‥。

じっと眺めていると、こんな風に「◯◯ AND LIVE」の全てが点灯する瞬間も。
「◯◯ AND DIE」 の並びも、めっちゃ好き。

ミュージアムカフェでお昼を食べて、次の会場に移動です。
ベネッセ アートサイトには、建築家・安藤忠雄氏の建築物が数多くあります。
あちこちに立つ施設が醸し出すシックな統一感も、非日常を感じさせてくれるのでした。
ヴァレーギャラリー

午後は、自然・アート・建築の融合を体感できる「ヴァレーギャラリー」から。

バス停から、敷地内の小道を進むと‥

ん?
‥んんん?

銀の玉は、水面に浮いてゆ〜っくり動いています。

ひゃあ!
陸の上に団体さん!

そして、祠(ほこら)をイメージした建物の中にも。
草間彌生「ナルシスの庭」
銀の玉(ミラーボール)に、自然の風景や自分が写り込みます。

銀の玉に触りたくなりますが、作品なので、もちろんお触り禁止。
‥1つ1つ計算し尽くされた配置なのです。
反復する球の集積が周囲の自然や鑑賞者の姿を映し出し、私たち一人一人がひとつの生命体として自然と一体化し、無限に拡がっていくような感覚を味わいます。
■出典:VALLEY GALLERYパンフレット

池のそばには、小沢剛「スラグブッダ88」が並んでいました。

この作品は、豊島の産業廃棄物処理後のスラグで作られた88体の仏。
豊島の産業廃棄物不法投棄は、史上最大の事件と言われています。
「直島八十八箇所巡り」という島の江戸時代の歴史と、豊島の負の歴史を閉じ込めたアートだそう。

1体1体、色も形も違う。
どれも、パッと見のインパクトが大きい現代アート作品。
特に瀬戸芸では、自然の景観に溶け込む展示に目を奪われます。
そう、実は、現地を歩いてる時は「‥これ、なんだろ?」がほとんど。
もちろん、謎のまま作品鑑賞を終了してもいいと思います。
けれど、それはかなりもったいない。

私は後でパンフを読んだり、気になった作品を調べずにはいられません。
制作過程・作品に込められた想い・アーティストさんの熱いコメント。
それらを知ることで、改めて作品の魅力や偉大さに気付かされるのですね。
「そうだったのか!」って、私の想像を軽く超えた世界に唸ってしまう。
そして、作品を通して自分が生きている世界や、自分の内面を振り返る。
‥瀬戸芸、現地で作品を見ただけでは気付けない感動の、なんと多いことか。
そんな訳で、何度だって訪れたくなってしまいます。
現代アートの奥深さ、病みつきになりますよ。
さて、私はバスで移動しましたが、このエリアには大人気の「地中美術館」をはじめ、野外展示も数多くあります。
地中美術館は行ったことがあるので、今回は見送りました。
時間と体力さえあれば、
徒歩で全てを見て回りたいエリアなのでした。

■出典:ベネッセアートサイト直島
李禹煥美術館

やってきました!
李禹煥(リ・ウーファン)美術館。
ここは「関係性」に向き合う場所。
ちなみに館内は全て撮影禁止なので、この記事に掲載しているのは野外作品のみです。

作品名「関係項 ー 休息または巨人の杖」
巨人の杖‥かあ。

そして「無限門」
遠くから見てもかなり巨大、近づくと更に巨大で圧倒されます。

「無限門」の先には海が広がり、浜辺に続く道が。

わ〜、波打ち際に出た!
広々とした開放感と、波の音がたまりません。

‥写真中央、崖の白い四角が見えますか?

カメラZoom!
ベネッセハウスミュージアムに展示してあった、水平線の写真です。

はい、この「海景」シリーズですね。
杉本には「太陽光や風雨にさらされて写真がどのように色あせていくか、時間の経過が写真にどのように取り込まれるか見てみたい」という意図もありました。
一般的に写真は劣化防止の観点から直射日光を避けて展示しますが、ここではあえて屋外の環境が必要とされたのです。
当初は展覧会期のみ展示する予定でしたが、会期後も展示を継続することが決まり、作品の経年変化を観察することになりました。

影ひとつない、芝生の広場。
眩しさに目を細めて「無限門」を抜け、建物内の展示を鑑賞しました。
日本各地の色んな美術館で、李禹煥氏の作品に出会えます。
けれどここに来ると、特別な体験ができちゃう。
この後、フェリーの時間まで、宮浦港周辺のアートを少し見て歩くことに。

