アザラシロボ・パロオーナーのブログ。
パロやプチクーボと暮らす楽しい日々・時々アートのこと。
瀬戸内国際芸術祭

【瀬戸内国際芸術祭2022】高松泊で女木島・男木島・大島へ(前編)

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

この記事は、瀬戸内国際芸術祭2022・秋会期に、女木島・男木島・大島を巡ったレポの前編(女木島・男木島編)です。

1日目に女木島・男木島を訪れ、2日目に大島を訪れました。

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こんにちは。瀬戸芸の春会期+秋会期で、全開催地を回ったneoです。

瀬戸芸

瀬戸内海の島々を舞台に開催される、現代アートの祭典・瀬戸芸。

普段は、静かな時間が流れる離島にも、国内外から多くの人が訪れる、大規模芸術祭です。

  • 春会期:4月14日〜5月18日
  • 夏会期:8月5日〜9月4日
  • 秋会期:9月29日〜11月6日

今回の1人旅は、秋会期終盤の10月下旬。

1泊2日で、3つの島に行ってきました。

  • 1日目:女木島・男木島
  • 2日目:大島
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アート巡りはもちろん、瀬戸内の絶景も目白押しでやめられない。

女木島・男木島・大島は、香川県の高松港から20〜40分で行ける距離に浮かぶ島。

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船の時刻表とにらめっこして、スケジュールを組むの、楽しい。

1日目の朝、本州側から高松市に入り、夜は高松港付近のホテルに宿泊。

今回は、初めての人でも訪れやすい、コンパクトな島ばかりですよ。

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アート&きれいな景色、ご一緒に楽しんでくださいね!

高松駅〜高松港

海に反射する朝日が眩しい。

JRで瀬戸大橋を渡り、本州側から、四国・香川県を目指しています。

朝9時過ぎ、JR高松駅に到着しました。

今日は快晴、島巡り日和だなあ。

振り返ると、笑顔の高松駅。

「よく来たね〜!」って、歓迎されてるようで、いつも嬉しくなります。

さあ、連絡通路から、高松港に直行しましょう。

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JR高松駅と高松港は、徒歩10分くらいの距離です。

高松港〜女木島

ズンズン歩けば、目の前に海が開けて、

高松港のシンボルが、ドーン!

こちらも瀬戸芸作品。

乗船券を購入、10時に高松港出発です。

乗り込む船は「めおん」。

高松港ー女木島ー男木島を結ぶフェリーで、本日は3回乗船する予定。

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最前列に座れた!1人旅は、ポツンと開いた1席に座れるのがいいところ。

わあ、可愛いキッズもご乗船中。

女木島に遠足かな?

お見送りの親御さんに、手を振っています。

おお!

君達もみんな、瀬戸芸リストバンドをつけてるね!

これは、検温済みの目印でもあるのです。

時間通り出航した「めおん」、青い海原をグングン進みます。

島が近づくと、キッズ達はソワソワ。

嬉しそうに踊りまくる子も。

うんうん、私、大人だから静かに座ってるけどね、心の中は君と一緒だよ。

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め〜ぎじまっ!め〜ぎじまっ!ヘ( ̄▽ ̄ヘ)(ノ ̄▽ ̄)ノ♪

女木島

10時20分、女木島港に入港しました。

広い空に潮風、のっけから嬉しくてたまりません。

ちなみに、女木島はこんな島。

  • 1914年に大洞窟が発見され「その昔、鬼が住んでいた」という伝説のもと、昭和6年に「鬼ヶ島」として公開されて有名に
  • 1年を通して風が吹き、冬は集落に強風が吹きつけるため、家を守るための石垣が海岸に並ぶ
  • 2016年からは、島民も来島者も利用できる、アートなお店が増えた

船の到着時刻に合わせて、女木港から出発するバスで「鬼ヶ島大洞窟」まで、一気に登ります。

鬼ヶ島大洞窟・鷲ヶ峰展望台

山上までは、片道10分の乗車ですが、時間と体力がない人は、バス一択。

切符売り場の男性が、両手の人差し指を頭に当てて、お茶目に鬼のツノを作り「(今から乗るのは)こ〜んな鬼の絵がついとる、バスじゃけえな」。

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は〜い!‥えーっと、鬼の絵のバス‥(・_・ ) ( ・_・)キョロキョロ

あはは、コレだ!

