こんにちは、neoです。
この記事は、
- 医療介護施設などで、パロを正しく運用するには、専門知識を持つスタッフが必要な理由
- 専門スタッフの養成講座「パロ・ハンドラー研修会」・「パロ・トレーナー養成講座」
- 各講座の内容・参加申し込みサイトへのリンクなど
です。
セラピー用ロボットのパロは、国内外の医療介護施設で活躍しています。
■画像出典:知能システム
パロは、認知症・パーキンソン病・PTSD・がん・脳損傷などの患者さんの、うつ・不安・痛み・興奮・不眠といった症状に、効果を発揮します。
けれど「施設入居者さんや患者さんに渡しておけば、それで良い」というロボットではありません。
現場でパロを上手に活用するためには「パロにおまかせ」ではなく、パロと一緒にサービスを提供する周囲の人の存在が、とても大切になってきます。
あくまでもパロは、セラピーのための「道具」。
なので、パロの癒し効果を最大限に得るには、パロに関する基礎知識を持つ専門スタッフが必要です。
2022年現在、その教育として開講されている講座は
- 初級編:パロをクライアントに使用する職員向けの「パロ・ハンドラー研修会」
- 中級編:施設導入の際の担当者・初級コースの指導者になる人向けの「パロ・トレーナー養成講座」
- 上級編:パロの普及啓発活動をする人向け
の3講座。
この記事では主に、中級編「パロ・トレーナー養成講座」の内容を、講師の堀先生にお伺いしました。
この記事から、参加申し込みページに直接ジャンプできますよ。
パロに関する専門知識を持つスタッフが必要な理由
パロは「世界で最もセラピー効果のあるロボット」として、2002年、ギネスブックに登録されています。
パロの開発は、1993年からスタートしていました。
第8世代が、日本国内で発売開始になったのは2005年。
パロの歴史は長いので、現在までにパロの効果を実証する学術論文が、多数発表されています。
だから、その効果はお墨付き。
それでは、パロを導入した施設の患者さんや利用者さんは、皆さん、パロのパワーでたちまち状態が落ち着き、困っていた症状や問題が万事解決して「バンザ〜イ!」なのでしょうか?
‥いや、よくわかんないけど、さすがにそれはなさそう‥?
と思った皆さん、大正解です!
だけど、とりあえずパロを渡しとけば、癒し効果が得られるんでしょ?
‥「世界で最もセラピー効果のあるロボット」だけに、そう思いますよね。
けれど、そう簡単な話でもない、というのがホントのところ。
例えば、入院患者さんや施設利用者さん(クライアントさん)に「はい、パロちゃんでーす!」と言って、パロを「ポフッ!」とお渡ししたとします。
「あら、可愛いね!」と笑顔になる人は多いかもしれませんが、ひとしきり可愛がったら‥恐らく‥それで終わり?
これでは、普通のぬいぐるみと変わりませんね。
中には「この子、物凄く可愛い!もう離したくないっ!」と大変気に入って、パロを独り占めしたい人だって出てくるかも知れません。
施設のパロは、たくさんのクライアントさんを癒すためにいます。
逆にパロを渡されても、どう接して良いかわからない人や、動物やぬいぐるみが苦手な人も。
はたまた「こんなぬいぐるみで喜ぶなんて、ワシのプライドが許さんのじゃ!(‥でも気になるな〜)」という人まで、実際には色んな反応の人がいらっしゃるのです。
そこで必要になるのが、基礎知識を学んだスタッフさんによるかかわり!
専門知識を持った「パロ・ハンドラー」と「パロ・トレーナー」
パロ・ハンドラーさん
パロは穏やかなアザラシのロボット。
「自分のことをこう扱ってほしい」みたいな言葉を喋る訳ではありませんし、目を奪われるような芸や、派手な動きはしません。
だからこそ!
「パロと触れ合う人」と「ロボットのパロ」をうまく橋渡しして、和やかな雰囲気の関わりができるよう、そばに寄り添ってお手伝いする人の存在が必要になります。
それが、パロに関する最低限の知識を学んだスタッフ「パロ・ハンドラー」さん。
「パロ・トレーナー」の初級にあたります。
施設にパロを導入する予定がある場合、パロのことをよく知らない職員ばかりでは、効果を得るどころか「全然役に立たない」とガッカリされかねません。
正しい充電方法がわからなくて、バッテリーの消耗を早めたり、肝心な時に充電切れ、といったことが発生するなんて、かなり残念なお話。
このような、取り扱い上の注意点から、クライアントさんへの接し方の基本までを含む「パロを使う上での基礎知識」を、ネット検索や自己学習だけで得るのは、正直かなり難しく、効率も悪いです。
私も色々調べていた時期があるけれど、なかなか情報が得られませんでした。
正しい知識を効率的に学ぶには、研修への参加がベスト。
具体的には、入門編の「パロ・ハンドラー研修会」がそれです。
約90分の講義を、オンラインで聴講することができます。
パロ・トレーナーさん
そして「パロ・ハンドラー」の上級者が「パロ・トレーナー」さん。
パロ・トレーナーさん達は、ロボットとしてのパロの扱い方を熟知し、施設への導入までの段取りや、有効活用する方法についてはもちろん、
- パロを運用する現場で、どのように活動すれば、パロの効果を最大限に発揮できるのか
- 社会に役立つ活動を行うためには、どんな連携・支援を必要とするか
などを自分自身で考え、計画・実践できる人。
こちらが、受講中の様子です。
各現場の特性や、触れ合う人の個別性などを踏まえた上で、場面に応じた穏やかなふるまい・言葉かけができるアドリブのセンスや、探究心も必要になってきます。
「心身の癒しや、生活の動機付けを効果的に提供するための活動を、科学的根拠に基づいて提供することができる専門知識と技術を持つプロフェッショナル(「パロ・トレーナーとは」より抜粋)」
‥それが、パロ・トレーナーさんなのです。
各講座とも現在開講中!