直島銭湯「I♡湯(アイラブユ)」は、実際に入浴できる美術施設。
大竹伸朗氏の作品です。

浴槽・風呂絵・モザイク画‥写真で見ると、中はかなりスゴいお風呂。
‥1回、入ってみたいんだけどな。
作品鑑賞のみの入館は不可、お風呂に入るのが条件なの。
お次の作品は「瀬戸内『 』資料館/宮浦ギャラリー六区」

かつて島の娯楽施設だった、旧パチンコ屋・焼肉屋さんが、展示収蔵室と研究室に。

作品名の「 」が気になりますね。
こちらの資料館は、瀬戸内の小さな島々のアーカイブでした。
情報量が凄いので、じっくり時間をかけて過ごしたい施設かも。

船の時間まで、更に周辺を歩きます。
‥暑い。
朝の大雨で濡れた傘を、鞄から取り出して日傘にしたら、カラカラに乾きました。

直島小学校。
小学校も、アートの島っぽさ全開ですね。

フェリーで、宇野港に帰ります。
赤かぼちゃ、相変わらず賑わってるな。
直島、また来るね!バイバイ。
作品と向き合うたびに心を揺さぶられるアート巡りは、数時間で心も体もいっぱいいっぱいに。
今日訪れたコースは、施設展示もありましたが、野外作品も多数。
普段、日光に当たらない生活をしている私は、数時間でグッタリでした。
宿泊は、UNO HOTEL
今回は、夫婦旅。
夫は「アートはよくわからないけど、島旅は楽しそう」という人です。
え〜っと、neoに連れて来られました。

泊まったのは、JR宇野駅のお隣、UNO HOTELです。
このホテルは‥

食事付きのプランで泊まると、朝食がスゴいんですよね〜。

エックベネディクトとかね、普段の朝食で絶対食べないから(笑)
UNO HOTELには、デラックスなお部屋から、ひとり旅で気兼ねなく泊まれるセパレートルーム(半個室キャビンタイプ)まであります。
立地も良いので、超オススメですよ。
近くの温泉施設「たまの湯」が利用できるのも嬉しい。
瀬戸芸のたび、すっかりリピーターになっちゃった。
2日目:宇野港から豊島・唐櫃エリアへ
宇野港を出発、家浦港へ

2日目の朝は、宇野港から豊島行きの高速艇に乗ります。
‥え〜?既にスゴい列なんですけど、私たち、乗れる?

‥こういう紙チケット、懐かしくないですか?
瀬戸芸では、交通系ICカードで乗れない乗り物率が高いです。

高速艇はコンパクト。
行列に並んだ全員が乗船できました。

ちなみに船内は、こんな感じ。
白人さん多し。

25分間の乗船で、豊島・家浦港に到着です。

島民の皆さんと一緒に下船。
瀬戸芸期間中は、静かな島に多くの人が詰めかけちゃって、すみません。
港のバス停も、レンタサイクル受付も長蛇の列‥こりゃ混むな。
急遽、行動ルートを変更することにしました。
帰りに立ち寄る予定だった「豊島横尾館」。
家浦港から徒歩で行けるこの施設から、回ることにしましょう。

■出典:ベネッセアートサイト直島

島内は、のどかな風景が横長に広がっています。
今日も暑くなりそう。

左手には、オリーブ畑。

はい、着いた!
‥って、開館は10時から⁉︎
そうだった。
‥だから私、ここへは帰りに立ち寄るスケジュールを組んだんだった。
あああ、限られた時間と体力をムダにしてしまった!

下を向いてトボトボ引き返していると‥
あれ?
路上で赤いモノが動いた?

カメラ、Zoom!
可愛いカニさんが笑っていました。
ヨシ!
気を取り直して、島内バスで次のエリアに移動しましょう。
家浦港のバス停に並びます。
バス停「唐櫃岡集会所前」周辺

バス、一番前の席に座れたー!
運転席からわかる通り、小さなバスです。

バスを下車、青い看板と地図を見ながら、目的の会場を探します。

‥ここだ!
島の古民家が、作品展示の舞台になっていることも多い瀬戸芸。
いつも目印は、青い看板と旗。

中に入ると、廃屋内にアートが。
ジェナ・リー「再び言葉に満ちた部屋」

この家は、1970年まで使われていました。
お隣の部屋には、急須がいっぱい?