運賃は、往復800円。


券売機が故障し、急遽、窓口で往復切符を発行してくれました。

わ〜、どんどん登ってる。

トレッキング仕様で来島し、徒歩で登る人も。

途中、道の脇に見えた円山古墳からは、刀やハート型の耳飾りなどの副葬品が出土したそう。

女木島には、随分昔から人が住んでいたのですね。

はい、バスから降りたら、大洞窟まで歩きます。

洞窟の中に、瀬戸芸作品「オニノコ瓦プロジェクト2」が待っているのです。

洞窟の入場券売り場から振り返ると、この絶景!

売り場の男性が「洞窟見た後は、なんぼでも写真撮ってあげるけえな」と、笑顔で声をかけてくれたりも。

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島の皆さん、いつも優しく接待してくれて、ありがとうございます。

さあ、ウワサの巨大洞窟の中に、入ってみましょう。

‥天然の洞窟に比べると‥人工物感満載?

この洞窟が人の手で造られたのは、紀元前とも、古墳時代とも言われているそう。

通路の片隅に「オニノコ瓦プロジェクト2へ、ようこそ!」的な瓦発見。

おっと!広い場所に出たぞ!

解説パネルによると、この洞窟は「古代中国の要塞に似せて構築されており、この辺りから中ほどにかけては、防御しやすい構造に、中ほどから出口にかけては、逃げやすい構造になっている」とのこと。

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まだまだ、謎も残されてるんだって。

そして、出ました!

2013年の瀬戸芸から参加しているアート作品、オニノコ瓦!

香川県の美術教諭と伝統工芸士がコラボ、約3000人の中学生が作ったという鬼瓦が、洞窟内とその周辺に、大量に置かれていました。

順路に沿って歩くと、このように、しゃがんで通らなきゃいけない場所も。

‥はい、頭、ぶつけました(+ω+)

ところどころ、昭和テイストな鬼が、スタンバってます。

‥うん、やっぱり鬼がいないと、キッズはつまんないよね。

ちなみに、こちらの鬼さん達は、アート作品ではありません。

観光客(主にキッズ)向け、と思われます。

‥えっ!

‥か、監禁室っ⁉︎

わわわ〜。

やっぱ、鬼の住処だけに、こーゆーのは標準装備?

‥うう、この微妙な表情のお嬢さんは、無事に救出されたのでしょうか?

至る所に、オニノコ瓦、めっちゃ積まれてます。

出口付近には、桃太郎と和解する鬼大将。

2人とも満面の笑みで、仲良しさん。

他の鬼達も、手を振ってのお見送り。

「また来てね〜っ!」

えーっと、桃太郎、こんなお話だったっけ?

出口でも、背中のリュックが引っかかり、またまた頭を打ちました。(←基本的にトロい)

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ふう、やれやれ。うお!外の光、まぶしい!

およ?

「ふり返って‼︎」だって?

洞窟出口上部に、柱状節理(ちゅうじょうせつり)⁉︎

どこどこっ⁉︎

カメラ、Zoom!

わー、ホントだー!

超・柱状節理っ!

柱状節理とは、溶岩やマグマが冷えて固まる時、少し縮んで、5〜6角形の柱状の割れ目ができたもの。

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思いがけず、いいモノ見れた!

360度の絶景を見るべく、洞窟出口から徒歩5分ほどの、鷲ヶ峰展望台に向かいます。

‥うん、当然、上りの坂道が続くよね。

息が切れ、頭もガンガンしてるので、こういう看板の解説を読みつつ、呼吸を整えます。

はー、綺麗な海!

問題は、この超デコボコした足元!

何度も足をくじき、たまにコケて、地面に手をつく始末。

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控えめに言って、ヨレヨレ。

日陰、全くナシ。

どんどん気温が上がり、分厚いパーカーを脱ぎました。

あれが、目指す展望台。

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またまた階段、もうひと頑張り。

よいせ、よいせ。

も〜、あのデコボコ道には、やられた!

帰りは、気をつけて歩かなきゃ。

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到着〜っ!わ〜、すごーい!

あっ、こないだ行った屋島が見える。

確かに、屋島から女木島が見えたもの。

カメラ、Zoom!

手前の台形の山が、屋島です。

ちなみに、女木島と屋島は、こんな位置関係。

(※参考写真:屋島側から見た女木島)

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女木島の展望台から、屋島の展望台に立ってる、2週間前の自分に手を振りたくなった。

割と近くに見える、高松市街地。

小さな山々は、かつて島だったのでしょう。

再びカメラ、Zoom!