初級編「パロ・ハンドラー研修会」
現場でパロをクライアントさんに使用するスタッフ向けの入門講座が「パロ・ハンドラー研修会(2021年開講)」。
この講座は、Zoomを使った無料開催で、パロに関心のある人なら、誰でも参加できます。
2022年現在は、月に2回ペースで開催中。毎回ほぼ同じ内容なので、1回の参加でOK。
講師は、パロの第一人者である堀先生。
こんにちは、堀です。パロが身近にいない人でも、興味深く聞けるお話をしていますので、関心のある方は、是非いらしてくださいね。
ここでしか聞けないエピソードがあったり、質疑応答で、開発者の柴田博士や堀先生に直接質問ができるのが、オンライン講座の素晴らしいところ。
私も時々、聴講させていただいています。
ちなみに、初参加させていただいた時のレポがこちら。
とても充実した、あっという間の90分間でした。
■「パロ・ハンドラー研修会」の案内:
http://intelligent-system.jp/kenshuukai.pdf
■「パロ・ハンドラー研修会」の申し込み:
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScB8oEcacMXJ_XokMzrLYVkXF3-o1EvbSR1IVsHkztctwbzGg/viewform
あなたもご一緒に、パロの癒し効果について学びませんか?
中級編「パロ・トレーナー養成講座」
そして、パロを施設に導入する際の担当者さんや、初級コースの指導者になる人向けの「パロ・トレーナー養成講座」。
ちなみに、この中級コースは2019年に開講、更なる上級コースは、2018年から開講しています。
こちらは有料・6時間の研修で、演習を実施するため、対面式になります。
研修の内容
パロ・トレーナー養成講座では、どんなことを勉強するのですか?
はい、当日のスケジュールはこんな感じです。
10:30〜11:00 オリエンテーション・部屋移動
11:00〜12:30 第1部講義
- パロ活用における背景要因:
(一社)ハッピーネットとアザラシ型ロボット・パロとの関係
今、なぜロボットが注目されるのか?
①第4次産業革命、ロボット革命
②新型コロナ禍で注目されるロボティック・ペット「パロ」 - パロの基礎知識
(12:30〜13:30 昼休憩)
13:30〜15:00 第2部講義
- パロの活用方法
①在宅介護・サ高住での場合
②海外の事例紹介:ビデオ - パロのロボットとしての機能とセラピー効果
アートとテクノロジーの融合物としてのパロ
研究論文から見たパロ
(15:00〜15:15 休憩)
15:15〜17:00 演習
(17:00〜17:10 休憩)
17:10〜17:30 パロ・トレーナーの役割・課題レポートの説明
受講後のレポート提出で、合格となります。パロのことをより詳しく知りたい人、施設などへの導入の責任者さんなどを対象に考えています。
■「パロ・トレーナー養成講座」の案内・申し込み:
https://www.emikin.com/4-2%E3%83%91%E3%83%AD%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BC%E9%A4%8A%E6%88%90%E8%AC%9B%E5%BA%A7-%E4%B8%AD%E7%B4%9A-in%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B/
※申し込み受付期間中のみ、申し込み可能です。
今回の参加者さんの募集が始まった時、(一社)ハッピーネットのまめ母ちゃんさんが、お知らせ記事を公開されています。
前回開催時の写真も掲載していますので、ご興味のある人はご参考に。
■ハッピーネットのblog「パロトレーナー養成講座、募集開始です!」:
https://emikin-happynet.blog.jp/archives/14080464.html
研修の会場は、廃校になった小学校を、コワーキングスペースや会議室のある施設に変身させた「なごのキャンパス」です。
わあ、JR名古屋駅から徒歩8分。アクセスも便利なのですね。
私達と共に、様々な分野でパロを活用し、課題を見出し、経験や知見を社会に発信しませんか?
この活動はパロだけでなく、介護ロボット全般にとって、役立つものであると確信しています。
コロナ禍で、開催予定だった中級講座が中止・延期になった経緯もある中、今回の開催が決定しました。
貴重なこの機会、お見逃しなく!