これらは、豊島の人々の好意で寄せられた品々だそう。
会場の作品解説ポスターに目を通すと、更に色んなことがわかります。
ふたつめの部屋「水」Gara-Wa※
この部屋では水がテーマになっています。本のページはパルプに分解され、床に広がる穏やかな波紋に生まれ変わりました。この過程で水が使われ、紙を柔らかくし、形を変え、小川のように動き、流れを作ります。
この部屋にある急須は、豊島の人々の好意で寄せられたものです。
枯れることのない唐櫃の清水で一緒に洗いました。その日、私たちは清水で思い出を語り合い、時の流れや分かち合う優しさについて考えました。このインスタレーションは、その思い出と、これらの物がひとつになるための心のこもった行為を表しています。
※ララキア語(オーストラリア諸語のひとつ)で「清水」の意味
■出典:会場の作品解説ポスターより
「この家から人がいなくなってから55年。2025年に作品の展示会場となって再び人を迎えることとなります」

‥そっか。
55年前まで、この電球にも温かい光が灯っていたんだね。

今はボロボロの障子だって、当時は白くて破れてなかった。

白人さんたちの目に、この古民家はどのように映ったのでしょうか?
ささやきの森
さて、お次は、私が最も楽しみにしていた作品を目指します。
瀬戸芸2022では時間がなくて、断念したの。
何しろ、他の作品群と違って、人里離れた山の中に設置されているのです。
「ささやきの森」は、クリスチャン・ボルタンスキー氏の作品。
ボルタンスキーさんによると、遠く離れた地を目指す行程も、じっくりアートと向かい合うための大切な準備なのだそう。
彼は、世界中の人の心臓の音を集めた美術館「心臓音のアーカイブ」のアーティストさんです。
「心臓音のアーカイブ」とても良かった。

看板で見ると「この角を曲がったら、森があるよ」みたいに見えますが「1050m・徒歩18分」!
まあ、私の足じゃ、その倍の時間がかかるからね。
瀬戸芸スタッフさんに道を確認した時も、
かなりキツい登り坂ですよ。
お水を飲みながら、ゆっくり行ってくださいね
と言われました。
は〜い。(ちょっとドキドキ)
参考までに、もう一度地図を。
「ささやきの森」‥地図の左中央にポツンとあるの、おわかりですか?


集落を後にし、山道に入ります。

わあ、確かに登り坂。
でも、これはまだまだ入口。

‥うん、イノシシ、出るよね。
陽が高くなって、袖をまくり上げても暑い。

‥あ、みかんの木だ。
豊島は、柑橘類の畑も多い島です。

まだまだ続く道。
だんだん山の中に入ってきました。

かれこれ20分以上は歩いています。
もう、鳥の声しか聞こえない。

‥あ!アレかな?

着きました!
「ささやきの森」

看板が、ひとつ。
(※以下に拡大)
ささやきの森
豊島・壇山の中腹にあたる森林の中、無数の風鈴が風に揺れ動き、静かな音を奏でるインスタレーション。
風の短冊には、これまでに訪れた方の大切な人の名前が記されています。風になびく音は魂の神秘性を思わせ、無名の個人を記憶に留め、人間存在の強さや儚さを表現します。
鑑賞者は、新たに自分の大切な人の名前を残すことができます。後日、名前は書かれた文字のまま短冊(プレート)に刻まれ、作品の一部となって風に揺れ動き始めます。
■出典:作品解説パネル

‥木々の間に、無数の風鈴が吊り下がってるの、わかりますか?

ひとつひとつの透明な短冊に、人の名前が刻まれています。
外国の文字(名前)も。
亡くなった人への想いが、人知れず風にそよぐ森。

‥あなたも、誰かさんの「大切な人」だったんですね。

風が吹くと、一斉に爽やかな音が。
シャラララ‥シャラ‥

シャラララ‥シャラン
風が止まると、再び鳥の声に包まれます。

澄んだ空気に満たされた異空間。
たまたま貸切りだったので、作品に包まれる感覚を味わえました。
もし、大騒ぎしてる人がいたら、せっかくの雰囲気が‥。
‥どのくらいこの空間にいたでしょうか?
時間の流れがちょっとわからなくなる、不思議なひととき。
ちなみに、どんな大作を見ても「よーわからん」と言い放つ同行者が、私の隣にいます。
‥ここはね〜、来て良かった。
私が事前に「森の中に風鈴がいっぱいあって、めっちゃすごいんだよ!」なんて力説したところで、この作品の魅力が全く伝わらないのは当然。
そもそも「ささやきの森」は、言葉で説明できない作品です。
自分の足を踏み入れてこそ‥って、正にこんな場所ですよね。
‥私も、ちゃんと来れてよかった。