さっき出発した、高松港だ。

右側の対岸は、岡山県かあ。

朝、JRで渡ってきた瀬戸大橋が、遠くに霞んで見えました。

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本州と四国を結ぶ、美しい巨大建造物も、ここから眺めると格別。

さ、バス停まで下りますか。

海の手前に、女木島の集落が見えます。

もっとのんびりしたい気もするけど、バスに乗り遅れたら、この後の予定が全て狂うから。

鮮やかなキノコ発見!

多分、食べちゃダメなやつ。

左側の古そうな石垣、いつ頃、積まれたものでしょうか?

バスに乗り込む前に、トイレに行くと‥

か、金棒が立ててある!

えっと、今、トイレに鬼さんが?

‥ガッチリ固定してあったので、普段から設置してあるようです。

山上にひっそり建つトイレに金棒‥。

何となく「心理的な防犯効果を期待して?」なんて思いました。

定刻通り、女木港行きのバスに乗り込み、下山します。

途中下車して、集落のアート巡りに突入する予定でしたが、

山道で疲れた上、荷物が重過ぎて、既にHPが怪しい。

暑くて脱いだ上着なんかも詰め込んだリュック、パンパン。

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デコボコ道で足をくじいてるから、ずっと重い荷物を背負って歩き回るの、ヤバい。

港のコインロッカーに荷物を入れ、小さな鞄1つで、アート散策に出かけることにしました。

女木島中心部

港から一番近い作品「カモメの駐車場」と「20世紀の回想」。

カモメ達は風が吹くと、一斉に向きを変えます。

青銅製のグランドピアノから、音楽が。

「目の前に広がる、海の波の音と呼応しながら、旋律を奏でる」‥だって。

うん、でき過ぎたロケーション。

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あっ、瀬戸芸パスポートに、はんこ、はんこ!

「オニノコ瓦プロジェクト2」に続く、2個目のスタンプをゲットしました。

青い松が茂る、八幡神社。

女木島港から、まだそんなに離れてません。

2022年の瀬戸芸から「アーティストの作品と、そこに付随するショップ」という組み合わせでスタートしたのが「女木島名店街」。

女木島中心部に、個性的なお店が点在しており、島民も来島者も楽しめるセレクトショップとして、今後の展開が期待されています。

早速、お店が集まる場所の1つ「寿荘」に到着しました。

この古い建物の中に、現代アーティストさん達の作品が詰まっているのです。

看板には「島の中の小さなお店プロジェクト」とあり、商品購入も可能。

1階の「カフェ・ドゥ・ラ・プラージュ」も、アーティストさんの作品。

時計の針がないのは「時間を忘れて、カフェでゆっくりくつろいでほしい」からだそう。

実は私、2019年の瀬戸芸では、この島に上陸した途端、大雨と強風で折り畳み傘が壊れ、服も靴もびしょ濡れになったのです。

‥そんでこのカフェ、多分、閉まってた。

雨を凌げる場所がなく、途方に暮れました。

遠景は白く霞み、とにかく海風ビュービュー 、なかなかハードなアート巡りで「ゆっくりくつろぐ」どころか、軽くサバイバルだった記憶しか。

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だから、晴天に恵まれた今回「こんなに穏やかで、きれいな島だったんだなあ」って。

スタッフさん

わあ、そうだったんですね〜。

はい、私の2019年の瀬戸芸パスポートがヨレヨレなのは、この島で暴風雨に見舞われたせいです。

スタッフさん

じゃあ、今日はいい天気で良かったですね。このカフェは、特殊な塗料が使われていて、テーブルに温かい飲み物を置くと色が変わったり、窓際のカウンターは、紫外線で色が変わるんですよ!

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(あっ!公式ガイドで読んだ!)

スタッフさんに連れられて、窓辺に移動、試しに青いカウンターに、しばらく手を乗せておくと‥

紫外線が遮られて、このようなことに!

スタッフさん

このカウンターね、最初は全体的にもっと濃い青だったんですけど、日に当たり続けて、だんだん白っぽくなってきてます。

neo

あ〜、日陰にならないあの辺なんか、特に白くなってますね。

スタッフさん

そうそう!