他の人たちが登って来る姿が見える頃、聖なる森を後にします。

昔、この島に暮らした人が築いた古い石垣を横目に坂を下りていくと‥

ああ、いつもの世界に帰ってきた。
「ささやきの森」‥またいつか。
島キッチン
お昼ごはんは、古民家を改修した飲食店「島キッチン」で。
ここは、瀬戸芸が運営しています。
島のお母さんたちが、豊島周辺でとれた食材を使ったメニューを提供してくれる大人気のお店。

秋会期まで、予約でいっぱいだそう。
けれど当日券があって、無事ゲットできました。

作品鑑賞パスポートに、スタンプをポン!

予約不要のテラス席に腰掛けて、

島野菜を使ったカレーをいただきました。
いっぱい歩いた後、木陰でカレー食べるの、最高。
本当はね、ちょっとお昼寝したい気分でした。

島キッチンの敷地内の蔵にも、アート作品があります。

ピピロッティ・リスト「あなたの最初の色」

完全に遮光された蔵。
2階部分に、カラフルな円形の映像が浮かんでいました。

外に出ると、再び眩しい日差しにクラクラ。

お腹いっぱいになったところで、次の作品へ。
民家エリアを進みます。

あっ、島猫発見!

見事に積まれた石垣に、見入ってしまう。
気が付けば、何枚も写真を撮っていました。

‥鳥居が見えてきましたよ?
あれが、次の目的地。
豊島に湧き出る空海ゆかりの水場「唐櫃の清水」です。
バス停「清水前」周辺
雨が少ない瀬戸内海。
かつては、多くの島が水不足に悩まされてきました。
けれど豊島は、島のあちこちに水が湧くので、稲作ができたそう。
水道が通る以前の水場は、お母さんたちの水仕事と井戸端会議の場でした。

ここが「唐櫃の清水(清水冷泉)」

今でも定期的に清掃が行われ「お大師さんの日」には、地域の人によるお接待が行われるそう。

「唐櫃の清水」は、小高い場所にあります。
水道がなかった頃は、毎日お水を汲みに来ていたんですね。

今でも、お水が湧き出てる。
この隣に設置された野外作品が‥

青木野枝「空の粒子/唐櫃」

円形の鉄の彫刻をつなぎあわせ、貯水タンクを囲んで設置されています。

瀬戸芸公式ガイドの解説では「かつてのコミュニティに、にきわいを取り戻す」作品として紹介されていました。
余談ですが、このブログに載せた写真には、あまり人が写っていないでしょ?
それは‥単にそんな写真を選んでいるだけ。
どのスポットにもアートを見に来た人がいて、たまたま人が途切れた瞬間を狙って撮った写真ばかりです。
人が多すぎて、写真を撮る気になれないスポットもあるよ。

バス停「清水前」で、バスを待ちます。

前日の直島と豊島での数時間で、かなり日焼けしました。
UV対策とかね、どうでもよくなるの。
豊島横尾館
さあ、朝イチで訪れた時、開館前だった「豊島横尾館」へ向かいましょう。
横尾忠則作品の根底に流れる「生と死」。
それを見るだけでなく「体験する」美術館なのだそう。
「清水前」からバスで家浦港まで戻り、そこから歩きました。

朝歩いたオリーブ畑を抜けて、到着。

集落の古民家を改修した外観、独特な雰囲気ですね。
館内は、残念ながら撮影禁止。

そして、見て!
このお庭。

建物の下まで続く池には、鯉が。
建物の床の一部が透明になっていて、足元を鯉たちが泳いでいました。
いつまでも佇んでたい和室だったな〜。

多くの横尾作品が展示された館内から、お外に出ると「横尾式便所」?

普通に使用できるトイレと、観賞用のトイレ。
こちらは「使用可」の方。

こちらが「観賞用」。
‥ん?2つとも同じ作りかな?
「使用可」の方に、人が入ってこられたので、見比べられませんでした。
それにしても、どっちもグニャグニャの銀世界(笑)

気になるこの塔の中には、無数の滝があります。

とにかく、横尾ワールド全開の異空間でした。
は〜!面白かった〜!
針工場
少し歩いて、次の作品へ。
大竹伸朗「針工場」です。
宇和島の造船所に約30年間放置されていた漁船の船体用の木型と旧メリヤス針製造工場をコラージュ。
異質な2つの存在が出会い、新たな磁場を生み出す。■出典:瀬戸内国際芸術祭2025公式ガイドブック