そしてこちらは、カフェに隣接する「ヘアサロン寿」。

この日はお休みでしたが、実際に美容師さんが、髪をカットしてくれるそう。

目の前に波が広がるヘアサロン、凄くないですか?

営業中なら、お仕事中の美容師さんとカット中のお客様ごと、鑑賞(?)できます。

一旦、お外に出て、もう1つの入口から入ると‥

ガラリと雰囲気が変わって、カラフル&ポップな空間!

作品名「ピンポン・シー」。

これは、みんなでプレイできる大きな卓球台。

誰でも自由に、卓球を楽しめます。

ラケットやボールのレンタルも、この通り。

光が差し込む中庭は、解放感いっぱい。

こんなレトロな手洗い場のお向かいには、

前回、非常に印象的だった作品「ランドリー」。

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‥ん?あの時は、ずぶ濡れだったから「とにかく服を乾かしたくて、惹かれただけ」とかなのかな?

いいえ!

全く濡れてない今日見ても、やっぱり好き〜。

向かって右の洗濯機の中で、グルグル回っている衣類は‥何と!映像。

同じ空間の反対側は、本物の洗濯機。

コインランドリーとして、お金を投入すれば、実際に使用できる作品です。

映像の洗濯物が延々グルグル‥無機質な静謐さも漂ってませんか?

‥何となく、ここに住みたい。

お次の部屋は‥「ガラス漁具店」。

ガラス製の漁具など、手作り1点物を販売しているそうですが‥

うわお!

ああ、ガラスの釣り針だ。

‥一体、何を釣るための針なのか。

neo

おっ!公式ガイドに「大気で空想を吊り上げる」って書いてあった!‥深い。

作業テーブルも、この美しさ。

漁師でもある作家さんが造った、繊細な細工が並ぶショップです。

用途のわからないお品も扱ってるけど、わからなくていいんだと思う。

絆創膏や、座薬が入ってる〜。

あっ、釣り針売ってた!

ハートがついてる針も、シンプルなのもある。

好みの1個を、厳選して買うんですね。

お次は「ティンカー・ベルズ・ファクトリー」?

ティンカー・ベル、って、あのティンカー・ベル?

‥入ってみましょう。

まず目に入ったのは「女木島・こころのマッサージサロン」。

心をマッサージしてくれるという、マッサージチェア。

あっ、作家さんの手書きコメントが!

「このファクトリーでは、壊れたもの、不用になった鍋釜、金物類の修繕もしくは、改造して再生させます」

日にち限定で、ワークショップも開催されているようです。

こちらが、ファクトリーエリア?

「主は只今、旅に出ていて留守です」だそう。

メダルや、ペーパーウエイト売ってた。

ネジ式プレス機‥って、これかな?

珍しい道具に見入りつつ、この先にも待つ数々のアートの存在を思い出し、急に時間配分を気にしたりも。

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どの作品も、切り上げ時がわかんない。鑑賞中はいつも、どこで、どのくらいの時間見入っていたか、全然わかんなくなるから「ハッ!」と我に返っては、慌てて時計を見るの。

足早に、2階へ上がります。

このショップは「鬼ヶ島ピカピカセンター」。

廃棄されたモノを、照明器具に生まれ変わらせる、リサイクルセンターらしいです。

家電量販店に流れているような、元気なアナウンスと音楽、心地よすぎ。

このアナウンスありきで、小さな世界が完成してるのがよくわかる。

可愛いショップロゴ、鬼の目がピカピカ。

わ、こんなモノまで、照明器具化ww

絶対どっかで見たことある、初めて見るモノ。

このカサ、前世は、あのファイルですよね?

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店内アナウンス、ずっと聞いてたかったな。

小さな階段。

建物自体のレトロさが、また何とも。

お次は「リサイクルショップ複製遺跡」。

島内外から集められた色んなモノが、壁やテーブルに埋め込まれています。

「売れたモノは、1つずつ剥がされ、痕跡を残す」と。

壁、この通り。

‥遺跡に見えてきた。

neo

食器やアクセサリーのコーナーでは、カップルがしゃがみ込んで、真剣な目で物色中。

街中にある、オシャレ雑貨店のようでもあります。

でもね、窓から見える風景‥コレですよ?

今更ながら「私、島に来てるんだった」って思い出す。

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しかも、さっきは洞窟の中にいたからね。

全開の窓から吹き抜ける、気持ち良い潮風。

あっ!

家の本棚にもある文庫本「深夜特急3 インド・ネパール」。

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こんな場所で思いがけず出会うと、新鮮だなあ。

卓球台からコインランドリー、ガラスの釣り針や金属メダル、そして廃棄物でできた照明器具に、オシャレ雑貨。

寿荘、濃過ぎ!

お次の作品は、東海岸にある、旧・海の家。

作品名「ナビゲーションルーム」は「架空の海を渡る航路を見つけるための、航海装置」だそう。

この建物ですね。

外見は、普通です。

こんにちは。

受付を済ませ、スリッパに履き替えて中へ。

‥なになに?

アーティストさんによる、作品コメントですね。

‥コレ読まずに見たら、きっと作品が意味不明。

これはね〜、写真ではお伝えできません。

音付き動画で撮影してこそ。

個人的には、動く「目」と「口」が、可愛かったです。

写真は「口」。

再び歩いて、シアター「女木島名画座」を目指します。

途中にあった郵便局の窓に「瀬戸内国際芸術祭フレーム切手販売中」の文字発見。

道を歩く年配女性にご挨拶したら「‥静かで、誰もおらんでしょう?」と、笑っておられました。

島猫ちゃん、いたー!

古い倉庫を活用したシアター「女木島名画座」。

「マンハッタンの、懐かしい劇場の記憶を凝縮する」とあります。

白黒の古いアニメ映像が流れていましたが、日にち限定で、映画の上映会も開催されるそう。

わー、映画館のこの扉、懐かしいな!

まだ昭和だった頃、映画が終わったら、こんな重い扉をゆっくり押して、暗幕の外の日常世界に戻ってた!

数々のスクリーンが並ぶシネマコンプレックスや、IMAX・4DXデジタルシアターなんかにすっかり慣れちゃってる、令和4年の私。

neo

「どっちもよく知ってる世代」って、何か‥いいね。

お次は、この古民家。

謎めいた作品名は「不在の存在」。

‥どゆこと?

スタッフさん

こんにちは。ここ、ちょっと不思議な部屋なんですよ。

写真の部屋(1室目)の奥に、2つの入口があり、隣の部屋(2室目)が見えています。

‥実は、右側の入口は、鏡。

2室目は、1室目が鏡に映ってるだけ。

左側の入口は本物で、ちゃんと2室目とつながっています。

こちらが、2室目から1室目を見たところ。

今度は、左側の入口が鏡で、右側の入口が、1室目につながる本物。

2室目は、かなり床が傾斜してて、私の先に入った女性なんて「めまいが起きたのかと思った」と。

neo

‥確かに、私もちょっとクラクラしました。面白いですね。

スタッフさん

ホントにある2室目が、鏡に映った部屋に見えるよう、かなり細かく計算して作られた作品です。僕、建築は素人なんですが、さっき建築関係の方が見えられて「‥これは、凄く手の込んだ設計をしてる!」って、驚かれていましたよ。

neo

そっか、プロの目から見ると、私達にはわからない精密な仕掛けが、あちこちにあるんでしょうね。

‥ああ、だから作品名が「不在の存在」なのか。

中庭を囲む別の部屋には、小さな図書室もあって、

こちらのテーブルで、読書することも可能。

‥うう、時間がなくて、残念!

不思議な2つの部屋、もちろん外見上では、床の傾斜、一切ナシ!

neo

「パッと見、普通の民家、足を踏み入れてビックリ」は、瀬戸芸あるある。

のどかな島の向こう、海を挟んで、高松市街地の、高いビルが見えてます。

次に向かうのは、かつて段々畑だった場所に、約400個の信楽焼のブロックを設置した「段々の風」。

作品に続く坂道、発見。

うお〜、これまた正しい登り坂だな。

あ〜ん、登っても登っても続く〜。

‥ハアハア‥ゼイゼイ。

neo

段々畑‥農作業に通うだけでも、大変なんだなあ。

‥!

あれかっ!

‥これほどの眺望を前に、設置されたスタンプも、珍しいやね。

これは驚き。

微妙な色の違いが、本当に綺麗。

女木島の町並み一帯と海が見渡せるよう、光景と作品との大胆な一体化を図り、大パノラマを見せる。

■瀬戸内国際芸術祭2022 公式ガイドより

うん、大パノラマだねっ!(←そのまんま)

長〜い坂道を登ってきたら、当然同じ距離を、下らなきゃいけません。

靴の中で、ギュッと爪先を丸めて下ったけど、1番長い人差し指の先に、ずっとテンションがかかって痛い。

‥案の定、爪の一部が黒く変色してました。

女木島の展望台でくじいた足首は、何とか大丈夫そう。

再び、平地の探索に戻ります。

路地の突きあたり、青い案内板が見えた!