旧メリヤス針製造工場、だから「針工場」かあ。

この針工場の経営者さんの弟で、技工士さんだった方のお話が、パネルに展示されていました。

そして、造船職人さんのお話も。
それぞれのお話を読んだ後、改めて針工場内に設置された、船体用の木型の周りを一周します。

巨大な船型。
一から図面を引いて、職人さん3人がかりで作った木型を「よう壊さなんだ」そう。

「置いとってよかったわな」のコメントが印象的。
おかげで、瀬戸芸作品として展示され、多くの人に見てもらうことになりました。
島を訪れた私たちの前に現れる、巨大な船型。
‥なんか、ありがとうございます。

建物は、昭和63年頃に閉めた針工場。
多い時は46人が働いていたそう。

稼働していた頃の工場‥最盛期はどんなだったのかな?

帰りのフェリーの時間が迫り、家浦港へ。
この島で、時空を超えた色んな感動がありました。

帰りの船は、ちょっと大きめ。

涼しい船内で、ホッと一息。
ポカリを飲んで、しばらくボンヤリします。
瀬戸芸会場を巡る時間、いつだってめっちゃ濃いからね。
しばし脳内のメモリ、解放。
宇野港周辺
JR宇野駅・宇野港周辺には、野外アートが多くあります。
リピーターにとっては、前回までの瀬戸芸ですっかりお馴染み。

小沢敦志「終点の先へ」は、実際にレンタルできる自転車。
帰りの電車の時間までに、瀬戸芸2025で新登場した2作品を見に行くよ。
潮返

1つめは、マフマドマフ氏の作品「潮返」
旧銭湯「港湯」が舞台のアートです。

かつての「港湯」の心地よさへと誘われる作品‥なのだそう。

ちょっとワクワクしますね。
鮮やかな色の暖簾をくぐると‥

うわお!
お風呂だっ!
湯気のように見えますが、ミストなので全然暑くありません。

こっちの浴槽には、お水が張ってある。
立ちこめるミストのせいで、お湯に見えます。

スピーカーから聞こえてくる澄んだ音は「水(湯気)を要素に生み出されるサウンドスケープ」らしいです。

ケロリンの黄色い洗面器じゃなくて、木製の手桶なのがなんとも。

エビの絵が描かれた小皿が、プカプカ浮かんでいました。
かつて色んな人が、ここで汗を流したんだろうな。
港の労働者さんや家族連れ、お年寄りが集う公衆浴場‥なんかしみじみ。
命の塩
作品番号「UN16」‥「命の塩」はね、私、めっちゃ探し回りましたよ。
看板の矢印に沿って歩いても、なかなか見つかりません。
瀬戸芸会場には、インフォメーションがあるので、

JR宇野駅のインフォメーションまで戻って、スタッフさんに場所を尋ねる始末。
‥あ〜、赤い字で「四国フェリー」って書いてある建物の隣です。

「四国フェリー旧高松行きフェリー待合所」‥こちらも現在は使われていない施設でした。
‥こ〜れ〜は、わかんなかったぞ。

暗幕の隙間から、建物内に入ります。
岡山県玉野市で作られている塩を使って描いた、ソルトアートでした。

春会期の作品テーマは「日本神話」
この地は日本神話の「国産み」で9番目に生み出された土地だそう。

作品に使われた塩を、手で触るコーナーもありました。

JR宇野駅から、帰路につきます。
今回の1泊2日で回った作品は、
まだ瀬戸芸作品のホンの一部でしかありません。
全ての作品を鑑賞しようと思うと、とても大変なので、自分が動ける時間内にどう回るかを取捨選択する必要があります。
バスや船の時刻表とにらめっこして、綿密にスケジュールを立てても、天候によって急遽変更する必要が出たり、人が多いと回る順序を帰るのも、瀬戸芸あるある。
今回は、豊島横尾美術館の開館時間が、スッポリ頭から抜けてたのが失敗、失敗。
私は、予定通りに行動できないことも、逆に時間が余って予定外の作品を見れることも楽しんでいます。
前回より作品展示エリアが増え、新作も登場した瀬戸芸2025。
初めての方はもちろん、今までに瀬戸芸を訪れたことがある人も、きっと楽しめると思います。
‥私、瀬戸芸が好きすぎて、本まで書いちゃいました。
私は今後も各会場を回ってレポを書きますので、お楽しみに。
長い記事にお付き合いくださり、ありがとうございました。
それでは、また!
(※前回の瀬戸芸2022のレポは、こちら)