ここか!

作品名「結ぶ家」。

何を結ぶのかというと「地元の人や来場者が持ち寄った、古着の断片をつなぎ合わせて、空き家の外壁を次第に覆っていった」そうです。

わ、超結んである〜!

えーっと、お邪魔しま〜す。

部屋に入ると、畳の上に一方通行の矢印。

‥って、

この中を歩くのー⁉︎

ちょっとアスレチック感。

作家さんやアーティストさんが、裂いた古着をつなぎ合わせるワークショップを行い、今ではこのような姿に。

受付にいた、ご年配の女性スタッフさんが

スタッフさん

私は、アートとか全然分からないから「‥なんや古い布が日で色あせて、汚いなあ」って思いよったんやけど、来てくれた女の人が「前に来た時より、布の色に味が出とる!」いうて感動してくれて「あ〜、そういう楽しみ方もあるんやなあ」ってね、教えてもらったんですよ。

スタッフさん

まだ新しい布は、鮮やかな色やけど、日に当たりっぱなしやし、大雨でもずっとこのまんまになっとるから、これからも少〜しずつ、色が変わっていくんやろうなあ、って。

吹きざらしの環境と、時間の経過が手を加えていく作品。

‥そうか、次に来た時は、この家、どんな風に進化してるのかな。

結ばれた布が、静かに風にそよいでいました。

次の家は「MEGI Fab(メギファブ)」。

女木島オリジナルの、布製小物を製造するスタジオだそう。

可愛いボタンや、小さな雑貨も売ってる。

それがね、ここ、誰もいないんですよ。

値札はついてるし、レジもあるけど、全くの無人で、来島客が入れかわり立ちかわり。

neo

買いたい物を見つけた人は、どっかから店員さんを呼ぶのかな?

次の作品は、この辺りのはずなんだけど‥

ここか!

奥まってて、通り過ぎてた!

「こんぼうや 鬼ヶ島本店」。

瀬戸芸公式ガイドでは「未定」となってた作品です。

neo

ガイドが出版された時は、まだ色々決まってなかったんだね。

ここは?

「古からの日本人の潜在意識を顕著化させ、記憶の集合体を現実に還元する試みである」

「今後、店は地獄へ行くかどうかの人間のためオープンされる」と。

壁は棍棒ショウウインドウ、そして、鬼の腕?

伝説で「渡辺綱(わたなべのつな)」が、斬り落としたアレ?

なんか、めっちゃカッコいいんですけど〜。

巨大な棍棒の周りを歩きつつ、この島が「鬼ヶ島」だったことを思い出します。

集落内の細い道。

路地には古そうな石垣が続き、海岸に出ると‥

冬の強風「オトシ」から、集落を守る石垣「オオテ」がそびえています。

防風防潮用の、見上げるような石垣。

現存するオオテは、明治〜昭和初期のもので、比較的新しいと思われる箇所も。

おや、こっちの防波堤にも、カモメさんいた。

‥ん?朝に比べると、雲行きが怪しい?

船の時間までは、もう少しあるので、通り過ぎた作品に寄れそうです。

作品名「瀬戸内カーニバル」。

尾道出身の絵本作家さんが描いた故郷の海と、女木島の鬼ヶ島伝説を、想像で結ぶ巨大な「屛風絵本」だそう。

スタッフさん

こんにちは。よかったら屛風の番号順に、物語を読んでみてくださいね。

neo

それが!船の時間が迫ってて‥

スタッフさん

‥えっ⁉︎船?‥14時20分のですか?

neo

はい、なので、サクッと見せてくださいね。

スタッフさん

どうぞ、どうぞ〜!

おお、こりゃ読み応えがある絵本だな。

「ウサギしま の ほんとうの なまえは おおくのじまですが ウサギが たくさん いるため ウサギしま と よばれています」

「おにがしま の ほんとうの なまえは めぎじま ですが おおきな どうくつが あるため おにがしま と よばれています」

広島県の大久野島も、香川県の女木島も、瀬戸内海でつながっています。

この屏風が書籍化されれば、いつかどこかで読む機会もあるでしょう。

よし、時間内にほぼ全部、見て回れました。

出航時間15分前、女木港に急げ!

赤ストライプのフェリー「めおん」が、入港してきました。

鬼ヶ島、またね!

男木島

女木島から男木島までは、20分の船旅。

足を休めながら、おやつタイム。

向かっている男木島は、こんな島です。

  • 高松市の最北にある、素朴な暮らしが残る漁村で、人口132人
  • 細くて急な坂道が特徴で、暮らしの大変さから、助け合いの気風が今も続いている
  • 瀬戸芸をきっかけに、2014年に1度休校した小中学校が再開、以来、多くの家族が移住した

島が近づき、デッキに出たら、凄い強風!

目の前の2人の帽子が、立て続けに飛ばされ、あっという間に海へ。

neo

‥えええええ⁉︎

帽子を飛ばされた人

‥えええええ⁉︎

neo

一瞬でしたね。‥ショックだけど‥きっといいことがありますよ!

帽子を飛ばされた人

‥ですね!新しいの買います〜。

突然の出来事に呆気にとられ、強風の中、しばらく2人で笑っていました。

見るからに、急な坂が多い島。

男木港に建つ交流館が、私達を迎えてくれます。

瀬戸芸作品「男木島の魂」。

屋根の下から空を仰ぐと、こんな感じ。

男木島での滞在時間は、2時間弱。

短い気もするけど、コンパクトな島だし、私の体力もあまり残ってないから、ちょうどいい。

ここでも女木島同様、小さな鞄1つで行動することに。

‥って、この島、コインロッカーがなさそうだな。

手荷物預かり所に、リュックを預けました。

荷物番号・6番。

女木島と同じく、料金は300円です。

neo

島巡りでは、100円玉が活躍しまくり。

「歩く方舟」

この島に、とても好きな屋外作品「歩く方舟」があります。

他の作品とは、少し離れた堤防に設置されているのですが「到着したら、最初にコレを目指す!」と決めていました。

なぜなら、他の来島客は、先に集落の作品から回り始め、最後にここに集中すると思われるから。

予想通り、港を出てすぐ「歩く方舟」に直行するのは、私だけ。

neo

貸切だと、作品の写真が撮りやすいの。

途中、休校から再開したという小中学校の体育館(作品)を通ります。

刺繍のように見える、雲と空。

「瀬戸内独特の、青い空と光のイメージ」だそう。

neo

清々しい体育館だね。

次に現れた作品は「漣の家 / さざなみの家」。

倉庫の壁面に貼られた、カラフルなアクリル板は、人々の多様性を示しているそうですが、

‥あれ?牛?

この島はかつて、農繁期に船に牛を乗せ、四国の農村に貸し出す「借耕牛」という習慣があったことを、後から公式ガイドで知りました。

海岸沿いを更に進むと、

堤防の先に、見えてきた!

山口啓介氏の「歩く方舟」は、旧約聖書の「ノアの方舟」を原典にした作品です。

私は2019年、地元の美術館での展覧会「山口啓介 後ろむきに前に歩く」を見た直後に訪れた男木島で、この「歩く方舟」に初めて会いました。

neo

もうね、胸がいっぱいになった。

「瀬戸内海の島が、災禍を鎮めるべく、東日本大震災の地・いわきに歩いて移動する」という、壮大なストーリーが表現されているからです。

島が確実に歩みを進められるよう、東北に向いて設置されています。

この、遥か彼方に、東日本大震災の被災地がある。

neo

それを想像しただけで、何度でもジーンとくるよ。

ああ、真っ先にここに来て正解。

お子様達の遊具(?)になってることもあるし、堤防に人が多いと近寄れず、写真も撮れないから。

‥この作品に、また会いに来れて嬉しかった。

男木島中心部

さあ、他の男木島作品が集まってる、島の中心部に向かいましょう。

猫ちゃん、猫ちゃん〜!

海岸を離れ、坂道を登り始めると‥

まさかの天気雨〜っ!

傘、持ってないよう。

おお、ちょうど作品「No.105」に着いた。

「人間の直感的な感覚と、意識を呼び戻すべく、作品を体感するインスタレーション」?

スリットから、こんな風に、作品の中に入ります。

スタッフさん

こんにちは。ではその辺に荷物を置いて、靴を脱いで、ここから中に入ってください。中では寝転んだり、自由に過ごしてくださいね。

スタッフさんが広げてくれた入口から、薄くて軽い素材で囲まれた空間に、入っていきます。

あはは、これは愉快!

空間を膨らませるために、大量の空気が送り込まれています。

布団乾燥機みたい〜!

雨に濡れた服、乾きそうww

おや、雨、どっか行った!

草や土が濡れて、匂いが濃くなってます。

次は、讃岐漆芸でリノベした家屋「漆の家」。

香川県の漆芸は、色彩豊かなのが特徴だそうで、これは「黒い部屋」にあった、漆塗りの自転車。

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漆黒、本当に好き。

お茶の間もあり、様々な漆芸作品が展示されていました。

次は、不思議な空間「部屋の中の部屋」。

部屋の中に、90度回転した部屋があるのです。

これが、部屋に入ってすぐ、目に飛び込んでくる室内。

掛軸と花瓶があるのは、床面。

ちゃぶ台は、右の壁に張り付いていますが、この角度で撮影すると、畳の上に置かれているようにしか。

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この部屋で、写真を撮ってほしかったけど、シャッター係を頼める人がいなかった。

外に出ると、斜面に建つ民家と畑、再びクネクネ曲がる細い路地を歩きます。

途中、作品案内の看板を見落として、全く違う道を進んで集落を離れてしまい、かなり時間と体力を消耗しました。

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うう、もったいない。オフィシャルツアーで、ガイドさんと一緒に散策すれば、こういうことは起きないんだけどね。

方向音痴なこともあり、地図を見ても自力でたどり着けなかった作品は、諦めました。

お!あれに見えるは、目玉作品の1つ「男木島パビリオン」!

豊玉姫神社の鳥居が目印。

見晴らしの良い場所に建っていて、

見える景色も、この通り!

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ひゃ〜!キレイでカッコ良すぎる!

‥かなり語彙力が乏しいのは、HPが少ないからで、もう簡単な単語しか。

「好き」が渦巻く、素敵空間でした。

‥ちょっ!

神社の階段、急過ぎ!

私、絶対「おむすびころりん」みたいに、転げ落ちる自信があるからっ!

緩やかな坂から下ることに。

おお、猫が干されている。

あらら?

‥ここ、さっき通ったような?

あちこちに見られる、路地壁画プロジェクトも作品の1つ。

既に、男木島の景観の一部。

猫ちゃん、猫ちゃん〜!

この古民家で展示中の作品は「学校の先生」。

作家さんは、色んな人から、学校の先生のエピソードを聞き取ったそう。

すごろく的なゲームも、楽しめるようでした。

個人的には、こういうネジ込み鍵や、

床から草が伸びてきてる洗面台が、ツボだったな。

そろそろ、港に戻らないといけない時間。

‥そうだ、預けてるリュック、忘れずに受け取らなきゃ。

船の出航は17時ですが、強風のため、作品鑑賞は16時15分で終了になっていました。

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他の人達は、時間内にこの辺の作品を全部回ってから(制限時間のない)「歩く方舟」を見に行けるね。

私には、時間内に見れなかった作品・自力でたどり着けなかった作品もあるけれど、大丈夫。

真っ先に「歩く方舟」を、貸切で見たんだから。

日が傾くと、少し寒くなってきました。

秋の朝顔が、元気に咲いてます。

集落内には、今っぽいオシャレなカフェもあるし、

港には、モダンな診療所もある男木島。

若い人の移住で、活気があるようです。

ただいま〜!

港のそばの作品「タコツボル」。

ここは、荷物を受け取る前に‥

入っとくところでしょ。

中におっきいタコ、おったー!

外から見ただけじゃ、気付けなかったと思います。

インフォメーションにも、強風で早めに閉館するという案内が。

旗がこうなっちゃうレベルの、強風だもの。

さあ、乗船券も買ったし、

「めおん」の列に並ぼう。

男木島〜高松港

夕日が沈んでいきます。

17時40分。

高松港、ただいまー!

そんで、バイバイ、めおん!

今日1日、私を運んでくれて、ありがとね。

コンビニで夕食を仕入れて、ホテルに向かいました。

この日ゲットした、女木島・男木島のスタンプは、この通り。

neo

ぐったりだけど、楽しかった〜!

夜は早めに休んで、翌日に備えなきゃです。

翌日に訪れるのは、大島。

大島も、とても楽しみな島なのでした。

neo

お疲れ様でした!最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

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